日韓「慰安婦合意」と安倍首相の「在日人脈」
北朝鮮が、従軍慰安婦問題を巡る日韓の妥結に対する非難を強めている。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は1月31日、日韓の従軍慰安婦問題での妥結は米国の背後操縦を受けたものだとする告発状を発表。「近年、米国は同盟強化において最大の障害物の一つとなっていた日本と南朝鮮の歴史認識問題における差をなくすためにやっきになってきた」などと主張している。
「背後操縦」というのは当たらないが、日韓の妥結に際し、米国が肯定的役割を果たしたのは事実だ。思えば、1965年の日韓国交正常化交渉も歴史に残る難交渉だったが、同時期にベトナム戦争にのめり込んでいった米国が、同盟強化のために「仲立ち」に動いた経緯がある。
しかしそれにしても、日韓関係は安倍晋三首相と朴槿恵大統領の決断なくしては動かなかった。
そもそも半世紀前の国交正常化自体、朴大統領の父である朴正熙元大統領と安倍首相の祖父・岸信介元首相の関係がなければ動かなかった。
そして、岸元首相はその過程で地元・山口県と韓国にまたがる「王国」を築いており、その在日韓国人人脈と「金脈」は娘婿である安倍晋太郎元外相に、そしてその息子である安倍首相にも受け継がれてきた。
(参考記事:岸信介から安倍晋三まで…首相一族の「在日人脈」と「金脈」)
たとえば、かつて晋太郎氏が住み、いまは安倍首相名義となっている下関市内の敷地面積2千平方メートルの豪邸のかつての持ち主が、在日のパチンコ業者であったことはつとに知られている。
(参考記事:安倍首相一族、派閥政治とパチンコマネー)
また、安倍首相が初めて立候補したのは、自民党が下野した1993年の衆院選である。地元では晋太郎の系列だった県議が反旗を翻して対立候補となり、突然の逆風に見舞われた。そんな中でも、父の代から安倍家を支えた在日は晋三の応援を続け、経営するホテルの従業員とともに「エイエイオー」とエールを送った経営者もいた。
(参考記事:安倍首相、週刊誌が報じた「黒い交際」写真の真実)
慰安婦問題での合意を成就させるのも簡単ではなかろうが、せっかく出来た関係改善の糸口を、両首脳には大切にしてもらいたい。