「ONE PIECE FILM RED」がアメリカで公開。観客評価は「A」、ファンは若い男性
この夏日本で大ヒットした「ONE PIECE FILM RED」が、4日、北米で公開された。
上映館は2,367と、全国規模。現地時間日曜日午前中現在、3日間の売り上げは947万ドルと推定されており、公開3週目を迎えた「ブラック・アダム」の1,850万ドルに次いで2位デビューとなった。今年8月に北米公開され、2,100万ドルを売り上げて首位を獲得した「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」の半分以下だ。ただし、「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」は、3,018館と、やや多いスクリーン数で公開されている。
売り上げの40%近くはIMAXなど特別料金がかかるチケットから来ていることから、ファンは最高の形でこの映画を見たいと思っていたことがうかがえる。そして実際、ファンは満足の行く体験をしたようだ。観客の感想を調査するシネマスコア社によると、観客評価は「A」。コムスコア社とスクリーン・エンジン・ポストトラック社の出口調査によれば、観客の76%が男性、75%が18歳から34歳だったとのこと。人種別に見ると、白人は23%、ラティーノ/ヒスパニックは37%、黒人は18%、アジア系とその他は22%。ファンは圧倒的に若い男性だが、人種はさまざまということだ。
批評家受けも良く、Rottentomatoes.comによると95%が誉めている。これは「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」の92%より上だ。だが、「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」と違い、「Los Angeles Times」「New York Times」などメジャーな新聞には批評が掲載されていない。批評を掲載した媒体の絶対数も「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」の半分以下で、シリーズとしての認知度はやはり「ドラゴンボール」のほうが断然高いと感じられる。
初めての人でも楽しめるのか
これらの批評のほとんどは、このシリーズがいかに長いこと日本で続いてきたのかを説明し、初心者も入っていけるのかどうかについて書いている。これは「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」の時と同じだ。
たとえば、業界サイト「Indiewire」のエマ・ステファンスキーは、「テレビで1,000話以上が放映され、映画もたくさん作られて、原作も100巻以上ある上にまだ続いているようなシリーズの場合、時々しか見ない観客は淘汰され、熱心なファンだけが残るようになるものだ。1999年から放映され、多くのキャラクターが出てくるアニメ『ワンピース』も、時々見ているだけの人に、キャラクターに何が起こったのかをしっかり把握するのは不可能。それは最新の映画『ONE PIECE FILM RED』にも言える。だが、これはこれで独立してもいて、筆者のようにここしばらくこのシリーズを見てこなかった人も楽しめるようになっている」と書いた。彼女による今作の評価は、「B+」。
やはり業界サイトである「The Wrap」のサイモン・エイブラムスも、「ありがたいことに、スーパーパワーを持つ歌姫を中心にしたこの最新映画は、バックストーリーもわかりやすく、良いアクションシーンもいくつかあり、初めての人にも楽しめるだろう」と書いている。エイブラムスはまた、「Adoと中田ヤスタカは、ウタを本物のポップスターと信じさせ、やや緊迫感の欠けるストーリーを持つ今作に、必要とされるエネルギーを与えた」と、音楽についても誉めた。
一方、「Variety」のピーター・デブルージュは、「谷口悟朗監督と脚本家の黒岩勉は、観客を混乱させることを恐れていないようだ。また、初めての観客のためにわかりやすくするということにも興味がないようで、それらの人たちは大勢のキャラクターが出てくる『ワンピース』のユニバースを理解するのに苦労するだろう」と見る。その上で、「しかし、忠実なファンの目に、ウタはとてもエキサイティングなキャラクターとして映るはず。彼女はシャンクスを呼び戻し、ルフィと仲間を新たな方に連れて行く役目を果たすのだ」と述べた。
最終的な「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」の北米興行収入は、公開初週末の売り上げの1.8倍である3,800万ドルだった。アメリカにおいて、シリーズ物のアニメ作品にはコアなファンがついており、彼らは公開と同時に劇場に駆けつけるため、早いうちに興収の大きな部分を売り上げてしまうことが多い。「ONE PIECE FILM RED」は、最終的にどこまで数字を伸ばすだろうか。