トランプ政権と中東(5)
パレスチナ問題の話をしてきましたが、次にトルコのことをお話ししようと思います。トルコに関しても、やはり福音派の票ということをトランプは意識した政策を取っているなと思います。今、トルコのエルドアン大統領とトランプは対立関係にあります。二人ともよく似た、個性の強い「俺が、俺が」という政治家ですが、今トランプはしきりにトルコを叩いています。トルコの製品に関税をかけるというようなことをやっています。何が問題になっているかというと、トルコでキリスト教のアメリカ人牧師が捕まっていて、トランプが釈放しろと言っているのですが、いや、こいつはクーデターに絡んでいたとか、クルド人と絡んでいたとかいうようなことで、エルドアンがこの牧師さんを離さないわけです。それでバカヤローということでトランプはトルコに対して関税をかけたりして経済制裁を行っている。そういうことでトルコのお金の価値がドーンと下がっています。トルコとアメリカの関係が悪くなるのはまずいのですが、トランプとしてはまずくないのですよね。だって、福音派の牧師さんを救うためにトルコと喧嘩しているわけですから、トランプの支持者の福音派にとっては、大統領は俺たちのために頑張ってくれているじゃないかということになる。なので、これはアメリカの外交政策としては無茶苦茶ですが、福音派の票は固まる。そういう面で、トランプがやっていることは選挙絡みだと、とても合理的だと思うわけです。ただ、このトルコとアメリカの関係は選挙絡みの短期の話もありますが、長い目で見てもいろいろ難しいかなということがあります。(この牧師は2018年10月に釈放されました。)
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