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熱い戦い続く近畿地区! センバツ準Vの報徳、強豪の近江、智弁学園など名門が近畿大会へ名乗り

森本栄浩毎日放送アナウンサー
報徳は準決勝で神戸国際大付にタイブレーク勝ちするなど勝負強さを見せた(筆者撮影)

 夏の甲子園出場を占う近畿各府県の春季大会も大詰め。週末が天気に恵まれなかったこともあり、大阪はまだ準決勝が行われていない。一方で、兵庫ではセンバツ準優勝の報徳学園(タイトル写真)が無類の勝負強さを発揮して優勝。また滋賀の近江や奈良の智弁学園は、それぞれライバルを決勝で倒し、夏へのアドバンテージを得た。

上位校伯仲の兵庫は報徳が秋春連覇

 今年の近畿で最注目の兵庫は期待通りの熱戦が続き、報徳が準々決勝で明石商に1点差勝ち。準決勝では昨秋の雪辱を期す神戸国際大付に9回表、勝ち越し点を奪われてその裏も2死まで追い詰められたが、5番・辻田剛暉(3年)の同点打が飛び出し、延長タイブレークでサヨナラ勝ち(押し出し四球)した。神戸国際はエース・津嘉山憲志郎(2年)が完投勝ち目前での暗転となった。決勝では、報徳の7番・宮本青空(はる=3年)がサヨナラ打を放って、滝川二の最速149キロ右腕・坂井陽翔(3年)を攻略し、秋春連覇を達成。センバツでも2度のタイブレークを制するなど、報徳は勝負強さが際立つ。今春はエース・盛田智矢(3年)を外したが、甲子園で投げた3人の2年生投手がさらに安定感を増した。神戸国際を3位決定戦で破ったセンバツ出場のも含め、上位の顔ぶれは秋とほとんど変わらず、シード16校は実力校で占められた。夏の甲子園代表争いは、全国屈指の大激戦となりそうだ。

下級生投手が成長した近江が混戦を制する

 昨年の山田陽翔(西武)のようなスーパースターはいないが、近江は選手層が厚い。秋は3回戦で彦根東に逆転負けしセンバツを逃したが、夏に向けて上昇カーブを描いている。

山田が卒業した近江は2年生投手陣が軸となり、夏の甲子園をめざす。河越は大津瀬田ボーイズ出身で、山田の後輩に当たり、昨夏も甲子園でベンチ入りした期待の左腕だ(筆者撮影)
山田が卒業した近江は2年生投手陣が軸となり、夏の甲子園をめざす。河越は大津瀬田ボーイズ出身で、山田の後輩に当たり、昨夏も甲子園でベンチ入りした期待の左腕だ(筆者撮影)

 課題は投手陣で、今春は左腕・河越大輝と右腕・西山恒誠の2年生コンビが成長した姿を見せた。西山は彦根東戦で逆転負けしてから自信を失い、春になっても尾を引いていたが、準々決勝の石山戦で好投し、「ホッとした」と多賀章仁監督(63)を喜ばせた。滋賀学園との決勝は、西山が初回に逆転されたあと河越がロング救援して踏ん張り、自ら決勝打を放ってライバルを4-3で破った。センバツ出場の彦根総合は準々決勝で甲西に逆転負けし、夏のシード権を逃した。シードは近江、滋賀学園、最速146キロ右腕の野川新(3年)がいる綾羽、甲西の順となるが、近江に絶対的な力があるわけではなく、綾羽や立命館守山の甲子園初出場があっても不思議ではない。

奈良も和歌山もライバル同士が決勝で対決

 半世紀以上、ライバル関係にある「奈良の2強」天理と智弁学園が決勝で当たり、智弁が終盤の打撃戦を制して8-4で勝った。秋は天理が勝っていて、直接対決1勝1敗となり、夏の甲子園を懸けた決着戦が実現するか、注目したい。2強を追う高田商は智弁に、奈良大付は天理にそれぞれ敗れ、シード落ちとなった。公立同士の3位決定戦は、御所実橿原をタイブレークで破った。和歌山決勝は、センバツ出場の智弁和歌山が、市和歌山に序盤から主導権を握られる大苦戦。最終回に3点を返したが、5-3で市和歌山が逃げ切った。内容的にも市和歌山が圧倒していて、秋に先行する市和歌山を夏に智弁和歌山がとらえるというこれまでの構図が崩れそうな気配だ。名門の箕島と甲子園未経験の和歌山南陵が4強入りし、夏はシードされる。

京都国際が平安にタイブレーク勝ちするなど底力発揮

 京都も上位の顔ぶれが秋とあまり変わらなかったが、早期敗退したチームにも実力校が多く、夏の代表争いは混戦が予想される。センバツ出場の龍谷大平安は、準決勝で京都国際に延長タイブレークでサヨナラ負けした。この対戦は昨夏から京都国際の3連勝となったが、速球派の右腕・岩井聖(3年)が甲子園で復活した平安の巻き返しは必至だろう。

京都国際の松岡は、昨夏甲子園の初戦で森下瑠大(DeNA)ら先輩投手を救援したが、力投むなしく一関学院(岩手)にサヨナラ負けを喫した。夏の甲子園で雪辱なるか(筆者撮影)
京都国際の松岡は、昨夏甲子園の初戦で森下瑠大(DeNA)ら先輩投手を救援したが、力投むなしく一関学院(岩手)にサヨナラ負けを喫した。夏の甲子園で雪辱なるか(筆者撮影)

 3年連続の夏出場を狙う京都国際は、15日に行われた決勝で立命館宇治の追い上げをかわして逃げ切った。左腕・杉原望来(3年)と右腕・松岡凛太朗(3年)の両輪を軸に、投手陣の総合力は随一で、打線も下級生の成長が著しい。立宇治では、マウンドにも立つ淡路島出身の強打者・北川陸翔(3年)に注目したい。また秋1位の乙訓も課題だった投手陣が整備されつつあり、夏の甲子園初出場も夢ではない。京都は8校がシードされるが、ノーシードの京都翔英京都外大西なども力があり、上位校との差は接近している。

大阪桐蔭は『脱前田』で大阪を制するか

 センバツ連覇を逃した大阪桐蔭は、大エースの前田悠伍(3年=主将)を敢えてメンバーから外し、準決勝まで危なげなく勝ち上がっている。センバツで湿りがちだった打線は、主砲・徳丸快晴(2年)や南川幸輝(3年)だけでなく、両親がスリランカ出身のラマル・ギービン・ラタナヤケ(2年)を中軸に据え、厚みが出てきた。またセンバツでベンチ外だった下級生投手も成長している。チームスタート時からの課題だった「前田頼み」からの脱却をめざす西谷浩一監督(53)の意図は明らかで、いつ前田が復帰するかにも注目したい。準決勝は、大商大堺金光大阪、大阪桐蔭-近大付の顔合わせで、大阪開催の近畿大会には、上位3校が出場する。夏のシードは16校で、公立では伝統校の八尾だけ。またセンバツ出場の履正社大商大高に4回戦で敗れ、シード権を逃した。夏は大阪桐蔭との早期対戦の可能性がある。

大阪開催の近畿大会は熱戦必至!

 春の近畿大会は27日から、大阪市此花区舞洲の大阪シティ信用金庫スタジアムで開催される。地元の大阪から上位3校が出場し、残る5府県の優勝校と合わせ、8校で頂点をめざす。各府県王者にとって、レベルの高い大阪勢との対戦は、夏の甲子園に向け、大きな試金石となるに違いない。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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