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ダイエット、そして育毛。「R-1」王者・三浦マイルドの今

中西正男芸能記者
「このままでは終われない」と奮起する三浦マイルド

 2013年、ピン芸人No.1を決める「R-1ぐらんぷり」で優勝し、一躍注目された三浦マイルドさん(40)。翌年に拠点を大阪から東京に移しましたが、ほぼアルバイトの収入でやりくりする生活が続いています。優勝から5年。「多くの人が“三浦マイルドはもう終わっている”と感じていると思いますが、このままでは終われない」と本音をむき出しにして語りました。

先月は7000円

 東京に出てきたのが2014年の春なので、今で丸4年が経ちました。今のメインの仕事ですか?そうですねぇ…、う~ん、メインと呼べるものはないですね。前回(所属する吉本興業の劇場)ルミネtheよしもとに出たのも、3ヵ月ぶりくらいでしたね。週に3回くらい、他事務所の芸人さんから声をかけてもらってインディーズ的にやっているライブに出るのが、メインと言えば、メインですかね。

 2013年に優勝して、忙しかったのは、正味の話、1ヵ月くらいだけでした。優勝者がいろいろな番組に呼んでもらえる、いわゆる“1周目”が終わったら、みるみる仕事のスケジュールが空いていって。吉本から来る仕事としては、月に3日か4日くらいの稼働。それが4年ほど続いています。今はアルバイトで清掃の仕事をしていて、その収入がだいたい月に10万円くらい。吉本からの収入は、先月でいうと7000円でした。

賞味期限切れ

 今から考えると本当にそうですし、実際に周りの方にも言われたのが「東京に出てくるのが遅すぎた」ということでした。2013年の2月に優勝して、出てきたのが翌年の春。出てくるまでに1年以上経っている。自分としては、育ててもらった大阪で、まずはしっかりと舞台に出られる基盤、地力を作ってから東京に行くべきだと思ったんですけど、当然、鮮度は失われますし、まだ多少でも「R-1」優勝の余波がある時に動かないと、どうしようもないと…。生々しい言葉ですけど、スタッフさんから「賞味期限、切れているよ」とも言われました。実際、今となったら自分でも思いますけど、それだけタイムラグがあって東京に来られても、吉本の社員さんからしたら、粗大ごみが流れてきたようなものだと思います。

 いわゆる“1周目”の期間でテレビにも出してもらいましたけど「こいつ、何にもできないな…」と思われていたと思います。どこか自分の中では「R-1」で優勝してゴールテープを切った思いがあったんですけど、本当はそこからがスタートだったんですよね。当たり前の話なんですけど。それでも、芸人として伸びたかったから、より芸人がたくさんいて、より過酷なところでやった方が自分として伸びしろがあるのではと思い、東京に出てきたんです。自分はテレビで売れることはできなかったけれども、せめて舞台で「さすが『R-1』で優勝しただけのことはある」というのを見せないといけない。東京に出てきて、そういうことをルミネでできれば…。東京に来た時の思いはそういうことだったんです。

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自分が変わる

 ただ、上京して1年ほど経った頃でしたかね。送られてきた月間スケジュールを見たら、真っ白やったんです。これは本当にショックでした。「完全に戦力外なんだな…」と。もう使い物にならない。それを言葉ではなく、ポンと目で見せられて、より心に響きました。

 自分が思っていたイメージとは全く違うし、何もかもうまくいかない。酒におぼれた時期もありますし、いつも文句を言って周りのせいにしてという時期もありました。本当にひどい時期でした。ただ、エエ格好をするわけでもなんでもなく、そんな時間を経験して、やっぱり、自分の問題だということを今は強く思うようになりました。

 劇場出番がないというのも、そりゃ、この商売は人気商売ですからね。ずっと、自分の中で「人気なんか関係ない。おもしろかったらエエんや」という思いがあったんですけど、正直、三浦マイルドを出して、毎日100人、200人お客さんが来てくださるんだったら、劇場側も出してくれると思うんです。出番がないということは、そうじゃないということ。シンプルにそう思うようになりました。

 売れないと必要とされない。実際、テレビで売れている人がルミネにも立っている。白紙のスケジュールが来た時には、会社に対する腹立たしさもあったんですけど、よく考えたら、会社を儲けさせたこともない芸人ですからね。やっぱり状況を変えるには、自分が変わるしかないと思ったんです。

できることはやる

 自分の力で変えられるところは、変えていこうと。まずは見た目を変えようと思って、実は今、育毛をしているんです。皆さん、思うことは同じで「今さら」と思われるでしょうけど(笑)、努力で何とかなるかもしれない部分は何でもやろうと。去年の夏頃から始めているんですけど、ちょっと生えてきてるんですよ。ま、普通に考えたら、ノーマルにハゲていると思うんですけど(笑)、触ると産毛がしっかりと生えてきているんです。自分の中では30代前半くらいまでは戻ってきているかなと。

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 あと、体重も落としました。今年2月で72kgだったんですけど、今は63kg。全体的に食べる量を減らしたというのと、冷たいごはんの方がカロリー摂取が抑えられるという“冷やしご飯ダイエット”を組み合わせて、今、何とか少しやせました。

 家も、上京以来ルームシェアをしていて、家賃165,000円のファミリーマンションを後輩3人と家賃を4等分して暮らしていたんですけど、独り暮らしに変えました。家賃52,000円の1Kなんですけど、今一度、自分を見つめ直すべきだと思いまして。

「R-1」への思い

 「『R-1』を取っても売れない」という人もいますけど、それを言われていること、言わせていることの責任は僕にもある。僕にとって「R-1」には恩義しかないですし、僕みたいなろくでもない人間が唯一させてもらった親孝行が優勝でした。親が本当に喜んでくれました。だからこそ、恩返しをするためには、やっぱり売れるしかないんです。

 三浦マイルドは、もう終わっている。多くの人がそう感じていると思います。ただ、ここから「三浦マイルド、よく盛り返したな」とならなきゃなと。売れている芸人、少なくとも、必要とされる芸人にはなりたい。育毛やダイエットの先に確実に道が拓けるのか、それは分かりませんが(笑)、できることはやらないと申し訳ない。

 …スミマセン、思いがあまりにも強すぎて、何のおもしろみもないリアルのみの話ですけど、こんなんで記事になるんですかね(笑)。

(撮影・中西正男)

■三浦マイルド(みうら・まいるど)

1977年10月18日生まれ。広島県出身。本名・三浦健一。2000年に大阪NSC23期生として入学。同期は友近ら。「R-1ぐらんぷり2013」で優勝し、翌年から拠点を大阪から東京に移す。5月31日には東京・新宿バティオスで単独ライブ「ストロングスタイル2018」を開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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