【仙台市若林区】仙台駄菓子に触れ、遅ればせながら兎年を想う…。江戸情緒ある景観の名店探訪記
仙台市宮城野区・若林区を愛する号外NETライターの長谷川誠です。
「駄菓子」と聞いて皆さんはどんなイメージを抱かれていますか。おばあちゃんがお店番をしていて、ワクワクしながら100円玉を握りしめて買い物に行くお店。子供ながらに一生懸命値段を計算して、所持金の許してくれる範囲内のベストなお菓子をチョイスするお店。そんなイメージでしょうか。
私が仙台に住む前の「駄菓子」に対するイメージもそうでした。しかし、仙台に住み、仙台を知っていくと、「仙台駄菓子」という言葉をよく耳にするようになりました。最初は「仙台独自の駄菓子屋さんなのかなぁ」ぐらいの認識だったのですが、詳しく「仙台駄菓子」を知り食べてみると、その認識は一変。「駄菓子」という言葉のイメージすらも変わってしまったのでした。
今回は若林区にある、そんな「仙台駄菓子」の名店をご紹介したいと思います。「仙台駄菓子」を知らない人は、駄菓子に対する認識が変わってしまうかもしれませんよー。
そのお店とは創業明治18年という老舗の「仙台駄菓子の石橋屋」さん。
店前に手水桶(ちょうずおけ)が置いてあり、どこか落語に出てくるような老舗の卸問屋さんを思わせる店構えです。お店の公式ホームページを拝見すると、江戸情緒がある店構えとのことで、なんと平成14年に仙台景観重要建造物指定建物に指定されているんです。
風情があっていいですねぇ…。個人的に落語が大好きなので、番頭さんや大旦那が出てくるようなお店を舞台にした古典落語が頭に浮かんでくる雰囲気です。
ちなみに風情ある店構えの石橋屋さんは、お店脇の枝垂れ桜も有名です。
春先には隣を流れる「七郷堀」へ垂れ下がる満開の桜…。お邪魔したタイミングが冬であることが残念でなりません。
口には出しませんが、脳内では落語風に「ちょっとごめんするよ!」と言いながら入店。
店内の雰囲気もまさに「THE情緒」。柔らかな行灯(あんどん)の薄明りが印象的な「和」の空間。
撮影と掲載の許可をいただき、落ち着いた雰囲気の店舗内をウロウロしながらパシャリ。
色々な味の飴ちゃんや
「昔おばあちゃんにもらったような気がするなぁ」。そんな懐かしさも感じる形状の仙台駄菓子たちが並んでいます。
ちなみに仙台駄菓子とは、ただ単純に懐かしさを感じさせてくれる昭和レトロ的なものではなく…
伊達藩には仙台糒(ほしいい)と云って糯(もち)きび、粳(うる)きび、粟きび、トウモロコシきび等があり、これを原料として菓子種を作り、この菓子種を使って、おこし類が作られました。この仙台糒と云うのは、伊達藩独特の製法によって作られ、一種の携帯食として、江戸への参勤交代や野戦での折りに食料として使用されました。
仙台糒の製法は伊達藩の家伝で門外不出とされ、時折この仙台糒が家臣や町民にも払い下げられました。払い下げられた仙台糒を原始的家内企業で独特のおこしや黄粉、胡麻、くるみ、粟等を使ったねじり菓子、餅菓子等が作られました。これが、いわゆる仙台駄菓子の由来です。
<石橋屋さんのホームページより抜粋>
あの伊達政宗公の伊達藩家伝、門外不出の仙台糒(せんだいほしいい)が家臣や町民に払い下げられたことに端を発する、由緒正しき菓子。麩菓子やアンズジャムのような、昭和から親しまれている駄菓子のルーツ的存在と言えるかもしれません。
そんな歴史を感じさせてくれる資料も店内には展示されていました。
お店脇の枝垂れ桜が満開な頃を映した写真もあり、「これはまた桜の季節にも来なければ」と決意。
そして、今年の干支である兎をモチーフにした「兎玉」を発見! その鮮やかな白さと、コロコロと愛らしい丸っこさは、まさにハムハムと丸くなりながら草を食べている兎さんのよう。
特に兎年限定の駄菓子ということではなく、常に作られている人気の駄菓子なんだとか。
遅ればせながら兎年ですから、買ってきてしまいました「兎玉」!
ちなみに兎玉の隣りにあるのは、さらに兎感をマシマシにしようと併せて購入した「めんこいい兎ちゃん」という駄菓子。こちらもサクッと齧ると口の中でホロホロに溶け、ほんのりとした懐かしい甘味が広がる兎ちゃんで美味しかったです。
そして兎玉もいただきました。硬そうに見えますが、一口齧ってみるとその柔らくて滑らかな食感に驚かされます。日本茶の苦みと相性抜群の優しい甘味でした。
目を閉じて「伊達藩の町民の皆さんもこの味を食べていたのだろうか…」と思うと、その甘味が江戸時代へ連れて行ってくれるような気がしてきます。タイムスリップ気分でごちそうさまでした!
皆さんも仙台駄菓子の名店「石橋屋」さんの風情あるお店の雰囲気と、美味しい仙台駄菓子を味わってみてはいかがでしょうか。
●仙台駄菓子の石橋屋●
〒984-0806 宮城県仙台市若林区舟丁63