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NY金7日:米雇用統計後のドル安続かず、反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比8.00ドル安

始値 1,214.70ドル

高値 1,215.90ドル

安値 1,207.50ドル

終値 1,210.60ドル

米雇用統計発表後のドル安が続かなかったことを受けて、戻り売り優勢の展開になった。

3日に発表された3月米雇用統計は市場予測を大きく下回り、マーケットでは米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手時期が先送りされることに対する警戒感が強くなっている。もっとも、事前に早期利上げ観測を織り込んでいた相場ではなかったこともあり、継続的なドル安圧力は観測されていない。本日は逆にドル高方向に振れたことで、それと歩調を合わせる形で金相場は軟化している。ニューヨークタイムには原油相場の上昇に刺激を受けて買いが膨らむ場面も見られたが、前日終値水準を回復するまでの勢いはなく、引けにかけては再び売られる展開になっている。

米雇用統計は間違いなくFRBの早期利上げを支持しない内容になったが、マーケットでは必ずしもこれによって政策判断が大きく修正される環境にはないとの見方が支配的。ニューヨーク連銀のダドリー総裁も、一時的要因が影響した可能性を指摘しており、来月以降の統計で雇用環境の改善傾向が確認できれば、利上げ議論に急ブレーキを掛けるような状況にはならない見通し。過去のパターンを振り返ると、雇用統計は一度悪化すると2、3ヶ月は低迷状態が続く傾向が見られるが、4月分以降の統計で改めて雇用拡大のトレンドが確認できれば、少なくともドル相場上昇・金相場下落のメガトレンドに変化は生じないだろう。

オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)が追加利下げを見送るといったサプライズもあったが、FRBが利上げ着手に極めて近い位置にいる基本環境には変化がみらえず、ドル高傾向にも変化は生じない見通し。米金融政策環境の織り込みが困難な状況が続く中、緩やかなドル高傾向と連動する形で、金相場も緩やかな下値切り下げ傾向が維持される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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