音楽を奏で、ワインを醸す―。MONKEY MAJIK ブレイズ・プラントさんのワインづくりへの情熱
日本のミュージックシーンを牽引してきたバンドMonkey Majikのヴォーカルであるブレイズ・プラントさん。彼が今、音楽と同様に情熱を注いでいることがあります。それが、ワインづくりです。
ワインメーカーになることは、昔からの夢だった
宮城県仙台市。温泉地として知られる秋保(あきう)地区で、ブレイズさんは「Plant Vineyards」(プラントヴィンヤード)代表としてブドウを育て、ワインづくりに挑戦しています。「音楽はいつでも僕の情熱だったけれど、ミュージシャンになる前から、ワインメーカーにもなりたかった。カナダでは、ワインづくりキットが売っていて、家族でつくったりしていたんだよ」。
ブレイズさんの夢が動いたのは、「秋保ワイナリー」代表の毛利親房さんとの出会いでした。「全県ツアーを終えた後で、リラックスしたくて秋保温泉に来たんだけど、たまたまどこも日帰り温泉をやってなくて。でも、この場所でワイナリーが始まるって聞いて、立ち寄ってみた。車をとめて、様子をうかがってたら「ハーイ!」って声かけられて。彼はワイナリーのスタッフで、僕らのファンだって言ってくれた。そのときに、彼が毛利さんを紹介してくれて、僕は『ワイナリーに興味があって、自分のブドウを育ててみたい』って話したんだよ」。
こうして毛利さんと知り合ったブレイズさんは、翌朝早速ワイナリーに行き、ブドウの剪定を手伝いました。それ以来、毎週通ってはボランティアに励むうち「自分のブドウを育てたいと思うようになった。だから、秋保に土地を見つけて、800本のぶどうを植えたんだ」。
重機を入れ、自ら土地を開墾。「僕は都会育ちだけど、おばあちゃんとおじさんが農業をやっていてね。おじさんの家に遊びに行ったときの楽しい経験もあったから、自分の子どもたちにも土と触れる機会をつくりたかったんだ。今、子どもたちもすごく楽しんでいて、畑に来ると、『パパ、見て』って蛇をつかんで見せて僕を驚かせたり、虫やカエルを捕まえたりしているよ」。
家族だけでなく、手伝いを申し出てくれた友人たちがブレイズさんのブドウ畑に集まり「なんか、社交場みたいになってる(笑)。みんな仕事のジャンルが違うんだけど、ここで出会って、一緒に仕事したりして。みんなが楽しめる、いい場所になってると思う」。
やりたいことは、本当にシンプルなんだ
2021年12月現在、ブレイズさんの畑には1,500本のブドウの木が育てられており、2022年の3月にはもう1,500本を植栽予定。「3,000本のブドウから、6,000本のワインができたらいいな、と思ってるんだ。僕のワイナリーは、どんなにたくさんつくっても10,000本。マイクロワイナリーは30,000~50,000本のワインをつくるけど、僕のところはもっと少ない。マイクロマイクロワイナリーだね(笑)」。
現在は、委託醸造を行っているブレイズさん。「宮城ではレアなピノノワールという品種をモダンスタイルで醸造していて、毎日テイスティングしてる。来年どう仕上がるか楽しみだね。僕の個人的なおすすめはシャルドネ。バターみたいなゴールデンカラーで、色も味も美しいんだよ。ワインづくりは本当に楽しいよ。やめられないね」。
さらに、廃材を使用しての醸造所を農場内に建設中で、これが完成すれば、自社での生産が完結するようになるそう。「リサイクルできる材料でつくっているところで、来年完成予定。内装は、ラグジュアリーだけど、ストリートテイストもあるミックススタイル。音楽を奏でて、土にまみれてブドウをつくって、ワインをつくって。そしてここに人が集まる。僕のやりたいことは、本当にシンプルなんだ」。
取材当日は、仙台市青葉区にある「ケヤキカフェ」で、前述の秋保ワイナリー毛利さんとともにワインイベントを行ったブレイズさん。毛利さんは「ブレイズさんのワインは、彼の個性が引き立っています。ラベルも素敵だし、学ぶところがたくさん」と評します。
そして、この日のイベントで料理をふるまった「ケヤキカフェ」オーナーシェフの八尋豊さんは「ブレイズさんのワインは、口に含んだ瞬間に香りが大きく膨らみ、まるでカリフォルニアワインのような力強さ、さらに人柄のような優しいオンリーワンの味わいを感じました。ブレイズさんのワインが、全国そして世界へ『秋保』を発信していく礎となることに期待しています」と話してくれました。
仙台・秋保から日本全国、そして世界へ―。
「Plant Vineyards」のワインの可能性は、無限大です。
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*お酒を販売しているため、年齢確認があります
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撮影:板橋充(バシフォト)
取材:2021年12月