小池知事「国政転身」に黄信号?支持率急落、転身反対72%=JX通信社 衆院選第2回情勢調査
選挙結果を踏まえた最終の分析
3週間の独自調査データで分析する、小池知事・希望の党「戦略の不在」(10月23日公開)
この1週間で、都内での小池百合子知事の支持率が急落している。筆者が代表を務めるJX通信社が先週に引き続き9月30日(土)・10月1日(日)の両日に実施した東京都内での衆院選情勢調査で、小池百合子知事を「強く支持する」「どちらかと言えば支持する」と答えた有権者は先週から10ポイント減って48%となった。
知事の国政転身は「ハイリスクなギャンブル」か
また、取りざたされている小池知事の辞職と国政転身については、72%が「どちらかと言えば反対する」または「大いに反対する」と答えた。「大いに賛成する」「どちらかと言えば賛成する」と答えた有権者は21%にとどまっている。
中でも「大いに反対する」と答えた有権者は全体の46%に上っており、半数近い有権者が知事の国政転身に強く反対している実態が明らかになった。元々小池知事を支持しない層が反対するのはともかく、知事を支持する層の内訳で見ても、最多は「どちらかと言えば(転身に)反対する」とした回答になっていることがポイントだ。
現在開かれている都議会9月定例会は10月5日(木)に閉会し、衆院選は10月10日(火)に公示されるため、小池知事が衆院選に出馬する場合にはこの5日から10日の間に辞職するとの見方が多い。しかし、今回の調査結果は、もし小池知事が実際に国政に転身する道を選べば、都内での高い支持を危うくしかねない大きなリスクを負っていることを示している。知事の支持層の多くは「どちらかと言えば支持する」と回答しており、かつて大阪市の橋下前市長が述べたところの「ふわっとした民意」によって支えられている。つまり、知事の支持基盤は東京都内でも盤石ではないのだ。ちなみに、同じ期間に安倍政権の都内での支持率も前回の46%から今回の40%へと6ポイントの下落となっている。複数の報道機関から全国世論調査の結果が発表されているが、この下落傾向はそれらとも整合する。
一方で、衆院選の比例東京ブロックでどの政党に投票したいかを問うた質問では、小池知事率いる希望の党を選んだ有権者が29%に上り、第1党に躍り出ている。自民党が28%と僅差ながら2位となり、共産党(10%)、公明党(5%)と続いている。なお、本項目については一連の政治状況や選挙構図の変化を考慮し、今回から設問とその回答方式を変更した。具体的には、前回調査で行っていた未定・不明回答者への重ね聞き方式を今回から外す変更を行ったことに加えて、投票意向を比例区に絞って聞いている。従って、前回と今回とで投票意向先の数値に関しての連続性は無いことに留意されたい。
都政運営に影響?公明支持層が「野党化」
国政で支持する政党を聞いた設問では「支持する政党はない」とした無党派が39%で最多となり、自民党が27%、そして希望の党が16%と続いている。投票意向先や安倍政権の支持層別の数字と照らし合わせると、希望の党に投票するとした層が主に無党派や安倍政権不支持の層に支えられて「受け皿」になりつつあることが分かる。一方、知事が「反政権」「保守」の色を前面に出し始めたことや、公明党が希望の党との対決姿勢を明確にしたことにより、自民・共産・公明3党の支持層では小池知事を支持しないとする回答が大きく上回るようになった。知事の支持率下落はこうした変化の積み重ねが表出した結果であり、言い換えれば知事の「衆院選シフト」の結果だ。
特に公明党支持層はその傾向が強い。先週の調査では8割以上が知事を支持していたにも関わらず、今回の調査では3割台に急落している。7月の都議選では「知事与党」を前面に打ち出して都民ファーストの会と連携した公明党だけに、支持層の「野党化」とも言える態度変化が目立つ格好だ。小池知事がそのまま続投したとしても、この変化が今後の都政や都議会の運営に影響を及ぼす可能性は大きそうだ。
こうした「激動」ともいえる一連の動きを受けてか、今回の衆院選に大いに関心があるとした有権者は、前週の55%から12ポイント上昇して67%となった。投票率の上昇にもつながりそうだ。
JX通信社では、昨年の東京都知事選や今年の東京都議選を通じて、都内の有権者を対象に十数回に渡る情勢調査を実施し、情勢分析や選挙結果の予測を発信してきた。今回の総選挙でも東京都内を中心に継続的に情勢調査を実施し、本稿を通じてその結果を発表していく予定だ。