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実は寄れるだけじゃない!つかって分かったマクロレンズの意外な魅力【撮影のコツ解説】

Akiブロガー / くらしフォトグラファー
マクロレンズで撮った瞳の写真

普段からマクロレンズが大好きな筆者がその魅力について語ります!

マクロレンズとは何か。簡単に説明すると「被写体に近づいて大きく写すことができるレンズ」です。マクロレンズを使えば、普段人間の目ではなかなか見えないようなとても小さなものの世界をカメラを通して写し出すことができます。

でも実はそれだけではありません。マクロレンズにはいろんな魅力が詰まっているんです。本記事ではマクロレンズの多様な素晴らしさをお伝えします。

Q. マクロレンズでなにを撮ったでしょう?

突然ですがクイズです。次の写真はなにを撮ったでしょうか?

とても色鮮やかですね。

お花が好きな方ならすぐ分かったかもしれません。

正解は…

こちら

紫陽花でした!

紫陽花の周辺部の大きい花びらに見えるものは萼(ガク)が発達したもので、本当の花弁は中央にあります。よく見るとおしべやめしべがあって、そのすぐ周りに小さいひらひらの花びらが見えます。

最初の写真はその部分をマクロレンズで大きく写しました。よく観察するととても小さな蕾からかわいらしい花が咲いていることがわかりますね。

では次は何の写真でしょうか?

今度はすこし難しいかもしれませんね。

ほかの部分もお見せします。

牙が見えますね。よく見ると水泡がたくさんついているので、水の中で生息する生き物のようです。

正解は…

こちら

ワニさんでした!

こうして植物や生き物に近づいて撮ってみると普段なかなか見えない特徴に気がついておもしろいですね。

マクロレンズは近い距離でもピントが合う!

マクロレンズはこのように被写体をとても大きく写すことができるレンズです。

マクロレンズを特徴づけるポイントは専門用語で言うと「最大撮影倍率」にあります。
ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、要は「どれくらい大きく撮れるか」を表す指標のことです。

マクロレンズの多くは「最大撮影倍率」が 1.0倍 以上あります。一般的なレンズは最大撮影倍率が0.2倍や、0.3倍くらいしかないものが多いです。

撮影倍率による撮れる大きさの違い
撮影倍率による撮れる大きさの違い

このように「最大撮影倍率」が大きいほど、被写体を大きく撮れます。

ふつうのレンズだと大きく撮ろうと被写体に近づいてもピントが合いません。一方でマクロレンズなら被写体まで 数cm ほどの距離まで近づいてもきちんとピントが合います。

画像左のように普通のレンズは被写体との距離を最低でも30cmくらいあけないとピントが合いません。一方で画像右のようにマクロレンズなら被写体まで数cmの距離でもピントが合います。
画像左のように普通のレンズは被写体との距離を最低でも30cmくらいあけないとピントが合いません。一方で画像右のようにマクロレンズなら被写体まで数cmの距離でもピントが合います。

つまり、マクロレンズなら被写体に近づいて、その細部を克明に記録できるわけです。この繊細な表現力が魅力で、わたしはよくマクロレンズで花や植物を撮影しています。

間近で撮ると色のグラデーションや繊細な質感が伝わって面白いです。
間近で撮ると色のグラデーションや繊細な質感が伝わって面白いです。

ちなみに商品名に「マクロレンズ」と書いてあっても、その製品によって最大撮影倍率が異なるので注意してください。例えば、最大撮影倍率が 0.5倍 の「ハーフマクロレンズ」もあります。

おすすめは最大撮影倍率が 1.0倍 以上のマクロレンズです。レンズの仕様説明の欄には必ず最大撮影倍率が書いてあるので、購入の際はよく確認してください。

寄って大きく撮れる…だけじゃない!楽しいマクロレンズの世界

実はマクロレンズは近接撮影だけを専門としたレンズというわけではありません。

たしかに、近くに寄って大きく撮ることができるのがマクロレンズの特徴ですが、だからといって被写体から離れたら撮れないわけでもありません。マクロレンズが活躍する世界はとても幅広いです。

例えば、風景撮影にだってマクロレンズは使えます。

夕暮れ時の港の風景
夕暮れ時の港の風景

わたしは気軽なスナップにもマクロレンズを持ち出すことが多いです。

神社を散歩しながらマクロレンズでスナップ撮影
神社を散歩しながらマクロレンズでスナップ撮影

またぜひ知ってほしいポイントとして、マクロレンズは、被写体の形がゆがまずにきれいに撮れるものが多いです。

これは知らない人が多いのですが、どのようなレンズを用いるかによって、被写体の形が全然違って見えるんです。
下の3つの顔写真をご覧ください。

左から焦点距離が 35mmのレンズ、50mmのレンズ、100mmのマクロレンズで撮影
左から焦点距離が 35mmのレンズ、50mmのレンズ、100mmのマクロレンズで撮影

これらは全部同じ人(筆者)です。なのに3枚それぞれずいぶんと印象が違いますよね。印象が違って見えるのは、それぞれ異なるレンズで撮影しているからです。

このなかで人物の顔が一番整って写っているのは右のマクロレンズで撮った写真です。逆に一番ゆがみが顕著に表れているのは左の写真です。この写真は、肉眼で見るよりも鼻が大きく、口が前に出ている印象を受けます。真ん中の写真も左ほど極端ではありませんが、同様の傾向があります。

このようにゆがみを少なくきれいに撮りたいなら 焦点距離が90mm前後のレンズがおすすめです。マクロレンズには焦点距離が90mmや100mmのものが多くあります。
※焦点距離はフルサイズのカメラを基準に記載しています。
※なかには広角のマクロレンズもありますが、そういったレンズは形をきれいに撮る目的にはあまり適していません。

例えば SNS や仕事でプロフィール用の写真なら、顔がゆがまないように撮ったほうが断然印象良く見えます。そういったシチュエーションには、マクロレンズなど中望遠のレンズがおすすめです。

物販の商品写真を撮りたいときにもマクロレンズはおすすめです。やはり形をきれいに記録することができますし、小さなものでもその詳細がよくわかるように撮れます。

ピアスの商品撮影。商品本体のディティールや着用イメージもマクロレンズで撮りました。
ピアスの商品撮影。商品本体のディティールや着用イメージもマクロレンズで撮りました。

料理の撮影などテーブルフォトにも向いています。

質感がきれいに描写されるので、エビフライのサクサクの衣や、オムライスのトロっとした卵の様子がよくわかります。
質感がきれいに描写されるので、エビフライのサクサクの衣や、オムライスのトロっとした卵の様子がよくわかります。

このように幅広い被写体に対応できる万能さもマクロレンズの魅力なんです。よく専門的なレンズで難しそうだったり、特殊な用途のレンズだと思われがちですが、非常に多様で身近なシーンで役に立ちます。

個人的には「余計な心配をせずに安心して撮れる」ことがマクロレンズの魅力の秘訣なのではないかと考えています。

ふつうのレンズなら距離が近すぎてピントが合わないときでも、マクロレンズなら問題なく一歩踏み込んで撮ることができます。そうして一歩踏み込むことで、普段あまり気づかなかったような視点の写真が撮れたり、より迫力ある写真を撮れたりします。

また形が整って写るので、マクロレンズ1本でフットワーク軽く様々なバリエーションの写真を記録できます。近づいて撮っても良し、離れて撮っても良し。これがわたしがマクロレンズが大好きな理由です。

レンズ交換式の一眼カメラをお持ちの方はぜひ「マクロレンズ」を試してみてください。新しい世界が広がって楽しいですよ。

筆者が使っているマクロレンズについては下記ブログで紹介しています。

筆者がマクロレンズで撮った写真は下記のウェブサイトでご覧いただけます。

ブロガー / くらしフォトグラファー

ガジェットの情報を発信するブロガー。得意分野はカメラ・パソコン関係。明日から使える写真撮影のコツや、あると生活が便利になるアイテムなどを分かりやすく紹介しています。取り上げるアイテムは実際に使って良かったものだけに厳選。 日常の何気ないシーンや家族と過ごす生活の写真を撮る "くらしフォトグラファー"として活動。特別ではない平凡な毎日を撮ることの魅力や価値を発信しています。 神戸ファインダー / ピークデザインのある暮らし / シタタカライフ など複数のウェブサイトを運営。1989年生まれ / 兵庫県神戸市育ち

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