厳選食材と革新調理が生み出す料理を贅沢な空間で楽しむ高級イタリアン

　ナポリピッツァブームなど、カジュアルでリーズナブルな価格帯の店が増えるイタリアン。逆に減りつつあるのが、スプマンテやアンティパストから始まって、ドルチェやエスプレッソ、グラッパでしめるような高級店です。そんなため、記念日やちょっと贅沢な食事をしたいときに使えるイタリアンは今や希少。和食やフレンチ、中華の高級店はいくつも出てきますが、イタリアンは数えるほど。

　ということで、今回は、大阪のイタリアンではほとんど取り入れられていないという“減圧調理”による料理が話題になっている高級イタリアンがあるということで取材にいってきました。

周辺の喧噪を感じさせない落ち着いた空間

　目的のお店「Nishideria」があるのは土佐堀通り沿い。京阪の天満橋駅から徒歩2分ほど。

　ブラウンを基調にした、店内は目の前が幹線道路とは思わせない、照明なども計算された落ち着いた空間です。

　店内には、個室を4つ用意。商談や接待、記念日など、さまざまなニーズに対応しています。　

イタリアンではかなり珍しい減圧調理

　減圧調理とは、圧力を低下させると食材の細胞が膨張する作用を利用した調理法。

飛行機に乗った時に、気圧が下がりお菓子の袋が膨張するのと同じ原理です。さらに気圧を急激に戻すことで食材が収縮することを利用して本来持つ食感を活かしつつ、細胞内部まで調味液を浸透。もとの素材感を生かしつつ食材に新しい旨味を加えることができます。

　たとえば、煮込めばくたくたになってしまうレタスも、シャキシャキ食感を維持しながら、カツオだしの味がするといった調理が可能。野菜などの食材に、味を浸透させるのが減圧調理の得意とするところ。肉や魚料理の付け合わせの野菜に味を浸透させることでその皿全体の味わいをアップすることに大きく貢献するのはもちろん、肉や魚にさらなる旨味を加えるということもできます。

高級食材を使った料理に、減圧調理の付け合わせ！

　黒毛和牛など、高級食材を使った料理を得意とする「Nishideria」。特に魚介類などはイタリアンという枠にとらわれず、食材に合わせた最適な調理法をチョイスします。天然魚や三大珍味、牧草牛フィレ肉など13品の贅沢な料理をそろえる人気のCコースの一部を紹介します。

【Antipasto】フォアグラのソテー ～泉州産穴子と減圧大根のマリアージュ～

　本来は、ステーキとフォアグラで楽しむロッシーニ風を穴子で楽しむ和と洋のいいとこ取りメニュー。醤油ベースの煮穴子とフォアグラの組み合わせは、予想を上回るおいしさ。

　柔らかな穴子とフォアグラを支えるのが、大根。しっかりとした食べごたえながら、密度の高いだしの味のしみ具合は減圧調理ならでは。3種の食材の食感のバランスも絶妙。

【Finire 】オマール海老のポモドーロ フレスカ（+1,500円）

　オマール海老を一匹まるごと使ったパスタ。フレッシュなトマトを使ったポモドーロは、ケイパーのアクセントも心地よく上品な味わい。オマール海老は見た目も味も最高で贅沢感を演出。

　小麦の風味が感じられる自家製の生パスタは、もっちりとした食感。食べごたえがあり、オマール海老やフレッシュトマトとも好相性。

【Carne】 黒毛和牛A5イチボの炭火焼き ～生七味のアクセント～（+1,000円)

　肉本来のポテンシャルが高いので、シンプルに炭火で焼いたイチボのステーキ。生七味、赤ワイン岩塩、黒胡椒のミニョネットをつけるだけでグッと旨味が増します。

　タケノコも減圧調理。和だしを浸透させたタケノコは本来の食感なのにやさしい旨味がしっかりのっている不思議な感覚が楽しめます。

大事な1日を演出する料理を提供！

　「Nishideria」のオーナーの西出雅章さんは、ホテルニューオータニ大阪やザ・リッツ・カールトン大阪で修業。その後、全国に高級飲食店グループの数店舗で総料理長を努めた腕利き料理人。お店の特徴やこだわりについて聞いてみました。

◆お店が目指す方向性は？

西出さん「独立する前に、六本木などの店舗の立ち上げなどに関わったのですが、東京には“味”と“空間”と“サービス”のそろった店がたくさんあって、利用しているお客様が多かったんです。それで、大阪で開業するとなった時に“味”はもちろん、 “空間”と“サービス”も高いレベルの店作りをイメージしました。思い出に残るような記念日や大事な契約のシーンなどに利用していただけるお店を目指しています」

◆そのためにどんなことをされていますか？

西出さん「“味”のことは後で話しますが、梅田や難波のようなこれぞ繁華街という場所ではないけど、不便ではない場所にしました。駅からも近いですし、目の前が土佐堀通りなので車でもお越しいただきやすくなっています。店に入るとそれまでと別世界だと感じてもらえるような空間を目指しました」

◆接客は？

西出さん「接客は、東京、恵比寿にある世界で最も多くミシュランで星を獲得した有名シェフ、ジョエル・ロブション氏の『ガストロノミー・ジョエル・ロブション』で働いていたスタッフがサービスの責任者をしています」

◆味へのこだわりは？

西出さん「たくさんあるんですけど、まずは食材。魚介は日本屈指の漁場『豊後水道』から直送される新鮮なものを中心に、全国から旬のものを入れていますし、牛肉なども上質なものを厳選して仕入れています。調理も、前職でミシュランの星の獲得に貢献したシェフが腕をふるっています」

◆空間、サービス、味とそろっていますね。そこに減圧調理も。

西出さん「減圧調理は、おいしさと同時に不思議な感じも。そういう驚きの演出でここでしかできない体験も味わって欲しいんです。たとえば、コースの最後のドルチェの場合、かわいくディスプレイされたスイーツの数々をワゴンでテーブルサイドにお運びし、お好きなものをお好きなだけ召し上がっていただけます。女性客の90％以上が目を輝かせてよろこんでくれます」

◆演出が大事なんですね！

西出さん「接待や記念日など、大切な1日に関われるのは、私達も嬉しいんです。プロポーズはある意味、大好物（笑）。そんなときには、リクエストを出していただければ、ご提案させていただきますし、最善を尽くします」

ここぞという大事な日に利用したい高級イタリアン！

　オリジナルワインなど、ワインも充実し、あらゆるニーズに対応。イタリアンと和食の融合したメニューも食べやすくて好印象です。いつもは立ち飲みやチェーン店を利用していても、ここぞという大事な日に使える店のひとつとしてストックしておきたい店ですね。

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