英国ジョンソン首相キーウ訪問・ウクライナ軍に超小型ドローン「Black Hornet」850機提供
上空からだけでなく建物の中や森の中など人間が入れない場所の監視・偵察の「道先案内」へ
イギリスのジョンソン首相はウクライナの独立記念日の2022年8月24日に、首都キーウを電撃訪問。イギリス政府として最新型ドローン2000機、弾薬など5400万ポンド(約88億円)の追加の軍事支援をゼレンスキー大統領に約束した。
その軍事支援のなかで、イギリス政府はウクライナ軍に対して「Black Hornet」という超小型のマイクロドローンを850機提供することを明らかにした。手のひらに乗って、手のひらから発射できるほどの超小型ドローンで、市街地や戦場でのロシア軍の偵察・監視に使用する。「Black Hornet」はノルウェーの軍事企業が開発した超小型ドローン。上空からロシア軍の動向を監視するだけでなく、人が入れないような建物や森の中などにも超小型ドローンなので入っていくこともできる。紹介動画もあるので見て頂ければ、超小型であることが理解できる。
▼超小型ドローン「Black Hornet」
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。
監視・偵察に使用されるのは小型ドローンか中型ドローンがメインで「Black Hornet」ほど超小型ではない。そのため上空からの監視・偵察がほとんどだった。またロシア軍によって多くの監視・偵察ドローンは迎撃されて機能停止されるか、破壊されている。
ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止する必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。
監視・偵察ドローンは探知されやすく、すぐに迎撃されてしまう。監視・偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止したりする必要がある。それだけ監視・偵察ドローンは軍にとって「上空の目」として重要なものである。
「Black Hornet」は超小型で上空からだけでなく、建物の中や森の中など人間が入っていけない場所にも入っていくことができる。「上空の目」だけでなく「あらゆる場所での目」としてウクライナ軍の道先案内になる。