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PHS、進化と紆余曲折を経ながら28年の歴史に幕 石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.509

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト

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石川 温の「スマホ業界新聞」

2023/04/01(vol.510)

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《目次》

1.PHS、進化と紆余曲折を経ながら28年の歴史に幕

----日本の通信市場にうっすらとある「500万の壁」とは

2. NTTコミュニケーションズ、1枚で複数キャリアにつながるSIM技術発表

----大規模通信障害を教訓に副回線需要に期待

3.NTT QONOQが秋葉原にメタバース体感空間をオープン

----アップルは開発者会議でXRデバイスを発表するのか否か

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.PHS、進化と紆余曲折を経ながら28年の歴史に幕

----日本の通信市場にうっすらとある「500万の壁」とは

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2023年3月31日、PHSがサービスを終了した。すでに個人向けは2021年1月末にサービスを終えているが、今回、機器向け通信も終えることとなった。

これまで様々な通信規格があったが、28年間もサービスを提供し続けてきたというのはかなりまれだ。ケータイWatchにも関係者インタビューが掲載されていたが、コアネットワーク部分において改良が続けられ、時代に合わせて生き延びてきたという感じが強い。先日、寺尾さんと話す機会があったが、「当時はNTTはとても協力的だった」ということだった。

個人的にも、学生時代にPHSに出会ったことが、通信に興味を持つきっかけだったかも知れない。当時、日経トレンディでは「PIAFS」という通信規格を熱心に取り上げていて、食い入るように読んでいた記憶がある。

外ではPHS通信、自宅ではコードレス電話的に固定回線につながったりするのが魅力であった。NTTドコモ「P-in Comp@ct」といった通信カードとPDAを組み合わせて遊んでいた。

その後、ウィルコム「W-ZERO3」なんかも登場し、とにかくPHSは世間的にはメジャーになれなかったが、個性的な端末と、通話定額や「W-SIM」など世界の先を行くサービスで、楽しい印象しかない。

やはり、キャリア自身が技術を開発し、改良を加えつつ、ネットワークを生かす端末を自社で企画してしまうという「垂直統合型」だったというのが、面白いサービス、端末が出てきた理由なのだろう。

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ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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