各都道府県別20代男女の東京流出率でわかる「関西男と東北女の行く道」
若者が作る東京一極集中
日本の都道府県間の人口移動のほとんどは20代の若者で占められている。大きな距離を伴う都道府県間の移動は若者だけである。つまり、都道府県の社会増減は若者によって決まる。東京圏の人口集中は若者集中なのである。
→日本の人口移動は若者によって決まる~東京圏からの人口流出など起きていないという事実
とはいえ、かつて、東京も人口流出した時期があった。1970年代と1990年代である。1970年代の東京からの流出は、ドーナツ現象と呼ばれたもので、主に30-40代の子育て世代が郊外に一戸建てをかまえ、移動したことによる。1990年代の東京流出はバブル崩壊によって「都落ち」した人が多かったことによる。
コロナ禍で地方への人口流出などがたまにニュースで報じられたが、あくまで月単位の突発的状況に過ぎず、年間通した社会増減は相変わらず東京一極集中であることに変わりはない。その理由も明確で、若者が東京など移動する理由は仕事を求めてのことである。
若者の流出と婚姻率
その20代の若者の東京への流出が、結果的に地方における婚姻減の要因のひとつともなっている。そもそも若者の人口が少ないのであれば婚姻数も減ってしまうのは当然である。
それは婚姻率の長期推移を見ても、近年東京が常に第一位であり、青森、秋田などの人口減少地域が低位置にくることからもわかる。
東京は未婚率も高いではないかと思うかもしれないが、確かにその通りだが、未婚率が高いエリアほど婚姻率も高い。要は、大都市においては、結婚できる者とできない者の格差が拡大しているとともに、大都市ほど「一人で快適に生きられる環境」であるからである。
→「地方にいたら結婚できない婚難化現象」過去85年間で最大となった大都市と地方との婚姻格差
都道府県別東京流出率男女差
では、具体的に都道府県別にどれくらい東京流出率の違いがあるのかについて、男女別に見ていきたいと思う。
総務省の人口移動報告統計に基づき、20代男女を抽出して、2022年の東京への流出人口を各都道府県の20代男女それぞれの人口にて流出率を割り出し、その男女差分を一覧にしてみた。要するに、各都道府県の20代男女で、東京に行っている割合が男が多いのか、女が多いのかを比較したものである。。
はっきりと東日本と西日本とで差が出た。赤色が女性の東京流出が多いエリアで、青色は男性の方が多いエリアである。色の濃い方が男女差が大きい。
東北から関東にかけて東日本は全体的に、各都道府県とも男性より女性が多く東京へ流出している。もっとも女性流出率が高いのが秋田である。次いで青森、栃木が多い。
逆に、西日本は男性の方が多く東京に来ている。もっとも男性の東京流出率が高いのが大阪で、奈良、兵庫など関西圏は全体的に男性の流出が多い。西日本で、女性の方が多く東京にきているのは、島根、徳島、愛媛、大分、沖縄だけである。
つまり、東京に集まってくる20代は関西男と東北・関東女が多いということになる。
「男余り」地域差を作っている要因
これは、裏返せば、東日本は地元に若い男が残り、西日本は若い女が残るという構図にもなる。
以前に都道府県別の「男余り現象」について記事化したが、北関東り茨城、栃木をトップとして東日本全体が男余りで、西日本はそれほどでもない状態であった(但し、基本的に47都道府県すべて濃淡はあれど男余りである)。その結果を作っている要因がこの20代東京流出の男女差であるといえる。
→魅力度ランキングで常に最下位争いをする茨城・栃木は「男余り現象」も激しい
これは各都道府県20代男女人口をベースに計算した流出率なので、東京に流入してくる絶対人口としては、元々人口の多い大阪、愛知、広島、福岡などになるのだが、こうして各都道府県別の流出割合の男女差で見ると、明らかに地域の違いが顕著に出るのが面白い。
意外に、全国的に、必ずしも20代の女性が東京のキラキラ女子に憧れて上京するわけではないようだ。
とはいえ、東京に来ないからといって地元に残っているわけではない。西日本は西日本内で移動が集中しているエリアがある。
東京への流出率だけではなく、大阪、愛知、福岡それぞれの男女差なども計算したところ、そちらの結果もなかなか面白かったのだが、それは次回にて。
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