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ウクライナ軍、英国提供「スターストリーク」でロシア軍の偵察ドローンを上空で破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
(ウクライナ軍提供)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。ロシア軍はロシア製の監視・偵察用ドローン「Orlan-10」で主に監視を行っている。

2022年11月にウクライナ軍は英国政府が提供した、英国製の近距離防空ミサイル「スターストリーク」でロシアの偵察ドローン「Orlan-10」を上空で爆破した動画を英国のメディア「ザ・サン」が報じていた。

▼スターストリークでロシア軍の偵察ドローンを上空で破壊(英国メディア「ザ・サン」)

偵察ドローンは敵からの襲撃の兆候、察知したら即破壊

上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。英国が提供した近距離防空ミサイル「スターストリーク」による偵察ドローンの撃破は明らかにハードキルである。

偵察ドローン「Orlan-10」は、ジャミングでも機能停止できるが、最近の偵察ドローンには手榴弾などの武器や弾薬が搭載されている可能性があるので、機能停止するだけでは上空からドローンが落下して地上で爆発する危険もある。そのため上空で撃破しておいた方が良い。また敵軍の監視・偵察ドローンに自軍の居場所を察知されると、その場所をめがけてミサイルが大量に発射されるので偵察ドローンを検知したらすぐに破壊したり機能停止する必要がある。

また現在のロシア軍は破壊された監視ドローンを回収して部品の再利用をして、監視ドローンを作っているようだ。そのため、監視ドローンといえども、中途半端な機能停止や撃墜によって落下させるのではなく、他の戦車やミサイルと同じように上空で徹底的に破壊しておきたい。そうすれば部品を回収されて監視ドローン製造に再利用されないので効果的である。

地対空ミサイルシステムや防空ミサイルのような大型システムで監視ドローンを攻撃して爆破させるのはコストもかかるし、大げさかと思うかもしれない。しかし監視ドローンこそ検知したらすぐに破壊しておく必要がある。監視ドローンは小型でも大型でも「上空の目」として戦場では敵の動向をさぐるのに最適である。監視ドローンで敵を検知したらすぐに敵陣をめがけてミサイルを大量に撃ち込んでくる。監視ドローンとミサイルはセットで、上空の監視ドローンは敵からの襲撃の兆候である。また部品を回収されて再利用されないためにも徹底的に破壊することができる"ハードキル"の方が効果がある。両軍ともに監視・偵察ドローンや攻撃ドローンを大量に飛ばしているので、地上から迎撃することが両軍の安全保障上、非常に重要になっている。

▼2022年6月にも「スターストリーク」でロシアの偵察ドローン「Orlan-10」を破壊する動画を公開していた。

▼ウクライナ軍では2022年6月には英国エリザベス女王に公式SNSで謝意を伝えていた。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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