「あおり運転」は一発免許取り消し! バイクで注意すべきこととは?
「妨害運転罪」として最大5年の懲役
6月30日から、他の車両等の通行を妨害する目的での「急ブレーキ」や「車間距離不保持」などの違反に対し「妨害運転罪」が施行されることになりました。
今後はこうした違反は厳正な取締りの対象となり最大で懲役3年の刑に。また、妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられることになります。そして、妨害運転をした者は運転免許を取り消されることとなりました。
さらに妨害運転により人を死傷させた場合には、危険運転致死傷罪としてさらに厳罰に処せられることもあります。
妨害運転10項目、事故はなくても即免取に!
具体的には「妨害運転罪」として次の10類型が厳しい取締りの対象となります。
■取締り対象となる妨害運転の典型例
(1)車間距離を極端に詰める(車間距離不保持)
(2)急な進路変更を行う(進路変更禁止違反)
(3)急ブレーキをかける(急ブレーキ禁止違反)
(4)危険な追い越し(追越しの方法違反)
(5)対向車線にはみ出す(通行区分違反)
(6)執ようなクラクション(警音器使用制限違反)
(7)執ようなパッシング(減光等義務違反)
(8)幅寄せや蛇行運転(安全運転義務違反)
(9)高速道路での低速走行(最低速度違反)
(10)高速道路での駐停車(高速自動車国道等駐停車違反)
そして、違反による罰則として、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられ、これが高速道路などで相手車両を停車させたり衝突させたりなどの、著しく危険な行為に対しては「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」など、さらに重い処罰の対象に。また、行政処分では事故を起こしていなくても一回で「即免許取り消し」になります。
以上、今回の「妨害運転罪」に関する一連の施策は、読んでいるだけで心臓がドキドキしてしまうほどの厳しい内容になっていますし、「煽り運転は絶対に許さない」という警察や政府からの強いメッセージが伝わってきます。
ここまで厳罰化された背景には、煽り運転による悲惨極まりない事故が数多く起きていて、その数が近年になって急増しているからに他なりません。
バイクはどう転んでも割に合わない
では、我々バイクライダーはどんなことに注意すべきなのでしょうか。
バイクはその特性上、「あおり運転」では自分が犠牲者になることが多いと考えられます。以前にも煽ってくるクルマに追突されてバイクライダーが亡くなった事件がありました。先に記した取締り対象10項目を見直してみれば分かりますが、下手に車間を詰めて自分が追突しても、急ブレーキをかけて相手に追突されても、結局は自分が痛い目に遭うことになります。
変な言い方かもしれませんが、結局のところバイクは「あおり運転」に関して、まったく割に合わないのです。だから、できることと言えば、極力そういったシチュエーションを避ける、ということに尽きると思います。
ライダーが注意すべきは「車間距離不保持」だ
ただ一点、気を付けたいのは、「車間距離を極端に詰める(車間距離不保持)」です。
軽快な機動力と加速性能を持つバイクは、期せずして前走車との車間距離が近づいてしまうことがあります。車体が小さく周囲との間合いがつかみやすいため、特に低速時や信号停止などではうっかり前のクルマに近寄ってしまうこともありがちです。
また、トラックのなどの大型車両の後ろでは前が見えにくいため、前方の安全を確認するため、ついつい右に左にラインを変えてしまうことも……。バイクは路面などの影響を受けやすいため不安だからです。こうしたバイクにとっては通常の運転が、クルマのドライバーにとっては“煽られた”と勘違いさせる結果にならないとも限りません。
今回警察でも妨害運転等を未然に防止するため、「車間距離不保持」、「進路変更禁止違反」、「急ブレーキ禁止違反」等の道交法違反について積極的な取締りと厳正な捜査を徹底するとしています。
これにより、点数制度による処分に至らない場合であっても、必要とあれば危険性帯有者として運転免許の停止処分を積極的に行うと明言しています。我々ライダーとしても、そう見られない運転、ドライバーを不快にさせない運転を心がけるべきでしょう。
突き詰めれば「思いやり」と「ゆずり合い」
最後に妨害運転を受けた際の対応策として警察では、「サービスエリアなど安全な場所に避難しつつ車外に出ずに、ためらわずに110番通報すること。また、妨害運転の抑止にも有効なドライブレコーダーの活用とともに、相手の立場を思いやる気持ちを持ってゆずり合いの運転をすること」を推奨しています。
自分は自分。小さなことでカッとなったりイライラせず、ライダーとしてのプライドを持って堂々とゆったり構えていきましょう!
※原文より筆者自身が加筆修正しています。