【新宿区】数学の証明って美しい!おもしろい実験で思わず納得する不思議|東京理科大学「数学体験館」
JR「飯田橋駅」西口より徒歩4分。東京理科大学のキャンパスの一角に「数学体験館」があります。
近代科学資料館の地下にあるここは、東京理科大学栄誉教授である数学者・秋山仁先生の監修のもと、2013年10月にオープンしました。
現在NHKのEテレで放送中の番組「3か月でマスターする数学」の撮影場所としても利用されているこちら。番組をご覧の方は、画面に映る不思議な機材が気になっているのではないでしょうか? 9月25日(水)21時30分から最終回の放送があります!
「数学体験館」では、子どもから大人まで数学を楽しく学べる教具・教材を開発し、無料で展示しています。
数学好きにはもちろん、数学を習得し損ねた(私のような)大人までも楽しめる、創意工夫にあふれた「数学体験館」の魅力をご紹介いたします。
ピタゴラスの定理を体感
中学数学で習う「三平方の定理」を覚えてますか? ピタゴラスの定理としても知られている「a二乗×b二乗=c二乗」のことです。
私事で恐縮ですが、私が中学生だった頃は、上記の図と数式を、ただ暗記していました。
ところが、数学体験館では上記の数式を、目で見て体感できます。
「正しいことを明らかにすること」を「証明」と言いますが、この装置の証明がどんなものか見てみましょう。
下の写真をご覧ください。正面から見ると、アクリル板でできた円の中に、赤い直角三角形があり、その三辺それぞれに正方形が接しています。
アクリル板の台座には電動モーターが組み込まれていて、スイッチを入れるとアクリル板が回転していきます。
すると、青い四角形と、黄色い四角形の一部が、透明だったcの四角形の部分にスライドしていきます。
円盤の回転が終わると、見事、aとbの面積を示していたプレートが、cの四角形にぴったりと収まりました。
なんと鮮やかな証明でしょう! aとbの面積の和がcの面積になることが一目で納得できました。
数学好きな人と話をすると、よく「数学は美しい」という表現をされますが、それが腑に落ちるようでした。現象を合理的に説明できる美しさがあると目の当たりにできたからです。
これを学生の頃に知っていたら、私はもっと数学が好きになれたかもしれません……!
学生ガイドさんと一緒に楽しく学べる
「三平方スライド」の他にも、数多くの展示品があります。
タイミングがよければ、現役の理科大生である学生ガイドさんと一緒に展示品に触れて体験することができます。一人ではどう動かしたらよいのか分からないものでも、ガイドさんと一緒なら楽しく学べるのがありがたいです。
例えば、17個のリンゴの模型がならんだ「毒リンゴゲーム」。
二人で数個ずつリンゴを取りながら対戦するゲームで、後の1個のリンゴ(毒リンゴ)を取ると負けというルールです。
私は5回対戦して、学生ガイドさんに全敗しました。
ゲームの後で種明かししてもらうと、このゲームには、数学的思考による必勝法があるとのこと。それを知っているガイドさんは負け知らずだったわけです。法則を知ると、ゲームに負けた悔しさよりも「そんな方法があるのか!」という驚きが勝って嬉しくなりました。
他にも、実験してみたくなる展示がたくさんあります。
- 4種類の曲線でできた滑り台からボールを落とすと、どの曲線が一番速くボールが落ちるのか、予想をたてて実験できる「サイクロイド滑り台」
- 楕円形ビリヤード(台に球が二つセッティングされていて、どの方向に球を打っても、もう一方の球に必ず当たる)
- 選んだ数字を当てる数当てマジック、選んだ数字に嘘をついてもばれてしまう嘘当てマジック
全部をご紹介しきれないのが残念なくらい、展示豊富な数学体験館です。
展示品と数学の関係性をもっと知りたい方には、受付で販売されている『図録 数学体験館』もおすすめですよ!
数学体験館の情報
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東京理科大学
秋山仁の数学体験館
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住所|東京都新宿区神楽坂1‐3
電話|03‐5228‐7411(開館時間のみ)
開館日時|水・木・金 12:00~16:00
/土 10:00~16:00
休館日|日・月・火・祝日および大学の休業日(年末年始・入試期間を含む)
入館料|無料※入口で受付を済ませた上でご利用ください。
HP|数学体験館、近代科学資料館
※本記事の執筆にあたり、関係者の皆様に貴重なお話を伺いました。多大なご協力に感謝申し上げます。
資料館事務室室長・青木様、科学コミュニケーター/学芸員・大石様、島田美帆様