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避難を市町村長の「勇気」に頼っていて良いのか?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

『避難勧告や指示「首長、早めに出す勇気を」古屋防災相』                     

(略)避難勧告や避難指示を出して何も災害がこなかった時、住民は市町村を責めないでほしい。首長も早めに出す勇気を持ってもらいたい。(略)(番組収録で)

出典:朝日新聞

「勇気」とかいう言葉が出てきているうちは、避難勧告・指示が出せませんでした、という話はなくならない気がします。

災害の頻度を考えると、避難勧告・指示を、出し慣れている市長村長は多くありません。

その感情や経験値が、判断の的確さを左右するというのは危険なことです。

判断時に、感情や経験が、極力入り込まないようにするのが大事なのではないでしょうか。

観測値・予測値・気象庁からの情報などにより、なかば自動的に出すのも一つの方法だと思います。

ただしその場合も、データや情報から危険度を読み取る最低限の能力が、市長村長や防災担当者には必要になりますし、その能力が整わない、蓄積できないのなら、気象予報士など外部の力を活用するという考えもあるでしょう。

一方で、自治体からの避難情報が今以上に整備され、精度が上がっても、住民がそれに頼りきるのは危険です。

気象災害は、たいていの場合、ごく狭い範囲で起こります。

観測網をすり抜け、自分の家の周辺地区だけで激しい現象が起こるというのも、よくあることです。

避難勧告・指示が出ていなくても、危ない状況になることが有り得る以上、避難情報だけに責任をなすりつけているうちは、災害はなくならないというのも覚えておきたいことです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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