9歳以下の子供達はスマートフォンを使ったインターネットで何をしているのか(2020年公開版)
好奇心旺盛な子供達にとって、スマートフォンが魔法のアイテム的存在であることは言うまでもない。その子供達はスマートフォンでどのようなサービスを利用しているのだろうか。その実情を内閣府が2020年4月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」(※)の内容から確認する。
次に示すのは調査対象母集団のうちスマートフォン(汎用のもの。契約切れやいわゆる格安スマホは除く)でインターネットを利用している人における、その利用内容を複数回答で尋ねた結果。動画視聴をしている人がもっとも多く、約8割を示す形となった。なおグラフの横軸の具体的項目名は報告書の並びに準じている。
次いで多いのはゲームの49.5%。スマートフォン本体に初めからインストールされているものか、アプリゲーム、ウェブゲームのような種類の詳細までは問われていないので判断はできないが、スマートフォンでインターネットにアクセスしている子供の半数近くはゲームをしていることになる。
勉強・学習は2割近く。元々スマートフォンを学習目的で子供に使わせているケースもあることを考えると、この値は相応のものだろう。他方、電子書籍は1.2%。今調査の限りではスマートフォンで電子書籍を読んでいると認識している子供はほとんどいないことになる。
コミュニケーション(メールやメッセンジャー、ソーシャルメディアの利用)は10.1%、情報検索は8.8%と、いずれも1割程度。子供達のスマートフォンによるインターネットライフは、ほとんどが動画とゲーム、そしてせいぜい勉強や音楽目的といった表現が妥当だろうか。
これを年齢階層別に区分したのが次のグラフ。年齢階層の多くの回答者数が2ケタのため(ゼロ歳は1人)、統計的なぶれが生じている部分もある。
スマートフォンでの動画視聴はゼロ歳から行われている(もっともゼロ歳は1人しかスマートフォンでインターネットを利用している人がいないので、統計的には精査に値しない)。年齢とともに利用率は下がる傾向はあるが、同じタイミングでゲームの利用率がおおよそ上がっているので、興味が動画からゲームに移るのかもしれない。もっともいずれの年齢でも動画を観る人が6割を切ることはない。
勉強・学習はややばらつきがあるが、5歳をピークとして、それ以降は利用率が下がる。他方、コミュニケーションや情報検索などはおおよそ年齢とともに値を増やしていることから、学習的な使い方も少しずつ複雑化していくものと考えられる。
ぶれも合わせ多少の差異はあるが、年齢を問わず、動画視聴とゲームがスマートフォンでインターネットを使う低年齢層の主な使い道であることに変わりはない。子供達にとってスマートフォンは動画を楽しみ、ゲームで遊ぶ、エンターテインメントマシンのような存在なのかもしれない。
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※青少年のインターネット利用環境実態調査報告書
今件は「青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」内の「低年齢層のインターネットに関する利用実情」の報告部分が該当する。同調査は2020年1月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を持つ保護者を対象に、同年1月10日から2月14日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は3000人、有効回答数は2225人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ61人、38人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。