Yahoo!ニュース

トランプ政権と中東(5)

高橋和夫国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

 パレスチナ問題の話をしてきましたが、次にトルコのことをお話ししようと思います。トルコに関しても、やはり福音派の票ということをトランプは意識した政策を取っているなと思います。今、トルコのエルドアン大統領とトランプは対立関係にあります。二人ともよく似た、個性の強い「俺が、俺が」という政治家ですが、今トランプはしきりにトルコを叩いています。トルコの製品に関税をかけるというようなことをやっています。何が問題になっているかというと、トルコでキリスト教のアメリカ人牧師が捕まっていて、トランプが釈放しろと言っているのですが、いや、こいつはクーデターに絡んでいたとか、クルド人と絡んでいたとかいうようなことで、エルドアンがこの牧師さんを離さないわけです。それでバカヤローということでトランプはトルコに対して関税をかけたりして経済制裁を行っている。そういうことでトルコのお金の価値がドーンと下がっています。トルコとアメリカの関係が悪くなるのはまずいのですが、トランプとしてはまずくないのですよね。だって、福音派の牧師さんを救うためにトルコと喧嘩しているわけですから、トランプの支持者の福音派にとっては、大統領は俺たちのために頑張ってくれているじゃないかということになる。なので、これはアメリカの外交政策としては無茶苦茶ですが、福音派の票は固まる。そういう面で、トランプがやっていることは選挙絡みだと、とても合理的だと思うわけです。ただ、このトルコとアメリカの関係は選挙絡みの短期の話もありますが、長い目で見てもいろいろ難しいかなということがあります。(この牧師は2018年10月に釈放されました。)

この記事は有料です。
高橋和夫の中東・イスラム・国際情報のバックナンバーをお申し込みください。

高橋和夫の中東・イスラム・国際情報のバックナンバー 2018年11月

税込275(記事9本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。

高橋和夫の最近の記事