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7月は外国人が円債を大幅買い越し

久保田博幸金融アナリスト

日本証券業協会が20日に発表した7月の公社債投資家別売買高(除く短期証券)によると都銀は4527億円の売り越しとなった。5月、6月は2か月連続での買い越しとなっていたが再び売り越しに転じた。国債投資家別売買高をみると7月は中期債主体の売り越しとなっており、長期や超長期のポジションはあまり変化せず。

地銀は5955億円の買い越し。6月は1531億円の売り越しとなっていた。6月は長期債を大きく売り越していたが、再びその長期債主体に残高を積み上げた格好に。

信託銀行は5184億円の買い越し。6月は1兆871億円の買い越しとなり、業態別では最大の買い越しとなっていたが、7月は買い越し額は6月よりは減少していた。7月は中長期債主体の買い越しに。

信金は3928億円の買い越し。6月の6919億円の買い越しからは減少。こちらは長期・超長期債主体の買い越し。

生損保は5444億円の買い越し。6月は7680億円の買い越し。引き続き超長期債主体に買い越していた。

投資信託は4945億円の買い越し。6月は6385億円の買い越し。こちらは引き続き中期債主体の買い越しとなっていた。

今回目立っていたのは外国人の買い越し額であった。7月は1兆2821億円もの買い越しとなっていた。ちなみに6月は715億円の売り越し。7月の買い越しは長期債主体ながら万遍なく買い越しとなっていた。超長期債が2304億円、長期債が6465億円、超長期債が3948億円のそれぞれ買い越しに。

債券相場は7月も上昇相場が続いていた。7月17日にウクライナ東部でマレーシア航空機が撃墜された。さらにイスラエルがパレスチナ自治区ガザに対する地上作戦を開始するなどしたことで地政学的リスクが強まり、安全資産として日本国債を含めて国債に買いが入ったとみられる。

今回の投資家別売買状況をみても、都銀は売り越しとなったものの、ほかの業態は総じて買い越しとなり、外国人もリスク回避の動きから大きく買い越していた。さらに日銀による国債買入もあるため、好需給が継続していた。

8月に入ってからも債券相場は膠着感を強めながらじりじりと上昇し、10年債利回りは0.5%を割り込んだ。しかし、8月18日に先物の日中値幅が4銭と1988年以来の狭いレンジとなったあたりから、やや地合いが変化し調整局面入りした。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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