【富田林市】秋祭りで見た猿田彦の神が天狗のお面をかぶっている訳と祀っている神社を探してみた
先月、久しぶりにコロナ規制の無い秋祭りが行われましたね。富田林の秋祭りと言えばだんじりですが、だんじり以外の秋祭りの伝統的な儀式を錦織神社で拝見しましたし、隣の河内長野では獅子舞や神楽なども行なわれました。
ところがいくつかの秋祭りに古事記や日本書紀に登場する猿田彦(さるたひこ)という神様が登場するのですが、顔が赤くて鼻が長く、見た目は天狗そっくりです。
先日の錦織神社の秋祭りの行列に描かれた絵巻物を見ると、先頭の天狗のようないでたちをした絵に猿田彦とと書いてあります。
日本書紀を見ると、猿田彦は次のような姿をしているという記載があります。
1咫(あた:手の親指と中指を広げた長さで約18センチメートル)の七倍で126センチの鼻があり、背丈は1尺(約30センチメートル)の七倍なので2メートル10センチの背丈があったとのこと。赤酸醤(ほおずき)のように顔が赤く照り輝いていたとのことです。
猿田彦の鼻や顔の描写から確かに天狗そっくりな顔をしていますね。ちなみに天狗を調べると、もともとは中国の狗(犬)を意味し、古代の中国人が流星を見て天から狗が降りてきたと思ったそうで、やがて日本に入ってきて猿田彦の神様と融合したようです。
動画は錦織神社の神輿行列ですが、先頭に歩いているのが天狗面の猿田彦です。異国の神様と日本の神様が融合することはよくあることで、七福神の大黒天も元々はヒンドゥ教の神様だったそうですが、出雲大社の大国主と融合して「ダイコク様」になったので、それと同じですね。
動画は河内長野高向神社の秋祭りの行列ですが、先頭に天狗の面をかぶった猿田彦が歩いています。神様だからということなのか、唯一椅子に腰かけています。また猿田彦が行列の先頭なのは、天孫降臨(てんそんこうりん=皇室の先祖が天からこの地に降った)の際に道案内をした神様とされているからと考えられます。
そこで、秋祭りで登場した猿田彦を祀っている神社が富田林市内にないか調べてみると、腰神神社が出てきました。腰神神社は中世の楠木正成の藤の木のエピソードが有名ですが、今回は古代に創建された神社の神々についてみていきます。
腰神神社の祭神は箕島宿禰(みのしまのすくね)、八大龍王、猿田彦尊(みこと)、国光大明神となっており、猿田彦の神様を祀っています。
説明版にもあるように、金胎寺山山腹にある巨石を御神体としているとあります。
絵馬堂(拝殿?)の後ろに御神体の巨石があると考えられますが、その御神体はおそらくは紀伊の豪族で、文武の師範として紀見峠を越えて嬉(うれし)に移り住んだとされる箕島宿禰だと考えられます。
絵馬堂の右側には境内社がいくつかあります。二番目以降に名前が登場する神々は境内社として絵馬堂とは別に祀られています。恐らく猿田彦尊も境内社として祀られていると考えられます。
八大龍王、猿田彦尊、国光大明神と書かれていて、左に八大龍王と掘られた石が祀られ、この画像の右隣には国光大明神が祀られているので、画像右側の石が猿田彦命を祀っている可能性が高いです。しかし明確に猿田彦かどうかはわかりません。
猿田彦が祀られている可能性の高い石を拡大しました。よく見ると何か刻まれていますが、何を刻んでいるかはわかりません。八大龍王のように石に祀っている神の名前を刻んだのかもしれません。
さらに拡大してよく見ると赤い丸の中に人型のようなものが見え。上の方に顔らしきものがあって鼻が左方向に天狗のように伸びている気がします。だとすれば猿田彦尊の姿を掘っているのかもしれません。少なくとも神社で紹介されている「大石の神々」のひとつであり、神聖なものです。
鳥居と小さな社があるのが国光大明神で、調べると稲荷大神を祀っているそうです。
また左に小さな不動明王があり、右に井戸があります。調べるとこの井戸水を飲めば持病が治るとのこと。
右側にもうひとつ石が祀られています。「大石の神々」のひとつですが、これは何を祀っているのかわかりません。もしかしたらこちらが猿田彦尊の可能性もあります。
歴史のある秋祭りの神事を調べると、意外なことが見えて来て知的好奇心が湧いてくるので、歴史や日本の神々に興味のある方は、この他にもいろいろ調べてみてはいかがでしょう。
腰神神社
住所:大阪府富田林市嬉62
アクセス:近鉄汐ノ宮駅から徒歩12分
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