台風11号 本州への影響は? スピード速まり、広範囲で強風のおそれ
大型で強い台風11号は3日(土)午後3時現在、石垣島の南海上を北上していて、3日夜は宮古島と石垣島の間の多良間島付近を通過する見通しです。
その後は、東シナ海を北上し、5日(月)午後は進路を東寄りに変えながら、九州に近づくでしょう。九州に最も近づくのは6日(火)日中で、夜には日本海に達する予想となっています。
転向点を過ぎるとスピードアップ
台風が東寄りに進路を変える地点を「転向点(てんこうてん)」といい、ここを過ぎると偏西風の影響を受けて、徐々にスピードが速くなります。台風11号も北海道付近では時速75キロと車並みの速さとなる見通しです。
速くなるとどうなるの?
台風はもともと中心付近で猛烈な風が吹いていますが、偏西風の影響を受けて、スピードが速くなると風の強いところが外側にぶわーっと広がります。これは秋の台風によく見られる特徴で、台風から離れていても風が強く吹く可能性があるのです。
では、台風11号が本州に近づいてきたら、風の強さがどのように変わるのか、予想図を見てみましょう。
【5日(月)】木が大きく揺れ、風に向かって歩きにくい
下図の暖色は風の強い所を示していて、濃い色ほど暴風となるおそれがある場所です。5日午後は九州で、風が徐々に強まる様子がうかがえます。
【6日(火)】予想を超える強風も
台風が接近する6日は西日本の広い範囲で風が強まります。風は周囲の状況に影響を受けやすく、海岸や橋の上など開けた場所ではより一層風が強まりやすいので、注意が必要です。下図では豊後水道で風が強まる予想となっています。
【7日(水)】稲やりんごなど農作物に影響か
日本海を進む台風は温帯低気圧としての性質が強くなるため、ますます強風の範囲が広がります。6日~7日は北日本でも風が強まるでしょう。
収穫期を迎えている梨やりんごにキズがついたり、色づき始めた稲が強い風で倒れたりするなどの被害が心配されます。
台風で竜巻発生も
台風11号と似ている台風を調べる途中で、あることに気がつきました。台風を取り巻く発達した雨雲により、竜巻が発生したことです。
今から3年前の2019年9月の台風17号では宮崎県で強さ(JEF)2の竜巻が、2006年9月の台風13号でも宮崎県延岡市で強さ(F)2の竜巻が発生し、3人が亡くなる被害がありました。
台風の被害は強風に限ったことではなく、今後、台風11号では太平洋側で局地的な大雨があるでしょう。きょうは台風11号の風に焦点を当てて解説してみました。
【参考資料】
気象庁:令和4年台風第11号に関する情報
気象庁:竜巻等の突風データベース、2006年9月17日宮崎県延岡市で発生した竜巻
デジタル台風