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列車の雰囲気が味わえる「鉄道バー」東京・大阪で営業中!

伊原薫鉄道ライター
大阪・上本町にある「鉄道バー 駅」見た目からしてインパクト絶大だ

天井から吊り革がぶら下がる店内には、あちこちに列車のヘッドマークや部品が並べられ、テレビでは前面展望映像が。見るからに「鉄分」満載なこの空間、実は立ち飲みバーなのだ。鉄道ファンにはたまらない、そんなお店が東京と大阪で今日も「運行」されている。

「鉄道バー 駅」の店内。壁際にずらりと並べられた近鉄の行先板は、どれも超貴重品。
「鉄道バー 駅」の店内。壁際にずらりと並べられた近鉄の行先板は、どれも超貴重品。

大阪・上本町。近鉄の駅と直結している「うえほんまちハイハイタウン」にあるのが、鉄道バー「駅」だ。開店からまもなく2年を迎えるお店は、そもそも見た目からして鉄道テイスト満載。国鉄で活躍した気動車「キハ58系」をイメージした外観には、本物の鉄道よろしく行先サボが。表記は「素面→千鳥足」と、なかなか洒落も利いている。

車内、もとい店内に入れば、天井には吊り革、窓の上に網棚。電車のヘッドマーク(行先板)が壁に掲げられ、テーブル上には切符を切るハサミや鉄道雑誌が所狭しと置かれている。店内にある鉄道用品は、その全てが「駅長」もとい店長である大西さんのコレクション。幼少の頃から近鉄が好きだったという大西さん、以前は東京でサラリーマンをしていたのだが、東京にあった鉄道バーの常連となるうちに悟りを開き(?)、一念発起して脱サラ。自分が店を開くならここしかない!と、近鉄のお膝元とも言える上本町に店を構えたという、筋金入りの「近鉄っちゃん」だ。

そして数々の鉄道グッズと一緒に並んでいるのは、実に多彩な缶詰め。ここは鉄道を¨肴¨にお酒を楽しめる、缶詰バーなのだ。焼き鳥・タイカレー等おなじみのものはもちろん、牡蛎のオイル漬けやヒグマの大和煮といった珍しいものまで、その数およそ100種類以上!「缶詰ってこんなに種類があったんだ!」とビックリである。店にはオリジナルラベルのワンカップ日本酒もあり、こちらは空きカップを持ち帰ってコンプリートを目指す常連さんもいるとか。

人形町にある「キハ」缶詰とカップ酒が中心の立ち飲みバーだ。
人形町にある「キハ」缶詰とカップ酒が中心の立ち飲みバーだ。

ところで「駅」の大西さんも入り浸っていたという東京のお店は、人形町にある。2006年にオープンし、元祖・鉄道バーとも言えるこのお店「キハ」は、「駅」と同様に缶詰とカップ酒がメインの立ち飲みバー。こちらもお店の前にある看板から鉄道風味が全開だ。鉄道ファンはもちろん、鉄道好きな芸能人の間でも有名なお店で、壁にはサイン色紙がずらりと掲げられている。

「キハ」の2階。通勤電車風の「車内」で、パーティーなどでの貸切も可能。
「キハ」の2階。通勤電車風の「車内」で、パーティーなどでの貸切も可能。

対して2階は列車の車内を模した作りになっていて、ロングシートに吊り革・荷棚とまるで通勤電車のよう。奥には鉄道模型のジオラマも飾られている。2階だけの貸切も可能ということで、鉄道ファンが仲間同士のパーティーなどに使うことも多いとか。こちらのオーナである二上「助役」の人柄にも惹かれ、今夜も全国から多くの鉄道ファンが集まってくる。

「駅」も「キハ」も共通するのは、年齢や立場・知識の量は違えど、鉄道の好きな人が気軽に語り合えるお店だということ。共通の趣味を持つ者同士で、ある時はお互いに情報交換し合い、ある時は「初心者鉄ちゃん」の質問攻めに合い、そして新たな輪ができて話が盛り上がる・・・このお店の終着駅には、当分着きそうにない。

【お店情報】

○カップ酒と缶詰の鉄道バー「駅」

大阪市天王寺区上本町6-3-31 うえほんまちハイハイタウンB116

電話:06-4305-1212

営業時間:17時ごろ~23時 定休日:日曜・祝日

○カップ酒・缶詰バー「キハ」

東京都中央区日本橋堀留町1-6-11

電話:03-5651-5088

営業時間:18時~23時 定休日:日曜・祝日(土曜は不定休)

鉄道ライター

大阪府生まれ。京都大学大学院都市交通政策技術者。鉄道雑誌やwebメディアでの執筆を中心に、テレビやトークショーの出演・監修、グッズ制作やイベント企画、都市交通政策のアドバイザーなど幅広く活躍する。乗り鉄・撮り鉄・収集鉄・呑み鉄。好きなものは103系、キハ30、北千住駅の発車メロディ。トランペット吹き。著書に「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」「街まで変える 鉄道のデザイン」「そうだったのか!Osaka Metro」「国鉄・私鉄・JR 廃止駅の不思議と謎」(共著)など。

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