「タイガー・ウッズの大会」でウッズが語った2大トピックスに対する興味深い見解
【ウッズの大会】
今週13日に開幕する米ツアーのジェネシス招待は、昨年まで行われていたジェネシス・オープンがアップグレードされた大会だ。これは「ジャック・ニクラスの大会」メモリアル・トーナメントが2016年に、「アーノルド・パーマーの大会」アーノルド・パーマー招待が2017年に辿ったのと同じ道。「タイガー・ウッズの大会」も「レジェンドの大会」であることが認められた証と言っていい。
エリート大会の仲間入りを果たしたジェネシス招待は、出場できる選手の人数が144名から120名へ絞られ、逆に賞金総額は200万ドルほど増額されて930万ドルへ、優勝賞金は167万4000ドル(約1億8000万円)へ増額。まさに高額賞金、少数精鋭のエリート大会だ。そして、優勝者には従来の2年シードではなく3年シードが与えられる。
魅力的な大会ゆえ、今年は世界ランキングのトップ10のうち9人が出揃う。大会ホストとして多忙を極めているウッズも、選手として挑み、歴史を塗り変える通算83勝目を目指す。
【ウッズの考え、その1】
2月はじめにUSGAとR&Aから発表された「ディスタンス・インサイト・レポート」(距離に関する洞察の報告)に対する意見を求められたウッズの返答はこうだった。
「僕がこのツアーに出始めたころ、270ヤードを飛ばしたら、コースからはみ出して、しばしばトラブルに陥った。でも、今はみんなハイブリッドや5番ウッドで270ヤードを軽々と飛ばしている。ゴルフというゲームがいかに変わったかということだ。しかし、土地には限界がある。全長7800ヤードや8000ヤードのコースを作っていくことはできない」
ウッズは「距離」をもとめることでゴルフが様変わりしたと感じているが、その方向のまま進んでしまったら、いつかゴルフが限界点を迎えることを危惧しており、その点では同レポートに賛同していると見ていい。
だが、クラブやボールに制限を加えたり、ルールが変わったりという大きな変化が実際に起こるのは「僕がツアーから引退したずっとあとのことだと思う」と付け加え、すぐさまドラスティックな変化は起こらないと見ているようだ。
【ウッズの考え、その2】
米ツアーに対抗する存在になりそうな「PGL」なる新ツアー構想に対しても意見を求められたウッズは、きわめて冷静な見解を示した。すでにウッズのマネジメント会社はPGL側からアプローチされ、新ツアー構想の説明などを受けたそうだ。
「その主旨は理解できる。現在のゴルフ界にはWGC(世界選手権シリーズ)が年間5回、メジャーが4回、そしてプレーヤーズ選手権があるが、人々はトッププレーヤーたちの姿やゴルフをもっと見たいと思っているはず。それを実現するための新しいアイディアが浮上することは、自然な変化と言える。遅かれ早かれ、起こったであろう動きだ」
いいもの、人々が欲しいものであれば、そうしたニーズに応えようとするものが出現するのは資本主義社会においては当然であるという見方だ。
ただし、新たに出現するものが、運営サイドにおいて広く支持を得られるかどうかは別問題である。すでにサウジ・インターナショナルでPGLの詳細を説明されたフィル・ミケルソンも、他選手たちも、そしてウッズも「とりあえず新構想をよく聞いた上で熟考したい」と、明言は避けた。この問題、しばらくは静観が続くと思われる。