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オズワルド伊藤と蛙亭イワクラの恋の行方は?「芸人カップル」の歴史を振り返る

ラリー遠田作家・お笑い評論家
(写真:アフロ)

売り出し中の若手芸人であるオズワルドの伊藤俊介と蛙亭のイワクラが交際中であることが話題になっている。彼らの熱愛が最初に報じられたのは『FLASH』7月5日発売号(光文社)だった。記事によると、6月末にイワクラのマンションから出てきた2人が食事を楽しみ、再びマンションに戻るところが目撃されていた。2人は肩を寄せ合い、手をつないでいたという。

その後、彼らはそれぞれのラジオ番組で週刊誌の報道に触れて、交際していることを正式に公表した。結婚前に芸人同士の交際が明らかになるケースは珍しいし、それぞれがテレビの最前線で活躍する売れっ子同士というのも珍しい。お笑いファンの間では微笑ましいニュースとして受け止められている。

かつては芸人間の恋愛が少なかった?

芸人が芸人に対して恋愛感情を抱くことはあるのか。この問題については、それぞれの芸人によって考え方が異なる。一般的に言うと、私が知る限りでは、男性芸人の方が「それはありえない」などと否定的な考えを持っている人がやや多く、女性芸人の方が可能性はあると肯定的に考えている人が多い。

おぎやはぎの矢作兼もラジオで今回の交際報道に触れて、自分たちの世代では女性芸人を恋愛対象として見ることはほとんどなかった、と語っていた。なぜなら、当時はそもそも女性芸人の割合が圧倒的に少なかったし、体を張ってキワモノ的な芸をやる人が多かったので、恋愛感情を抱くようなことがなかったのだという。

だが、矢作が若手だった頃に比べると時代は変わった。女性芸人の割合は増えていて、存在感を増している。こぎれいな格好でキワモノ的ではない正統派の芸を披露する人も多く、女性芸人が一般的な女性に近い存在になってきている。

男性芸人への恋愛感情を公言する女性芸人も

一方、女性芸人が男性芸人に恋愛感情を持つことはそれほど珍しくはないようだ。ゆりやんレトリィバァや尼神インターの誠子などは、一時期は具体的な名前を出して身近な男性芸人に恋をしていることを公言していた。

女性芸人はお笑いが好きで業界に入っているため、面白い芸人に対しては無条件で尊敬の念を持っている。同じ舞台に立っていると、経験豊富な男性芸人に笑いの面で助けられる機会も多い。舞台上では厳しいイジリをすることもあるが裏では紳士的で優しい、といった男性芸人の「ギャップ」に触れることもある。そういった経験を重ねて、女性芸人は特定の男性芸人に好意を持ったり、恋愛感情を抱いたりすることがあるのだという。

夫婦漫才のように実際の夫婦がコンビとして活動をする場合には、仕事とプライベートを切り分けられないストレスから、関係が維持できなくなることも多い。鳳啓助・京唄子、正司敏江・玲児などは離婚してしまった。ただし、宮川大助・花子、かつみ・さゆりのように、長く夫婦関係を続けられるカップルもいる。

「アキナ山名・宇都宮まき」は結婚した

伊藤とイワクラのように現役の売れっ子芸人同士の熱愛では、なだぎ武と友近のケースが有名だ。彼らはそれぞれがピン芸人として活躍しながら交際を続けていた上に、2人揃って「ディラン&キャサリン」というキャラクターを演じることもあった。舞台上では息の合ったかけ合いを見せて仲睦まじく見えた2人だったが、結局は破局してしまった。

一方、最近では、アキナの山名文和と吉本新喜劇の宇都宮まきが2021年に結婚を発表した。2022年には第一子も誕生した。山名も宇都宮も関西を拠点に活動する売れっ子芸人同士ではあるが、それぞれ活躍するフィールドが微妙に違うため、仕事上のライバル関係になることがなく、プライベートとの切り分けがしやすいという面はあったのかもしれない。

歴史の上では芸人カップルにはさまざまな形があるが、結局のところ、2人がどういう関係になっていくのかは本人たちの気持ち次第である。仕事もプライベートも充実している伊藤とイワクラが今後もお笑い界で活躍することを期待したい。

作家・お笑い評論家

テレビ番組制作会社勤務を経て作家・お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行っている。主な著書に『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『この芸人を見よ! 1・2』(サイゾー)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある。マンガ『イロモンガール』(白泉社)では原作を担当した。

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