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大学生に「生活保護」は必要か? 論争必至も、「必要」といえる理由とは

今野晴貴NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
(写真:イメージマート)

 今月5日に厚労省が発表したところによると、生活保護の申請件数が前年同月比で6.1%増加した。前年の水準を上回るのは3ヶ月連続で、コロナ禍やウクライナ情勢に伴うインフレの影響が出てきているのではないかと思われる。

 生活に困窮した際に、憲法に基づく生存権を保障するのが生活保護制度である。しかし、対象を国民に限定しているために、一部を除く外国人には適用されないほか、実は大学生も適用対象外となっている。

 コロナ禍で家計が厳しくなったり、自身がアルバイトに従事できなくなるなどの要因により、学生の貧困が深刻化していることを踏まえ、昨年の経済対策では大学生などへの10万円給付が実施されている。

 そして現在、厚生労働省の「社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会)」では、5年に一度の生活保護についての検討が行われており、大学生への生活保護適用も議論されている。ただし、否定的な議論が大勢を占めているようだ。

 こうした状況を踏まえ、大学生の当事者と支援する弁護士により、大学生への生活保護適用を求めるオンライン署名が行われている。

参考:緊急-5年に1回の審議会-魂の叫びを無視しないで-虐待から逃れた大学生-頼みの綱は生活保護です?

 だが、一般的な目線から言っても、「大学生への生活保護適用」は大きな反発が予想される。そこで今回は、なぜ大学生には生活保護が適用されないのか、そしてなぜ今大学生が生活保護を必要としているのか、について実情に即して考えていきたい。

大学生に生活保護が適用されない理由

 まず、大学生に生活保護が適用されない理由を確認しておこう。実は、この点について法律(生活保護法)に明文化されているわけではない。厚労省による通達にで定められているだけだ。生活保護運用の「ルールブック」の一つである『生活保護手帳 別冊問答集』には次のような記述がある。

「ただし、大学等に就学するものについては、すでに高等学校への就学によって得られた技能や知識によって、当該被保護者がその能力(稼働能力)の活用を図るべきであることから、生活保護上は世帯分離措置によって取り扱うこととしている」

 この一文だけでは分かりにくいので、解説しよう。まず、生活保護の対象となるのは個人ではなく、「世帯」である。これは住民票や健康保険などの世帯とは直接関係のない、生活保護独特の概念規定がなされている。大まかに言うと、「居住」と「生計」が同一であることをもって同一の世帯と見なしているのである。

 「居住」については、例えば、友人同士で同居している場合にも同一世帯と見なされる(一時的に居候しているだけの場合は異なる)。また、居住が一緒でなくても、出稼ぎしている場合や入院している場合などは「生計」が同一であるとして、同一世帯と見なされる。

 このように判断される「世帯」において、収入や資産などの要件を満たした場合に生活保護の受給が可能となる。大学生の場合には、実家暮らしであれば当然に同一世帯であるし、一人暮らしの場合にも生計が同一であるとして、同一世帯と見なされる。

 その上で、大学生は「稼働能力活用」という要件を満たしていないから、世帯分離をして生活保護の対象外とする、と言っているわけである。

 稼働能力の活用については、①稼働能力の有無②稼働能力を活用する意思の有無③稼働能力を活用できる場の有無、の3要素で判断するとされる。病気や障害があり働けない場合には①を満たしているし、就職活動をしても仕事が見つからないという場合には②③の観点から要件を満たしているとみなされる。つまり、大学生の場合には、働ける能力はあるのに働こうとしていないから要件を満たさない、という扱いになっているわけだ。

 なお、夜間大学に通っている場合には、日中に稼働能力を活用しているということであれば保護の適用が認められている。また、出身世帯がなく病気で働けないという大学生は、休学の手続きをした上で保護を適用することが認められている。ただし、出身世帯がある場合には、世帯全体として保護基準を満たしていなければならない。

 以上は、高校生に生活保護を認める場合にも共通する論点であった。生活保護法が制定された当時には中学校を卒業すれば働くべきだ、ということになっていた。しかし、高校進学が一般化し、進学率が8割を超えた1970年に保護の適用が認められたという経緯がある。

 『学校基本調査』によれば、大学を含む高等教育機関進学率は2021年に83.8%となっており、この点からも大学生に対する保護の適用を認めるべきタイミングにきているように思われる。

前提として知っておくべき、「大学生がおかれた現状」

 次に、大学生に生活保護が必要かを考える前提として、まず押さえておきたいのは、学生の経済状況は親の経済状況に依存しているということだ。

 これは当たり前のことのように思われるかもしれないが、世界的にはそうとは言えない。日本が高等教育費負担において、親への依存度が世界有数の高さだからこそ、起こりうる現象なのである。

図1 高等教育費の支出割合 OECD「Education at a Glance 2021」より作成
図1 高等教育費の支出割合 OECD「Education at a Glance 2021」より作成

 図1を見てわかるように、日本は主要先進国の中でも高等教育費の親依存が最も高い部類に入ってくる。家計支出が52.7%と、上に挙げた国の中で最も高い数値だ。アングロサクソン諸国は親依存度が高く、北欧・大陸ヨーロッパは親依存度が低い傾向にあるが、OECDの平均では公的支出69.9%、家計支出21.6%と、教育が公的に保障されている国が多いことがわかる。北欧のスウェーデンに至っては公的支出88.4%、家計支出1.1%と、日本と全く真逆の状況になっている。

 このように教育費負担が親に依存している状況だと、子どもが教育を受けられるかどうかが親の経済状況に左右されざるを得ない。では、親の経済状況はどうなっているのかというと、年々世帯収入は減少の一途をたどっている(ただし、子供をもつ親世帯の年収に限れば増加傾向にあり、そもそも低所得世帯は子育てが不可能になっているという事情もうかがえる)。

 図2 世帯収入の推移 国民生活基礎調査より作成
図2 世帯収入の推移 国民生活基礎調査より作成

 ピーク時の1994年の664.2万円から減少傾向を続け、最新2018年には552.3万円と、100万円以上も下がってしまっている。

 しかも、世帯年収が減少傾向にあるにもかかわらず、教育費は高騰を続けている。特に学費については、国立大学において、1975年には授業料が36000円、入学料が50000円だったが、2005年以降現在に至るまでに授業料は53万5800円、入学料は28万2000円(現在は国立大学法人、いずれも標準額)と、授業料は14.8倍、入学料は5.6倍も高騰しているのである。私立大学においては、これ以上の負担を強いられていることは言うまでもない。

 図3 国立大学及び私立大学授業料と入学料の推移 出典:文部科学省「国立大学と私立大学の授業料推移」
図3 国立大学及び私立大学授業料と入学料の推移 出典:文部科学省「国立大学と私立大学の授業料推移」

 文科省は授業料の標準額から2割増の64万2960円までの増額を認めており、実際に、2019年度からは東京工業大と東京芸術大が、2020年度からは千葉大、一橋大、東京医科歯科大が授業料の増額を行っている。東京工業大を除く4大学で上限いっぱいの2割増の金額となっている。増額の理由としては、外国人教員の招聘、語学教育の充実など教育と研究における国際化の推進が多く挙げられている。

 さらに、文科省は国立大学法人の授業料「自由化」を検討しており、大学の裁量でさらなる授業料の値上げが可能になるかもしれない。

 世帯年収の減少に対して教育費が高騰していれば、当然子どもへの仕送りや小遣いの額も減少していく。図4の全国大学生協連の「学生生活実態調査」によれば、仕送り10万円以上の層が激減し、仕送り5万円未満と0円の層が増加傾向にあることがわかる。

 図4 下宿生の仕送り額分布 出典:全国大学生協連「第56回学生生活実態調査」
図4 下宿生の仕送り額分布 出典:全国大学生協連「第56回学生生活実態調査」

 以上見てきたように、日本の教育費負担は親に依存しているものの、親が負担しきれなくなっている。そのため、奨学金やアルバイトによって埋め合わせているのが現状だ。

奨学金利用数の減少とその背景

 ところが、その奨学金の利用も近年減少している。その原因は、奨学金制度の「借金」としての過酷さが世間に広がり、借り控えが起きているとみられる。実際に、学生の74.4%が返済に不安を感じているという。

 奨学金利用者数の推移を見ると、奨学金の貸与人員は2013年度をピークに低下傾向にある。1998年の50万人から、2013年の144万人に至るまで急速に拡大してきたが、2018年には127万人まで減少している。

 労働者福祉中央協議会の「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」(2019年3月)によると、日本学生支援機構の奨学金利用者の平均借入総額は324万3,000円にもなり、借入総額500万円以上の割合も12.4%に上っている。社会への入り口で、これだけの借金を抱えてのスタートとなるわけだ。

 実際に、奨学金を返済できず自己破産する若者が相次ぎ、保証人も返済できずに破産する「破産連鎖」も生じて社会問題化した。そうした中で、2020年度からは修学支援制度が創設され、授業料無償化と給付型奨学金が実現したが、対象となる世帯は年収270~380万円とかなり限定的だ。

 給付月額も、住民税非課税世帯の場合、国立大学で自宅生29200円、自宅外66700円、私立大学で自宅生38300円、自宅外75800円となっており、少なくとも単身者は生活保護の生活扶助(生活費)分よりも少ない水準であるため、これだけでは生活できない可能性が高い。

 さらに、親権者の同意やマイナンバーの提出が求められるため、虐待を受けている学生が申請するのは困難であろう。さらに、給付型・貸与をとわず、奨学金の口座を親が管理し、自らの生活費・遊興費などに充ててしまうことも珍しくはない。

参考:「死んでチャラにしようと思った」 奨学金3000件調査から見えた「生の声」

 結局、奨学金を借りることをあきらめて、学生はますますアルバイトを増やす方向に傾いている。

コロナ禍でアルバイト収入も減少

 この10年間で学生のアルバイトへの依存度は高まってきた。学生のアルバイト収入額は、2010年には自宅生29690円、下宿生21900円だったのに対し、2019年にはそれぞれ41230円、33600円と1万円以上増加している。

 図5 学生のアルバイト収入の推移 出典:全国大学生協連「第56回学生生活実態調査」
図5 学生のアルバイト収入の推移 出典:全国大学生協連「第56回学生生活実態調査」

 学生のアルバイト依存の結果、学費を支払うことはできても、肝心の学業がおろそかになる問題が2014年ころから指摘されている。この問題は「ブラックバイト」と呼ばれ、就労先で過剰なシフトを組まれることで、ゼミや実験に参加できない、あるいは就職活動ができなかったという被害が多数報告されている。

 また、2020年からはコロナの影響により減収も余儀なくされている。自宅生37680円、下宿生26360円といずれも大きく減少している。コロナ禍を理由にしたアルバイト先の休業や解雇、シフトの減少などが原因とみられる。

 本来、会社に責任のある理由で労働者を休業させた場合、会社は、労働者の最低限の生活の保障を図るため、少なくとも平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならない(労働基準法26条)。新型コロナによる営業自粛は、原則的にこの規定の範囲内だと考えられる。また、政府は雇用調整助成金の特例措置を拡充しており、大企業の場合、労働者に支払った休業手当の最大で100%が助成されていた。だが、こうした特例措置が取られているにもかかわらず、休業手当不払いが横行していたのだ。

 実際に、筆者が代表を務めるNPO法人POSSEや、学生たちが作る労働組合「ブラックバイトユニオン」には、多数の学生からの相談が寄せられた。例えば、都内の私立大学に通っていた学生は、昨年4月初めからシフトがなくなり、補償も全くなされなかった。7月に会社から電話があり、8月以降の仕事はないので解雇だと言われた。

 4月から8月の休業手当については日々雇用だから支払義務はないと会社に言われたという。この学生は実家暮らしで家賃などはかからなかったが、バイト代を自分の生活費に充てており、バイト代なしには大学生活を送れないと訴えていた。

 今後の新型コロナの再流行や、その他の災害等でアルバイトが困難になるたびに、学生の収入に直結してしまうことになるだろう。

 以上のように、大学生が親に頼れない場合、数百万円の借金を負うか、アルバイト漬けになるしかない。しかもコロナ禍でアルバイトの継続が困難になっており、生活が破綻するリスクが高まっている。だからこそ、大学生への生活保障として生活保護の適用が求められているのだ。

 もちろん、大学生に生活保護を適用するよりも、親から世帯を分離したうえで給付型奨学金を独立して受け取られるようにしたり、学費の減免と住居支援などを組み合わせるという方向もあり得る。

 いずれにしても、生活保護の学生への適用が議論される背景には、学業を続けたい若者に残された道が極めて少なくあまりにも過酷であることに加え、わずかな制度の利用さえも、「親」に規定されてしまう実情がある。

生活保護を必要とする大学生の実例

 さらに、具体的な実例に即して大学生への生活保護適用を検討してみよう。以下の実例は大学生への生活保護適用を求めている当事者である。

ケース①

「…中村さんも虐待を経験している。幼い頃から親に暴力を振るわれ、十分な食事も与えられなかった。マヨネーズを付けたティッシュをかんで空腹をしのいだこともある。過酷な成育環境から抜け出そうと、自力で進学費用をためて22歳で看護系の大学に進学した。

看護師の夢に向かって日々、勉強を重ねていたが、過去の虐待経験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。アルバイトもできなくなり学費と生活費に窮したため、地元の役所を訪れて生活保護に頼ろうとした。

「大学はぜいたく品。退学か休学してから相談に来てください」。役所の職員からこう言われ、門前払いされた。受けていた奨学金だけでは生活できず、休学すれば奨学金が支給されない。学生生活を続ける手だてがなくなり、やむなく退学した。」

出典:「「大学生にも生活保護を認めてほしい」ネット署名、既に2万人超」河北新報10月9日付

ケース②

「子どもの頃、絵をかくことが私の楽しみだった。ペンと紙があれば絵は描けた。学校のプリント、教科書、極端にいえば壁だっていい。私にとって絵は、「自信」だった。絵で大学に行きたい。私には国公立しか選択肢がなかった。受かってほっとした。やっと自分の人生が始められると思った。

4歳で親は離婚。父のDVから逃れた母は生活保護を受けながら今度は私を殴るようになった。入学金と授業料は借金。必死にアルバイトしたが、ある日残高を確認したら35円・・・。母親が、口座から抜いていた。食費を削った。摂食障害になって、病院に入院した。学業と両立するために、点滴を打ちながら授業を受けて、また入院して。繰り返した。奨学金をもらうために授業に行くのに、体が壊れていった。休学するしかなかった。休学して、地元に戻って、やっと落ち着いた。…」

出典:「【緊急】5年に1回の審議会 魂の叫びを無視しないで 虐待から逃れた大学生 頼みの綱は生活保護です」

 もっとも重要な点は、どちらのケースも親からの虐待を受けているなどの事情により、家族からの支援が望めないということだ。そのため、自力で進学資金を貯めてから入学したり、奨学金という借金漬けかアルバイト漬けになることなしには学生生活を送ることができない。

 そして、病気によりアルバイトの継続が不可能となり、収入が途絶えてしまっている。上述の通り、コロナ禍で学生アルバイトが減収していることで普遍的な問題として露見したが、学生のアルバイト依存度が高まっているのである。そのため

病気やコロナなどの災害によってアルバイトが継続できなくなると、学生生活自体が破綻してしまうのだ。

生活保護制度をどう変えるべきか?

 以上の通り、大学生への生活保護適用が必要となってきている状況を見てきた。論点を整理すると以下の通りだ。

  1. すでに大学進学は一般化しており、生活保護受給者にも認められるべき段階に入っていること。
  2. 学費の高騰に加え世帯収入の減少と仕送り額の減少によって、親依存の進学が困難になっていること。
  3. 奨学金のほとんどが貸与であり、卒業後の生活を厳しくしていること。また、給付型を含め、親に介入・管理されてしまう場合があること。
  4. アルバイトづけで学業そのものがおろそかになり、本末転倒になるうえ、その収入も不安定であること。

 それでは、生活保護制度を適用する場合には、どのような制度改革が求められるだろうか。

 まず考えられるのは、生活保護における世帯内の大学就学を認めるということだ。つまり、家族も含めて要件を満たせば、大学生を除外せずに家族全体として生活保護を認めるという方向だ。もともと生活保護を受けている世帯から大学進学した場合が想定されているケースとなる。これは法改正をすることなく、厚労省による通達を出せば可能であろう。

 しかし、さらに踏み込むべきなのは、出身世帯が生活保護水準の困窮状態でもなく、仮に高収入だったとしても、個人として大学生に保護を適用できるようにすべきだということだ。虐待を受けて実家から逃げているのに、実家は収入があるから保護を受けられないというのでは、虐待サバイバーの生存が守られない

 この点は生活保護にとどまらず、奨学金制度も含む日本の社会保障に通底する問題である。つまり、いくら虐待をあったとしても家族で支え合うべきだ、という家族主義が制度の前提にあるのだ。家族で支え合っても、どうしても困窮する場合に制度が利用できるという設計になっている。「家族主義」的に編成されている社会保障制度を改革し、個人に対する給付を行うべきである。ヨーロッパ諸国では個人単位の給付が進んでいる。

 すでに横須賀市では、親などから虐待を受けて自立援助ホームに入所した18歳・19歳の学生で、児童相談所が関与したケースについては生活保護に相当する生活費や通学費を最長1年半まで支給する独自の制度を作っている。こうした制度改革を国として推進し、より広範なものとすべきだろう。

おわりに

 大学生への生活保護と聞いて、いまだに「贅沢だ」と考える読者も多いことと思う。しかし、たまたま親の収入に恵まれなかった若者に学業のチャンスが与えられず、努力をしても退学や無理なアルバイトを余儀なくされるような社会に発展の可能性はあるのだろうか?

 世界ではますます若者や学生への「投資」が盛んになっている。生活や学業が保障された環境でこそ、社会は発展する。実際に、理科系の学生・研究者たちにさえ、借金漬けの大学進学と、任期付きのポストしかあてがわない日本では、科学技術の水準が低下する一方である(もちろん、学業の意義は理科系に限られないが)。

 「もっと苦労をしている人がいる」「上の世代では働きながら学んだ苦学生がたくさんいた」と若者を追い込むばかりでは、この社会はますます活力を失っていくのではないだろうか。

 それどころか、近年問題となっている「毒親」のように、子供を支配する家族関係を強化し、若者の自立と成長をさまたげてしまうのではないか。大学生への生活保護の適用の是非は、単なる分配の問題ではなく、この日本社会が内向きに「もっと苦労しろ」という言葉をお互いに投げかけ合う閉塞状況から、個々人の創造性が発揮される社会へ変われるのかを問うているように思えてならない。

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NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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