オリジナルコンテンツが好調で加入者微増でも増収増益のNetflix、中国市場は当面様子見
Netflixは2016年10月17日に2016年第3四半期(2016年7~9月)の業績を発表した。売上高は全世界で前年同期比売上高は32%増の22億9,000万ドルで、純利益は75%増の5,200万ドルだった。
アメリカでは加入者微増
アメリカでの総加入者は4,750万人で前期よりも微増であり、アメリカ市場での加入者の頭打ちは否めない。それでもアメリカ市場では有料会員が4,648万人が有料会員で、全加入者の98%を占めている。一方で、アメリカ国外での加入者数は3,925万人で前期よりも320万増と増加の伸びは大きい。しかし有料会員は3,680万人と94%程度だ。
オリジナルコンテンツで加入者増だが
Netflixによると2016年7月に公開されたSFホラードラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」や麻薬取引密売組織と取締捜査官の戦いの実話を描いたオリジナルドラマ「ナルコス」などが加入者増に貢献したとのことだ。
結局、Netflixのような有料課金動画(SVOD:Subscription Video on demand)を提供するような企業にとってはコンテンツが収益の命脈だ。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」も「ナルコス」も好きで見たいという人にとっては課金して視聴する価値があるだろうが、興味がない人は振り向きもしてくれない。コンテンツは人によって興味や好き嫌いが大きく異なるので、全世界で同じものがうけるとは限らない。もはやアメリカ人が大好きなドラマが日本やアジアでもうける時代ではない。地域の特性に合わせたコンテンツの配信が求められてくる。
またいつまでも同じコンテンツを提供し続けるわけにはいかないから、絶えず新たな動画を提供しなくてはならないので、自転車操業で、制作コストやマーケティングコストもかかる。さらに地上波テレビ、CATVだけでなく無料で視聴できるYouTubeなど動画市場は厳しい。
NetflixだけでなくAmazon PrimeやHuluなどSVOD事業者はこれからもこのような自転車操業を続けていかなくてはならないだろうから、最後は資本力のある会社だけが残るだろう。
中国市場は現地のプロバイダーにライセンス供与を検討
Netflixは中国市場への取組身について、中国市場は海外のコンテンツに対する規制が厳しくチャレンジングであることは承知しているとコメントしている。そのため現在、中国の地元のコンテンツプロバイダーへのライセンス供与という形でコンテンツを提供していくことを検討しているとのこと。将来的にはNetflixとして中国市場に進出してダイレクトに中国人に動画配信をしていきたいとの意気込みを語っていたが、当面は様子見といった感じだ。
人口10億人以上でスマホやPCでの動画視聴もかなり普及している中国はNetflixだけでなく多くのSVOD事業者にとっては魅力的な市場だが、進出と収益化のハードルはまだ高い。