大谷の右肘靭帯に新たな損傷発覚で揺らぐエンゼルス医療スタッフへの信頼性
ロサンゼルス・エンゼルスの二刀流右腕、大谷翔平の右肘に新たな損傷が見つかり、靭帯再生手術のトミー・ジョン手術の可能性が高まった。
大谷は右肘の内側側副靭帯の損傷で6月8日に故障者リストに入り。トミー・ジョン手術を避けて、自身の血小板を注射して靭帯を修復するPRP注射での治療を選択。打者としては7月3日に復帰したが、投手では9月2日に復帰登板を果たしたばかりだった。
地区優勝のチャンスがほぼ消滅して、消化試合となった9月に故障明けの大谷を登板させることを反対する声も多かったが、エンゼルスのビリー・エプラーGMは「専門家が靭帯は回復して、投球できると診断した。彼らの意見を信頼している」と反論していた。
大谷は2日の復帰登板後に右肘のMRI検査を受け、新たな損傷が見つかり、今回はトミー・ジョン手術を勧められていると球団側は発表した。
「新たな損傷」は2日の復帰登板で損傷したのかどうかは不明だが、もしそうであればエンゼルスの医療スタッフはとんでもなく大きな判断ミスを犯したことになる。復帰登板で損傷したのではない場合には、登板前に損傷を見抜けなかったことになる。
今季、エンゼルスの医療スタッフが投手の肘靭帯に関する診断を誤ったのは、大谷が初めてではない。
エースのギャレット・リチャーズは、2016年5月に右肘の内側側副靭帯を損傷して、大谷と同じくPRP注射の治療を受けた。2017年も僅か6先発しかできずに、今季は7月に再び右肘の靭帯を損傷してトミー・ジョン手術に踏み切った。
リチャーズのケースは大谷と非常によく似ているが、エンゼルスの医療スタッフはリチャーズのケースから何を学んだのだろうか?
エンゼルスの投手陣が肘を痛めるケースが多いのも非常に気がかりだ。今季はメジャー最多となる25人もの選手が故障者リスト入りしており、35人もの投手が登板している。
大谷とリチャーズだけでなく、アンドリュー・ヒーニー(14試合欠場)、JC・ラミレス(130試合欠場)、ブレイク・ウッド(117試合欠場)、ケイナン・ミドルトン(108試合欠場)、ジョン・ラム(59試合欠場)と7人もの投手が肘の故障で故障者リストして、大谷とヒーニーを除く5投手はいまだに長期欠場中だ。
投手にとって肘の故障は身近なリスクだが、それにしてもエンゼルスの投手陣が肘を痛めるケースはあまりにも多過ぎる。
左腕のヒーニーは2016年4月に左肘の靭帯を損傷して、PRP注射の治療を施したが効果が出ずに6月にトミー・ジョン手術を受け、昨年8月に復帰した。
PRP注射の治療は個人によって回復に大きな差があると言われており、誰にでも適した治療方法とは言い難い。
大谷がこのオフにトミー・ジョン手術を受けた場合には、投手としての復帰は最低でも1年となり、2020年の開幕まで復帰はできない。
打者としては手術後半年後に復帰することは可能なので、来年の開幕直後には間に合うかもしれない。
これまでにトミー・ジョン手術を受け、打者として先に復帰した例がないので、慎重なリハビリ・プログラムが必要となってくる。エプラーGMが「信頼している」と言う医療スタッフにそのメニューが作れるかどうかが、とても心配だ。