アメリカ合衆国から見た一般の日米協力・相互理解関係の推移をさぐる(2018年12月発表版)
日米の協力関係に関してアメリカ合衆国の人達はどのような認識をしているだろうか。その実情を外務省が2018年12月に発表した「米国における対日世論調査」(※)の結果から確認する。
まずは日米の協力関係において、軍事や政治などに限定せず、一般的にどのような評価を下しているかとの質問。「極めて良好」「良好」「普通」「よくない」「分からない・回答拒否」のうち、ポジティブな意見である「極めて良好」「良好」双方を足した値の推移をグラフ化したのが次の図。有識者は1992年度から質問を設定しているため、答えもそれ以降のものとなっている。
有識者の方が一般人の10~20%程度ポイントの上乗せをしているが、上昇の仕方は双方で変わりが無い。有識者の計測を始めた1992年度以降、一貫して上昇傾向を見せていた。一般的な協力関係については良好であるとの認識を持っていると考えてよかった。
ところが2013年度になると、一般人では前年度から22%ポイントと大きな下落が確認できる。有識者では2014年度に同じような動きが生じている。詳細を見るに(グラフ化は略)、その分「普通」の回答者が増えているのだが、この一年で日米協力関係に劇的なマイナス要因となる事態が起きたとも思えず、また仮に震災関連の反動だとしても、その勢いが大きすぎる。2014年度以降はいくぶん持ち直しは見せたものの(その分「普通」が減っており、「よくない」「意見無し」は前年からさほど変化は無い)、2007年度前後の水準にまで逆戻りをしてしまっている。
直近年度では一般人の値は前年度から7%ポイントの上昇、有識者も8%の上昇と大きな上昇を示した。前年度の2016年度では初めて一般人の値を下回る結果となったが、その状態は継続する形となっている。
一方、国全体も含めた包括的なものでは無く、国民の視線に降りた形で、両国国民における相互理解度をどのように認識しているかを聞いたのが次のグラフ。「普通」との回答が多いこともあり、「よく理解し合っている」の割合は先の「協力関係一般」と比べれば低い。
こちらも1990年代前半以降漸増傾向に違いは無い。そして2013年度以降の減少傾向も、「協力関係一般」と同じ流れ。直近年度では一般人と有識者で相反する動きを示し、一般人は前年度比で16%ポイントも下落したのに対し、有識者では2%ポイントの上昇。一般人の回答の内訳を確認すると(グラフ化は略)、「普通」の回答率が前年度比で16%ポイントの増加を示していることから、「よく理解し合っている」の減少分がそのまま「普通」にシフトした形となっている。
今件はあくまでも日本全体・包括的な日本そのものについて言及していることに注意する必要がある。他の項目では一部影響が及んでいるのも確認できるが(例えばある項目では、2008年度のアメリカ合衆国大統領選挙前後に、日本への傾注度が落ちている動きが確認できる)、少なくとも今項目では各調査時期の両国の政権政党や基本政策は、影響を与えていないと見てよいだろう。
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※米国における対日世論調査
直近分は外務省がニールセン社に委託し、アメリカ合衆国内において電話により2018年3月に実施されたもので、有効回答数は一般人1057人(18歳以上)・有識者200人(政官財、学術、マスコミ、宗教、労働関係などで指導的立場にある人物)。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。
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