やはり問題となった電動キックボードの安全性。課題は構造か利用者のモラルか #専門家のまとめ
一定の基準を満たした電動キックボードなどを特定小型原付とする道路交通法改正から1年が過ぎた。予想通り事故や違反は増加している。そこでこれまでの1年の流れを追って、今後必要な対策を考えてみたい。
ココがポイント
▼特定原付には基準があり、性能等確認シールが付いている必要がある。16歳以上で免許不要、ヘルメットは努力義務
・電動キックボードに関する交通ルールを確認しましょう!(政府広報オンライン)
▼マイクロモビリティ推進協議会の中心的存在LUUPも自社メディアLUUP LETTERで法律を分かりやすく解説
・【皆さまのギモンに答えます】電動キックボードに関する法改正のポイント(LUUP LETTER)
▼基準に満たない電動キックボードを安易に乗り回し、事故を起こして逃走
・電動キックボードでひき逃げした男を逮捕「免許なしで乗れると思っていた」 防犯カメラが捉えた事故の瞬間(CBCテレビ)
▼電動キックボード利用者の多くがルールを知らず守られていない現状が明らかに
・電動キックボード・新制度施行から半年間で7,130件の交通違反(JAF Mate Online)
▼施行から今年4月までの特定小型原動機付自転車の交通違反と事故件数は18,316件。厳罰化やより安全なモデル導入も
・LUUPが交通違反に「点数制度」導入、厳罰化を推進 - 座って乗れる新モデルも登場(マイナビニュース)
エキスパートの補足・見解
電動キックボードを乗り回して違反や事故を起こす人は、「免許不要=道交法を知らなくてもいい」と思っているようだ。だが道交法を理解するのは免許を取得するためではなく、道路を安全に走るためのルールである。
「免許不要で安価で手に入り、置き場所にも困らないという手軽な乗り物は、浅はかな考えでも手出ししやすい」というリスクがあることは規制緩和前から分かっていたが、グローバルな視点による経済推進の雰囲気に押され、規制緩和に舵を切ったのだ。それがすでに他の先進国では規制強化の方向へと変わっていたにもかかわらず、だ。
普及を優先した警察や自治体、マイクロモビリティ推進協議会ら団体や企業は、事故や違反が急増するという悪いシナリオも予測できたのだから、違反や事故を減らすためには何が必要か本気で考える必要があるだろう。
販売業者には通販でも購入者が登録手続きをしたか追跡させる必要があるし、販売やレンタル業者にも、利用者が違反や事故を起こした場合のペナルティを科すことも考える必要があるのではないだろうか。