NY金17日:米指標悪化で反発、CRB商品指数は年初来安値更新も
COMEX金8月限 前日比5.70ドル高
始値 1,113.20ドル
高値 1,121.80ドル
安値 1,112.80ドル
終値 1,118.10ドル
低調な米指標が下値を支え、反発した。
アジアタイムは1,116~1,118ドル水準で方向性を書いたが、欧米タイムに入ると安値修正の動きが強まり、総じてプラス圏での取引になっている。特に、ニューヨークタイムには8月ニューヨーク連銀製造業指数が前月の+3.86から-14.92まで急低下したことが材料視され、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ先送りに対する警戒感が、金相場をサポートしている。もっとも、CRB商品指数は年初来安値を更新しており、株高・ドル高となる中で積極的に上値を試すような動きはみられず、大きな値動きには発展しなかった。
中国リスクの織り込みが一巡する中、世界の株式相場は総じて落ち着きを取り戻しつつある。なお積極的に上値を試すことには慎重ムードも見られるが、少なくともリスクオフの動きが加熱し、金が大きく買い戻される必要性は後退している。こうした中、マーケットでは改めて米指標などから利上げまでの距離感を探りたいとのムードが強くなっているが、本日はその米指標が早期利上げを支持しなかったことが、金相場をサポートしている。
ニューヨーク連銀製造業指数はあくまでもニューヨーク州の製造業の景況感を表す統計であり、これによって米金融政策環境が大きく変わることはない。ただ、市場予測+4.50に対して-14.92との結果はネガティブ・サプライズと評価するに足る低調な数値であり、この種の指標が続いた場合には、当然に利上げ着手のハードルが高まることになる。他指標のトレンドを考えると大きな問題にはならないと考えているが、なお中国リスクで不安定な相場環境にある中、この種のネガティブな指標はマーケットに対して必要以上のインパクトを及ぼすことになる。
もっとも、為替市場ではドル高圧力が再開されつつあること、原油安主導でCRB商品指数が再び年初来安値を更新していることを考慮すれば、金価格のみが急伸するような相場環境にはない。目先は18日の7月住宅着工件数、19日の7月消費者物価指数、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録などを慎重に消化していく相場展開が続く見通しだが、中国リスクの再暴走がなければ、上値の重さが再確認され、改めて下値追いの展開となろう。