<シリア内戦>イドリブの学生たち(1)戦火のなかの受験生 トップ成績を収めた15歳少女(写真6枚)
◆緊張続くイドリブ「それでもテストはあります」
9年にわたる内戦が続くシリア。北西部イドリブでは、シリア政府軍と反政府諸派との激しい戦闘で、市民の犠牲もあいついできた。イドリブの高校生と大学生にネット回線でインタビューした(全3回)。第1回は新高校1年生のジュディ・ジャラルさん(15)。(聞き手・構成:玉本英子/アジアプレス、取材協力:ムハンマド・アル・アスマール)
<シリア内戦>イドリブの学生たち(2)「楽しいはずの高校生活 ずっと戦争でくやしい」(写真10枚)
<シリア内戦>イドリブの若者たち(3)女子大生「戦争でもあきらめない。夢はセラピスト」(写真7枚)
ジュディさん(15):4人兄弟と両親の6人家族です。キリという田舎町に暮らしています。イドリブではまだ戦争が続いているので、爆撃で家を失い、どこかへ逃れなければならなくなるかもしれないという不安が頭から離れません。ここの子どもたちは教育の機会を奪われ、生活の必要なものも不足しています。平和に暮らすことができていません。学習環境も厳しいですが、勉強をあきらめたくはありません。いまも必死に勉強しています。
◆電気がなくても ろうそくの灯りで猛勉強
シリアでは中学から高校へ上がるのに基礎教育卒業のための全国統一試験を受けます。これはシリアの子どもたちにとって重要なのです。でも、その試験はイドリブの外のアサド政権のエリアの町で行なわれていて、移動が危なすぎて行けません。イドリブは、いま暫定独自政府のもとの教育行政が敷かれていて、全国統一試験に相当するレベルの試験制度を導入しています。
7月のはじめに、その試験を、私はイドリブで受けました。試験の成績で私の得点はイドリブ県内で1位だったんです。その結果を聞いた時、叫んで、泣いて、飛び上がって喜びました。中学では爆撃で学校がたびたび休校になるなど、苦労しましたから。
毎日8時間は勉強しました。ここでは電気が供給されていないので、家では、ソーラーパネルで電気を得ているのですが、冬の間は日光が弱いため、電気が足りず、ろうそくの灯りで勉強しました。夏は暑いので扇風機を使うか、夕方にベランダに出て勉強しました。試験で最高の得点を取れて、こんなに嬉しいことはありません。
新型コロナウイルス感染者がイドリブでも出たと聞きました。もし感染したら、ここではきちんとした治療もできないので、私は家からほとんど出ていません。本を読んだり、遠い場所に暮らす親戚とSNSでやりとりしたり、ユーチューブでナショナル・ジオグラフィックのドキュメンタリー番組を見るのが大好きです。
私は物理学や工学を学ぶのが大好きで勉強してきました。でも、この地域に暮らす者として、医師になるべきだとも考えるようになりました。日本の同世代の若者はどうなのでしょうか。世界で起きている戦争をなくすために、みんなで結束し、継続的な活動するのが私の願いでもあります。