人口2600万人の上海市で大規模ロックダウンが開始 「食料は足りているか?」市民たちの反応は
新型コロナウイルス(オミクロン株)の感染が急拡大している中国最大の経済都市、上海市で28日から4月5日まで大規模なロックダウン(都市封鎖)が始まった。
3月26日に2676人の感染者(無症状者を含む)が確認され、国内最多となったことを受けて、上海市政府が踏み切ったものだ。
3月27日、市政府は上海市を2分割して、まず東側地区は28日から4日間、西側の地区は4月1日から5日まで封鎖する、と発表した(3月27日は3450人で過去最多を更新)。
その間、医療従事者や宅配業者など以外は一切外出禁止。一部のインフラ関連企業を除き在宅勤務となり、店舗などはほぼ閉鎖。地下鉄やバスなどの公共交通機関やタクシーも運行が停止されることが合わせて発表された。
4日間ずつの封鎖に踏み切る
具体的には以下の発表があった(市政府発表に一部補足)。
3月28日午前5時から上海市の黄浦江(川)を境として、東側の地区(浦東国際空港や金融街などが集中する浦東地区、南側の住宅地など)を封鎖する。全市民にPCR検査を実施し、4月1日午前5時に封鎖を解除する。
4月1日午前3時から西側の浦西地区(上海市の中心部、南京路など有名な観光地、虹橋空港、日系企業、日本人などが多く居住する地区など)を封鎖する。全市民にPCR検査を実施し、4月5日午前3時に封鎖を解除する。
スーパーには早朝から長蛇の列
27日夜からロックダウンの情報が流れた上海市民の間では大騒ぎとなり、SNSを中心に情報が飛び交った。とくに、真っ先に心配されたのが食料確保だ。
上海の西側、長寧区に住む女性は朝6時半にスーパーに駆け込み、できる限り多くの食料を買いこんだ、とSNSに投稿した。
購入した商品の写真とともに、近隣のスーパーはすでに入場規制されていて入れない、別のスーパーにはパンやコメがないがそれ以外はまだある、などの情報も友人たちに共有した。
「私は朝6時半に行ったので間に合いましたが、7時に行った人はすでに購入できる商品が限られていたと思います、すでに長蛇の列でした」(女性)
同じく西側の地区に住む他の女性もスーパーに並ぶ長蛇の列の写真を載せつつ、次のように話してくれた。
「備蓄があるので大丈夫ですが、急なことで慌ててしまいました。でも、数日前から上海がロックダウンされるんじゃないか、という噂はあちこちで飛び交っていたんですよ。うちは大丈夫ですが、野菜はどこもかしこも、売り切れです。スーパーによっては野菜や肉の奪い合いで大騒ぎになったところもあるようで、混乱も生じているそうです」
以前からロックダウンに備えていた
とくに浦東国際空港などがある東側の地区の住民は急な市政府の発表に慌てたようだが、食料確保の面で、全体的に見れば、今のところ大きな問題は起きていないようだ。
むろん、スーパーは品切れが続出し、買いたいものを購入できなかったという不満をもらす人も多いが、3月に入って以降、上海ではマンションごとに2~3日のプチ封鎖が何度も繰り返されており、封鎖が解除されるたびに買い出しに走り、備蓄していた人々が多かったからだ。
家族総出で、あるいは夫婦で手分けして、複数のスーパーに行き、できるだけ、日持ちする食品を買っていた人も多く、「新鮮な野菜以外は家に何でもある。冷凍の肉だけで1カ月分以上はある」と話していた人もいた。
上海市政府の手腕が問われる
中国ではこれまでも武漢、西安などで厳しいロックダウンが行われてきた。とくに昨年末に実施された西安のロックダウンでは食料不足が深刻化し、一部でパニックが発生。
市政府が地区ごとに食料配給を行うなどの措置を講じたが、西安市政府のかじ取りのまずさが露呈し、市民から批判を浴びたこともあった。
中国は都市によって、行政のやり方がそれぞれ異なり、その差がコロナで露呈したともいわれている。
上海市はこれまでもコロナの封じ込めでは比較的成功してきたといわれてきたが、感染力の強いオミクロン株の感染拡大に対し、今回、強力な措置に出た。
3月に入って以降のプチロックダウンにより市民の間の「覚悟」はできていた模様だが、ロックダウンによりどれだけの効果が期待できるのか、市民の間で不安が広がっている。