スリランカ大統領一族の追放を掲げるデモ隊のテント村が改名
今日、スリランカは経済危機の中、新年を迎えた。国中どこにもお祝いの雰囲気はない。
正月休み前に、必需品を買い求める人々の姿が街中で見受けられたが、物不足と価格高騰の二重苦で納得いく買い物ができた人は少ない。中でもディーゼル、ガソリンや医薬品などがひどく不足しており、調理用のガスや食料価格は耐え難い水準まで高騰している。インフレ率は3月に18.7%となっており、昨年のお正月は新型コロナのため悩まされた国民は、今年は経済危機に悩まされている。
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スリランカは現在9連休中だが、引き続き大統領一族の退任を求めるデモ活動が続いている。ゴータバヤ・ラージャパクシャ大統領の執務室に程近い敷地がデモ隊のテント村になっており、大統領一族の退任を求める活動のシンボリックな場所となっている。現時点ではわずか12張のテントしかないが、この一角が日に日にパワーアップしている。テント村の一角には最近、図書館もできた。現政府は以前ならデモ隊の強制排除のために治安法の発動による警察や軍隊の出動もあり得たが、今回は国際社会の視線が注がれている中、さらには経済危機からの脱却に向けた国際通貨基金(IMF)などとの話を控えていることもあり、ラージャパクシャ兄弟は慎重になっている。
そんな中、今までなら全く考えられないことが起きた。首相のマヒンダ・ラージャパクシャの事務所より、デモ隊に対して会談の申し入れがあったのだ。しかしデモ隊は「大統領とその家族全員が政府を辞職するまで、会談は行われない」と突き返した。今回の政府の話し合いの申し出により、デモ隊テント村がある意味政府から公認を受けた格好となった。
そんな中で先日、デモ隊テント村がその名称の変更を発表した。以前、「アジテーションサイト(Agitation Site)」と呼ばれていたこのエリアが、「ゴータ・ゴーガマ(Gota Go Gama)」と改名されたのだ。「ゴータ」とは大統領の名前であるゴータバヤの略称で、「ゴー」は行け!で、「ガマ」とは村という意味である。つまりゴータ・村へ帰れという意味になる。「ゴータ・ゴーガマ」とその住民は、今後のスリランカ政治を占う上でますます大きな役割を果たしそうで、引き続き注目したい。
火曜日にスリランカ政府は510億ドルにのぼる対外債務の支払いの中止を発表しました。今年の債務を解消するために70億ドルを必要としており、実際の外貨準備高は19億ドルしかない状況だ。そんな中、来週政府は国際通貨基金(IMF)との相談を予定している。国の財政健全化のための厳しい引き換え条件とセットとなるが、必要な援助が得られる可能性は大きい。
しかし、次回の国会が開かれるのは4月19日だが、野党はその時に大統領に対する不信任案を提出すると脅しており、その可能性があり得る。となると場合によっては国際通貨基金の援助がスリランカに届く前にラージャパクシャ兄弟が政権から退陣させられている可能性もありえる、となる。