【新宿区】自家製サラミの濃厚な味!日本で唯一のイタリア・アブルッツォ州本場料理|ダイ パエサーニ
東京メトロ副都心線「西早稲田」駅より徒歩4分のところに、日本で唯一のイタリア アブルッツォ州料理のお店「トラットリア ダイ パエサーニ」があります。
友人から「おいしい」という情報を事前に得ていたお店に、7月のランチタイムに訪問しました。今回はそのようすをお伝えいたします。
お店の外観
店舗前にはイタリア国旗とアブルッツォ州の州旗が掲げられていていました。初めて目にする旗に、アブルッツォ州料理への期待が高まります。
店内のようす
店舗の奥には、落ち着ける空間が広がっていました。壁を見ると、ここにもアブルッツォ州の旗が! オーナーの郷土への愛情が伝わってくるようです。
他の装飾にもアブルッツォを感じさせるものがたくさんあり、見ているだけでもワクワクしてきます。
店舗の一番奥の壁側には、アブルッツォにまつわる書籍がたくさん並んでいました。アブルッツォのワインやオペラなど、食だけでなく芸術までもカバーするラインナップ。アブルッツォの魅力が多岐にわたることが伝わってきます。
アブルッツォ州とは
メニューの表紙にはイタリアの地図がデザインされていて、アブルッツォ州の部分が赤く塗られています。イタリアの地形を長靴に例えるなら、首都ローマがあるラツィオ州が脛(すね)で、アブルッツォ州はふくらはぎの部分。ローマと同じくイタリア中部に位置し、アドリア海に面しています。
ローマからアブルッツォ州へは車で2~3時間ほどで行くことができ、海水浴もできる綺麗な海があるそうです。海の幸と山の幸の両方に恵まれた土地は、日本ではまだローマほど有名でなくとも、魅力的な場所であることがうかがえます。
ランチメニュー
PRANZOとは、イタリア語で「昼食」の意味。メニューにはA、B、Cの3種類がありました。
- PRANZO A|サラダ、パスタ、コーヒーまたは紅茶
- PRANZO B|シェフおすすめ前菜、パスタ、デザート、コーヒーまたは紅茶
- PRANZO C|シェフおすすめ前菜、バスタ、メイン(魚or肉料理)、デザート、コーヒーまたは紅茶
今回はPRANZO Aにデザートを追加しました(税込300円)。そして、友人がおいしいと教えてくれた自家製サラミ。どうしても食べたくて、夜メニューにあった「自家製サラミの盛り合わせ」を頼めるかお店の方にきくと、快く応じてくださいました。嬉しい!
パスタの種類
パスタの種類にそれほど詳しくない筆者。メニューを見てもイメージできなかったところ、スタッフの方が現物を見せてくれながら親切に教えてくださいました。
- タリアテッレ
- カヴァテッリ
- ペンネ
- カサレッチェ
上記写真には写っていませんが、「タリアテッレ」は平打ち麺のこと。しかも自家製パスタなのだそう。これは楽しみです。
ほかにも、「キタッラ」というパスタがあり、アブルッツォ州の伝統的なパスタなのだといいます。イタリア語で「ギター」を意味し、木枠にギターの弦を張った道具を使用して作られていたので、この名前になったとか。本日の昼のパスタにはありませんでしたが、いつか食べてみたいと思いました。
サラダ
野菜の表面すべてにドレッシングがからまる丁寧な調理! 新鮮なサラダの野菜は、千葉の畑で自家栽培している無農薬のものだそう。大事に育てられて、大切に料理され、それをいただけるありがたさときたら……!
きけば、シェフのダビデさんはイタリア大使館で修業を積まれていたそう。納得のおいしさです。
自家製サラミの盛り合わせ
サラミというと、固く干されたソーセージというイメージがありませんか?
でもそれは、サラミの中でも一部のもの。サラミ自体はもっと幅広い意味で使われていて、生ハムやパンチェッタなどの芯のやわらかい食感のものも、サラミの仲間です。
一目見て、おいしそうだと感じる艶やかさ! 6種類のサラミがうず高く盛られてきました。まずは名前からお伝えいたします。
- ジペッペ:オーナーのジュゼッペさんオリジナル・レシピ。サラミペーストとハーブをブルスケッタに塗って軽く焼いたもの。商標登録されています。
- プロシュート:豚もも肉のサラミ
- パンチェッタ:豚バラ肉のサラミ
- チンギャーレ:鹿児島の猪のサラミ
- ヴェントリチーナ:アブルッツォ州のサラミ。唐辛子入り。
- コッパ:豚の肩肉のサラミ
写真の右上、スプーンの左にある白っぽいものは、千葉の畑で採れたフェンネルのマリネ。キャペツのマリネに近い食感でしたが、フェンネルの香りがさわやかでした。
オーナーが考案した「ジペッペ」。「ジュゼッペさんの」という意味で名付けられたそうです。サラミペーストをブルスケッタに塗ったひと口サイズのトーストは、ハーブの香りと塩味がうま味を引き立てています。これは、お酒を一緒に飲みたくなるおいしさです。
こちらは「ヴェントゥリチーナ」。アブルッツォ州料理のこのサラミは、ひき肉ではなく、大きめのお肉の間に唐辛子が入ったサラミです。お肉の塊を感じる歯ごたえは、ゆっくり噛むごとに味が染み出てきます。唐辛子も辛すぎず、ちょうどよいアクセントになっています。
他にも、プロシュートのとろける脂や、チンギャーレの鰹節のような濃い味わいに、写真を撮るのも忘れて舌鼓をうちました。自家製サラミがどんなものか試しにきたら、すっかり虜になってしまいました。おいしいという噂は本当でした!
昔ながらの、塩だけで作る保存食「サラミ」。熟成され、味わいが深まる匠の技に脱帽です。
パスタ
パスタは「海老入りズッキーニソースのタリアテッレ」と「豚バラ肉とレンズ豆のカヴァテッリ」を頼みました。
タリアテッレのソースに使われるズッキーニは千葉の菜園で採れたもの。海老のだしが効いて味はしっかりしているのに、ズッキーニとの組み合わせのおかげか軽やかな味。新鮮でした。
レンズ豆のカヴァテッリは、食べてみると、まるで番茶のような香ばしさを感じました。レンズ豆の香りのようですが、コクがあって、豚肉とよく合います。自家製のカヴァテッリがもちもちしていて、いくらでも食べられそうです。
デザート
デザートには、イタリアのチョコレート風味のプリン「ボネ」とティラミスを頼みました。
ボネというデザートを初めて食べましたが、ほどよい甘さと滑らかな舌触りがすばらしい! 大人が喜ぶデザートだと感じました。
ティラミスも、ひと口友人からいただきました。この味が好きです、おいしい!
食後のコーヒーはエスプレッソ
食後にコーヒーか紅茶がつきます。おいしい料理の数々に大満足してきたので、イタリア流をできるだけ貫きたくなり、エスプレッソをお願いしました。砂糖を入れて甘くするのがイタリア流と以前どこかで聞いていたので、砂糖を入れて飲んでみると、これもまた幸せな味! とても苦いのに甘く、目がシャキッとするようなおいしさでした。
こだわりのミートスライサー
店舗入り口付近に、赤い大きなオブジェがあるように見えたので、店長の権田さんに質問させていただきました。すると、これはオブジェではなく、サラミをスライスするために使うミートスライサーとのこと。
低温で熟成させたサラミは、電動のスライサーで切ってしまうと摩擦熱が加わって、本来の風味が失われてしまうそうです。
素材のようすを見極めながら、手動で丁寧に切り出す職人の手仕事。繊細な味を守るため、一つひとつ丁寧な仕事をされていることに、尊敬の念を禁じ得ませんでした。
自家製サラミの熟成庫
店内の通路から、サラミの熟成庫を見ることができます。小ぶりな網は何となくサラミだと理解できるのですが、中央にある、特別大きな網は何でしょうか?
権田さん「これは、今年の9月に開店10周年を迎えるので、その記念に作っているサラミです。普通サイズのサラミの熟成期間は平均して1.5~2ヶ月間ですが、これは2~3ヶ月間を予定してます。」
すごい! これは開店記念にぜひ再訪したいと思いました。
後日お店のInstagramを拝見したところ、この特大サラミは45kgあるそうです。
オーナーのジュゼッペさん
店内の壁には、たくさんの賞状と共に、陽気な人柄が伝わってくるような笑顔のジュゼッペさんの絵が飾られています。
シェフ・ダビデさんとの仲良しそうなツーショットも素敵ですが、これはなぜモノクロームの写真で、お一人で……?
権田さん「実はオーナーのジュゼッペは、昨年他界いたしました。このロザリオは、今年5月に店のスタッフでジュゼッペの故郷を訪れた際、日本での一周忌法要みたいなもので、教会からいただいたものです。」
オーナーの故郷へスタッフの皆さんで行くほど、深い絆で結ばれていたのですね。
そんな関係を築ける方と、皆さんが日々重ねてこられた研鑽があればこそ、壁一面に栄誉の印が増えてきたのだとお察ししました。
人が心をこめて料理をすると、おいしさだけでなく、心もつながる。
そんな言葉を信じたくなるお店です。