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ドラフト候補の左腕が好投してドイツに快勝――第4回U-23ワールドカップ

横尾弘一野球ジャーナリスト
ドイツを相手に好投するドラフト候補の富田 蓮(写真=彭善豪)。

 2014年に21歳以下(オーバーエイジあり)の世界一決定戦として産声を上げ、2016年から23歳以下にあらためられた第4回U-23ワールドカップが10月13日に台湾で開幕した。出場12チームがホストのチャイニーズ・タイペイ、コロンビア、ドイツ、日本、南アフリカ、ベネズエラのグループA、オーストラリア、キューバ、メキシコ、オランダ、プエルトリコ、韓国のグループBに分かれて総当たりし(オープニング・ラウンド)、各グループの上位3チームがスーパー・ラウンドに進出。異なるグループと対戦した通算成績で順位決定戦を行なう11日間の大会は、13日の開幕戦でチャイニーズ・タイペイがコロンビアを6対2で下し、熱戦の火蓋が切られた。

 第1回で優勝している日本は、これまでプロと社会人の混成チームで出場してきたが、今回から社会人のみでチームを編成。ドラフト指名が解禁となった6名を含む23名は、プロ球団のスカウトも注目する逸材ばかりで、世界一を目指してどんな戦いを見せてくれるか楽しみだ。

 そんなU-23日本代表は、10月14日のオープニング・ラウンド第1戦でドイツと対戦。ドイツ出身で日本にも縁がある選手と言えば、1999年に阪神でプレーしたマイク・ブロワーズくらいしか思い出せず、ドイツの野球は日本のファンには馴染みが薄いかもしれない。ただ、この試合に先発した180cmの右腕・ニコラス・グベルはアメリカの大学でプレーしており、リードオフを務めるコディ・シュルツは9月に開催されたワールド・ベースボール・クラシックのドイツ代表にも選出されるなど、近年の成長著しいチームである。

ドラフト候補の左腕・富田 蓮が好投で流れを引き寄せる

 日本は、1回表の攻撃で3者連続三振。嫌なムードが漂ったが、「だからこそ流れを引き寄せたかった」という先発の富田 蓮(三菱自動車岡崎)が、丁寧かつ勢いのある投球で3者凡退に仕留める。すると、2回表の先頭で打席に入った四番・藤井拓海(四国銀行)が外角高目のストレートを鋭く振り抜き、ライトスタンドまで運ぶソロ本塁打で先制すると、この回に長短5安打を集めて4点をリード。10月20日に実施されるドラフト候補としても知られる富田は3回まで無安打1四球の好投で試合を作り、4回以降は1イニングずつの小刻みなリレーでドイツの打線を2安打でシャットアウトした。果たして、6対0で最高の滑り出しを見せた日本は、15日の第2戦では前回(2021年で日本は不参加)優勝のベネズエラと対戦する。

 大会は7イニングス制で、これも勝敗を分けるポイントになっている。日本には大学出のルーキー、高校出2年目と来年のドラフト候補に挙げられる選手も多く、彼らにとっては絶好のアピールの場にもなるはずだ。また、中日でプレーするギジェルモ・ガルシア投手、ペドロ・レビーラ内野手、フランク・アルバレス外野手が揃って代表入りしたキューバは、プエルトリコと対戦。三番のレビーラ、四番のガルシアとも無安打に抑えられ、0対5で完敗した。ほかには、ベネズエラが9対0で南アフリカ、韓国は4対0でオランダに快勝。メキシコとオーストラリアは延長8回タイブレークの接戦を3対2でメキシコがものにした。

『グランドスラム60』電子版(写真提供=小学館グランドスラム)
『グランドスラム60』電子版(写真提供=小学館グランドスラム)

 なお、U-23日本代表の戦いの足跡は、10月末に刊行される『グランドスラム60』電子版(上の写真)に掲載される。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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