ゾンビウイルスや脅迫ウイルスに立ち向かう心構えとは。
今年5月上旬、ほぼ同時に上記の2つの事実が公開されました。ともにマルウェア(コンピュータウイルス)に関するニュースであり、ともに記事だけからは、ネット社会に取って悲観的にならざる得ない内容です。
まず、「対策ソフトも有効ではない」とすると、どうすれば良いのか、高価な対策ソフトを導入しても無駄なのかとの声が聞こえてきそうです。記事を文字通り読めば、どのような対策をしてもウイルスに感染し、たちまち不正送金の被害にあいそうです。
しかし十分な対策をすれば被害にあう事は滅多にありません。昨今問題になっているネット銀行の不正送金でも、銀行の指示、注意に従っていれば補償を受ける事もできます。まず、対策ソフトを導入すること、常にアクセス、つまりパスワードを入力する際は注意し、いつもと異なる表示や手順が示されたときは処理を止め、電話等で銀行に問い合わせるべきです。そうすれば被害にあう確率は極めて低くなります。「いつもと異なるなど、そのような曖昧な基準では対処できない」と言う人もいますが、ウイルスに感染してしまう人の多くは、少し違和感を感じながらも、パソコンやネットの指示を信じ込んで処理を進めてしまう人たちなのです。一つ一つの操作、入力を注意しながら行う事によって、ウイルス感染を防げる場合も少なくないのです。
ネット銀行も、強盗や空き巣と同様、絶対に被害にあわないわけではありません。しかしその可能性を0に近づける事は可能です。危険な箇所に無防備で歩いたり、家の鍵を閉めないで出かけたりすれば被害にあう可能性が高くなるのと同じなのです。
ランサムウェアと呼ばれる、いわば脅迫ウイルスの記事中、二つのことが明らかになっています。一つはGoogleやYoutube等での広告でもウイルスに感染するという事です。以前は怪しげなサイトを閲覧して、その記事や広告等をクリック(タップ)し、感染に至ることが指摘されていました。「怪しげなサイトは閲覧しない」というのは、一つのウイルス感染対策だったのです。しかし、手口が巧妙になった現在、完璧に安心できるサイトは存在しないのです。
そしてランサムウェア型ウイルス。一部、暗号化されたファイルを復号できるという報告もありますが、大概の場合、復元できません。身代金を支払っても復元できないのです。逆に支払いに応じれば、たかりと同様、何度も脅迫されたり、いわゆる、「かも」リストに登録されたりします。
ウイルス対策は最重要ですが、やはり万が一の感染した場合の対応を含めて、最悪の事態を防ぎ、最小の被害に押さえ込む、つまり危機管理対策(リスクマネージメント)が重要です。たとえば、ファイルのバックアップ対策や、ネット銀行ならば決済用と、ネットからアクセスが困難な貯蓄用の口座を分ける等です。