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土砂災害などに厳重な警戒を なぜ台風から遠い千葉県~福島県で線状降水帯に?

小杉浩史気象予報士 / ウェザーマップ所属
8日(金)夜遅くの雨雲の様子(提供:ウェザーマップ)

きのう8日(金)は、朝は伊豆諸島で、昼前は千葉県で、夕方は茨城県で、そして夜になって福島県で発達した雨雲がかかり続けて記録的大雨になりました。特に茨城県~福島県は発達した雨雲が一列に連なる、いわゆる線状降水帯によって大雨がもたらされています。

雨雲の動きは鈍く、きょう9日(土)の朝にかけて土砂災害や川の増水などに厳重な警戒が必要です。

大雨の原因は台風…だけではない

元々8日は台風13号によって関東などで大雨になる予想でした。ただこの台風13号は予想されていた「東海や関東から上陸して北上」というコースは取らずに、静岡県沖で停滞したまま熱帯低気圧へと弱まっていきました。このため台風のすぐ近くの静岡県などではそれほどの大雨にはなっていません。

8日23時までの24時間降水量(提供:ウェザーマップ)
8日23時までの24時間降水量(提供:ウェザーマップ)

ところが台風13号が弱まっていくのと反比例するように関東付近で雨雲が発達し千葉県などで大雨になったのです。

8日(金)13時の衛星可視画像 画像左下の雲の渦が台風13号(ウェザーマップ提供のものを筆者加工)
8日(金)13時の衛星可視画像 画像左下の雲の渦が台風13号(ウェザーマップ提供のものを筆者加工)

この発達した雨雲の要因は、停滞している台風13号(とそれから変わった熱帯低気圧)だけではなく、東にある2つの高気圧です。

8日正午の天気図と衛星可視画像(提供:ウェザーマップ)
8日正午の天気図と衛星可視画像(提供:ウェザーマップ)

現在、北海道の東と日本の南東にそれぞれ高気圧があります。北の高気圧は大陸からやってきて乾燥した空気を持った高気圧、南東のものは夏の太平洋高気圧で、いずれの高気圧も動きが鈍くなっています。

まず熱帯低気圧周辺の南西からの風と北の高気圧からの北東風がぶつかり合うことで、千葉県付近で雨雲が発達して停滞。さらにそこに太平洋高気圧からの湿った空気も送り込まれたことで雨雲がより発達し、しかもこの3つの登場人物がいずれも動きが非常に鈍いため同じような位置に雨雲が停滞し続けてしまっています。

しかも茨城県の北部から福島県にかけては、山々が連なっている阿武隈高地があるため、その山にぶつかることで雨雲がさらに発達しやすくなっている可能性があります。

台風周辺の南東風、北の高気圧からの北東風、太平洋高気圧からの南西風が合流して同じような位置で雨雲が発達し続けている(ウェザーマップ提供のものを筆者加工)
台風周辺の南東風、北の高気圧からの北東風、太平洋高気圧からの南西風が合流して同じような位置で雨雲が発達し続けている(ウェザーマップ提供のものを筆者加工)

9日(土)になると徐々に台風から変わった熱帯低気圧は不明瞭になっていき、また北の高気圧も離れていくのでこの流れは解消していく見込みです。

ただ9日(土)の朝にかけては千葉県~福島県では発達した雨雲がかかり続けてさらに雨量が多くなるおそれがあります。既に夜遅い時間で避難行動を取ることも危険な可能性があります。崖とは反対側の方角の2階以上の部屋にいるなどして、安全な場所で今夜はお過ごしください。

気象予報士 / ウェザーマップ所属

東京都出身。大学卒業後、会社員やフリーターなどを経て、2012年に気象予報士を取得。2015年からミヤギテレビにて気象キャスターとして出演中。趣味はバイクに乗ること、目標は「宮城の天気と言えばこの人!」と言われること。南東北の北東から、天気の怖さと面白さをお伝えします。

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