パソコンや携帯電話やテレビなどの利用状況をさぐる
平日で一番多用されるのはテレビ受信機
テレビは基本的に映像・音声の出力しかできないが、番組をリアルタイムで映し出す他に、DVD・BDプレイヤーの再生映像を観たり、さらにテレビゲームの画像表示用としても使われる。また携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)ではワンセグを用いたテレビ視聴機能が使えるのが当たり前となりつつある。これら機能のクロスオーバーを考慮した上で、それぞれどの機種が長時間使われているか、見方を変えれば利用者の時間を奪っているか、気になるところではある。今回はその疑問を解消すべく、総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公開した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値から確認していく。
次に示すのは主に情報の取得用ツールとして一般家庭で利用されるもののうち代表的な「PC(パソコン)」「携帯電話」「タブレット型端末」「テレビ受信機」それぞれにおける利用時間。さらに「携帯電話」は「携帯(スマホ)」と「携帯(従来型)」に細分化したものも併記しておく。
なお本来は他メディアでの利用がメインとなる機能でも、利用したメディアでのカウントが行われる。例えば携帯電話でワンセグを用いてテレビ番組を観た場合、携帯電話の利用時間と見なされる(テレビには加算されない)。またテレビをゲーム画面やBD・DVDの再生出力機として使った場合は、テレビの利用時間が付加される。
また今件は各年齢階層全体の平均値であるため、該当機器を使っていない人は「利用時間=ゼロ」として平均値算出の際に計上されることに注意されたい。
10代を除けばテレビ受信機の利用時間がもっとも長い。一方で歳を経るほど時間は伸びていき、10代と60代とでは3倍近い差もある。60代でやや大きめな伸びを示すのは、早期退職(&短期時間就労による再雇用)者の割合が大きくなっていることが影響しているものと考えられる。他方10代はテレビ受信機よりも携帯電話、実態としてはスマートフォンの利用時間の方が長い。平日ではテレビよりもスマホを長時間使うのが、今の10代の実情となる。
携帯電話は20代が最長で、それ以降は漸減。ただしその中身はほとんどがスマートフォンによるもの。パソコンは10代が年齢階層別では最短で、その後20代から60代までがほぼ同じ利用時間だが、これは就業者による仕事における利用が底上げしているものと思われる。
また、機能別では無く今件のように端末別で考えた場合、すでに10代から40代は、パソコンよりも携帯電話(ほとんどスマートフォン)の方が利用時間が長い年齢階層となっているのも興味深い。他方歳を重ねるにつれて利用時間の一極集中化、具体的にはテレビへの注力度合いが上がり、60代ではパソコン・携帯電話・タブレット型端末すべてを合わせても、テレビの3割足らずの時間にしかならない。いかにシニアが平日からテレビに熱中しているか、そしてながら視聴ではなく注力しての視聴なのかがうかがい知れる。
休日は皆が長時間テレビ観賞
同じ条件で休日について尋ねた結果、そして平日との違いを明確化するために休日・平日の差異を算出した結果が次のグラフ。
年齢階層別の視聴時間の長短度合いは平日とあまり変わらないが、全体的に平日よりも長い時間となる。10代でも3時間近く、60代では6時間近くはテレビに首ったけ。いかにシニアがテレビ好きかが分かる。他方、休日でも10代がテレビ利用時間よりも携帯電話(ほとんどスマートフォン)の利用時間の方が長いことに変わりはない。
平日との差異で行動の違いを見ると、全年齢階層でパソコンの利用時間が減っている。特に30代から50代の下げ幅が大きい。これは平日の利用が多分に職場におけるものだったことをうかがわせる。また、10代・20代は特に携帯電話(実質スマートフォン)の利用時間が伸びているが、フルに使えるプライベートタイムに、知人などとのやり取りをしていると考えれば道理が通る。
タブレット型端末や従来型携帯電話の利用状況にほとんど変わりは無く、10代から20代はスマートフォンとテレビ、30代以降は主にテレビが伸びている。特に50代以降は実質的にテレビのみの増加と見て良い。50代以降は休日の娯楽として、テレビを利用した時間の使い方に注力しているようだ。スマートフォンも使いこなす若年層とは大きな違いではある。
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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。