『新キャプテンの実質的なハットトリックでひとまず安心な夜』浦和vs磐田【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■一番ブーイングが大きかったのは
きょうのように、試合開始3時間くらい前に、雨がポツポツ降るかどうか微妙な雲行きの日は悩む。自転車で行こうか、浦和美園まで路線バスで行って、そこから歩こうか。昨日、一応、レインコートは500円くらいの安物ながら買ってはあるが、帰りが土砂降りだったりしたら、濡れて風邪ひきそう。しかし、だからといって美園から埼スタまで歩いての往復はけっこうシンドい。
結局、濡れたら濡れたでいいや、とハラを決めて自転車、4時過ぎに自転車で出発。
ずっと小降りながら雨は降り続いている。
埼スタについたのが5時前で、そこからフラフラとコンコースを歩いていくのも疲れるから、レインコートを着て、小雨の中をずっと南側自由席の自分の席に座って、ピッチでやっていた地元の少年サッカーチームの試合をながめたりしていた。「5-0」で勝負が決まっていた。何か、わたしが埼スタで見る地元の少年チームの対決は、いつもこういう一方的な結果になるような気がする。
天候のせいもあって、スタンドはいくぶん、小さい子を連れたファミリー層が少ないように見えた。でも、雨で、今の、あまり強いとはいえないジュビロ相手で3万2千超えなら、まずまずなのかもしれない。
先発メンバー発表で、やはり最もブーイングの多かったのはGK・川島。レッズ側では武田とリンセンが先発起用されていたのが目についた。特に前のホーム鹿島戦で2点決めた武田には、ここでまたゴール決めて、急上昇してもらいたい。あと、ソルバッケンだが、どうもいまだにどういうキャラクターなのか、よくわかんない。
DFは、ショルツと酒井のところを、佐藤と石原が埋めるか。なんかもう、突然、ターンオーバーしちゃったみたいな顔ぶれになっていた。
やみくもに ターンオーバー 雨の中
■新キャプテンが大活躍
これがうまくハマればいいがな、と見ていた前半。ボールのキープ率は高いものの、南側の私たちのいる方のゴール前では、右へ左へ、パスはまわっても、なかなかシュートに至らない。ふくらんだ風船の外側を撫でるばっかりで、針の一刺しがないから、ちっとも風船が割れない感じ。そんな中で、びっくりするくらいにキレイに決まったのが、石原のヘディング。というよりも、伊藤敦樹のピンポイントクロスだ。あれは見ていて鮮やかだった。プロ8年で初得点もたいしたものながら、あの空間にドンピシャで放つ伊藤が80%は決めたようなモノだ。
3番と 4番で一刺し 穴をあけ
これで、もうきょうは何となく勝った気分。ジャーメイン良がちょっと騒がれたりしてるものの、ジュビロの攻撃陣はあんまり迫力なくて、点が取られそうな雰囲気はない。
雨はやむどころか、時たま、急に雨足が強くなったりする。あいかわらず、レッズ側が主にボールを支配している構図は変わらず、ジュビロ攻撃陣が南のゴール側に攻めてくるシーンは、そんなに多くなかった。でも点を取られなかったってことは、主力2人が抜けても、たぶんやっていけそうなのだろう。
後半も、大活躍だったのが伊藤だ。渡辺凌磨の、これまたキレイなゴールをアシストしたかと思えば、ついに自分でもゴールを決めてしまった。すぐに思った。
「こりゃ、実質的にはハットトリックじゃないか」
キャプテンに指名されると、急にまわりに目配りできるようになって、パスがうまくなるんだろうか。他の誰よりも、きょうの伊藤は要所要所にいいパスが出る。
もう1点 ハットトリック 新キャプテン
武田とリンセンは、必死で得点の匂いのするところを走り回っていたし、オーロラビジョンでも、しばしばその武田の表情が映し出されていた。今回は無得点ながら、あの姿勢でいれば、またすぐに点は入れられるだろう。
酒井、ショルツの、「習字で使う文鎮」みたいな「重み」をもった二人がいなくても、きょうに関していえば、「ま、やっていけそうじゃん」な快勝。去りゆく二人も、とりあえず一安心でしょう。
しかし、「じゃあ、またね」とその二人が去るのは予定通りながら、ほんの「顔見世」程度でも、宇賀神が後半ギリギリに登場したのはサプライズ。こっちは「おかえりなさい」だ。
じゃあまたね おかえりなさいの 交差点
本降りにはならないものの、しぶとく降りやまない雨。自転車で家に帰った途端、レインコートから着ているものから全部脱いで、シャワー浴びた。
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山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、現在、どん底地下芸人から中野区議会議員に転身している井関源二さんの単行本『井関が、中野区から日本を変える』と、元放浪少女で、今は群馬県・沼田の市会議員に転身している今成あつこさんの『日本の洗濯は沼田から!』を進行中。どちらも7月中には出来る予定。