NY金21日:ドル反落でスピード調整も行われたが、小幅続落
COMEX金8月限 前日比3.30ドル安
始値 1,098.00ドル
高値 1,108.80ドル
安値 1,095.90ドル
終値 1,103.50ドル
前日の急落を受けての押し目買いと戻り売りが交錯する中、小幅続落した。
アジア・欧州タイムは、前日の急落を受けての買い戻しが先行する展開になった。特に目立った買い材料が浮上した訳ではなかったが、為替市場でドル高是正の動きが強くなったこともあり、短期筋が利益確定の動きを強めた模様。7月28~29日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催も控えており、イベントリスクからドル買い・金売りのポジションを解消する動きが目立った。ただ、ニューヨークタイムに入ると改めてドルを売り込む動きが強まったことで、金相場もプラスサイドを維持することに失敗し、マイナス圏で引けている。
価格急落を受けて現物市場の反応が注目されたが、上海黄金交易所の純金売買高は30トン前後となっており、高水準ではあるものの先週の急落局面での買い圧力の強さと比較すると、伸び悩んだ印象が強い数値になっている。間違いなく現物需要は低価格の刺激を受けて、需給引き締め方向に作用している。ただ、本日のアジアタイムの上昇は専らドル安要因であり、なお需給要因から相場を下支えする動きは本格化していない。
一方、金上場投資信託(ETF)市場ではややパニック的とも言える換金売り圧力が報告されており、欧米投資需要は売り越し方向に傾いている可能性が高い。金ETFの売却が一服するまでは、アジア現物買い拡大のインパクトはある程度まで相殺されることになり、現物市場からのサポートは期待しづらい。
前日の急落を受けて当然にスピード調整の必要性は高まるも、金価格を取り巻くファンダメンタルズの悪化は否めない。既に今回のダウントレンドにおける新安値を更新している一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は着実に金融政策の正常化プロセスをたどっており、強気派の撤退傾向は確立している。鉱山分野で生産調整の動きが活発化するか、現物需要の急激な拡大などが見られるまでは、下値模索の展開が維持されよう。