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東京は近来稀に見る9月から10月への季節変化

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
秋の芝公園と東京タワー(写真:イメージマート)

近来稀に見る4.2度の急降下

10月上旬の平均気温(気象庁発表に筆者加工あり)
10月上旬の平均気温(気象庁発表に筆者加工あり)

今夏は全国的に観測史上一番の最も暑い夏となり、さらに9月に入っても高温傾向が続き、やはり観測史上一番の暑い9月という所が多くなりました。ところが10月に入った途端、一気に秋が到来し、季節が急発進しました。

上図は10月上旬の平均気温の平年差を示しています。9月下旬までは顕著に高く、列島は赤一色の状態がずっと続きましたが、10月上旬は北日本で平年よりやや高い所が多いものの、東日本や西日本は平年を下回る水色の所も広がっている状態です。

実際に9月下旬から10月上旬にかけての平均気温を東京都心でみてみると、9月下旬の24.7度から10月上旬の20.5度へと一気に4.2度も急降下しました。平年だと9月下旬は21.1度、10月上旬は19.8度で、1.3度の低下ですから、データを見ても、季節が急発進したことが分かります。

では9月下旬から10月上旬にかけて、今年と同じように4度以上、平均気温が急降下した年はどれくらいあるのか、調べてみると、以下の通りとなります。(1875年以降、筆者調べ)

1878年21.9度→17.2度(4.7度低下)

1879年20.9度→16.8度(4.1度低下)

1890年22.6度→18.4度(4.2度低下)

1893年21.1度→15.8度(5.3度低下)

1916年21.2度→16.0度(5.2度低下)

1934年20.1度→14.9度(5.2度低下)

1942年23.3度→19.3度(4.0度低下)

1949年21.8度→17.1度(4.7度低下)

1954年23.0度→16.4度(6.6度低下)

1961年23.9度→19.4度(4.5度低下)

1971年21.2度→16.3度(4.9度低下)

2004年23.6度→19.2度(4.4度低下)

ことし  24.7度→20.5度(4.2度低下)

すると、ことしを含めて、計13回ありますから、平均すれば10年に1回程度は急降下が生じていることになるのですが、そのほとんどが古い時代で、近年では非常に珍しく、過去50年間では2004年の一度だけとなっています。ですから、これだけを見ても、ことしの9月下旬から10月上旬にかけての気温ダウンは、近来稀に見る急降下ぶりだったことが分かるかと思います。

秋の進みはスローペース

東京の10日間予報(ウェザーマップ)
東京の10日間予報(ウェザーマップ)

一気に秋が進んだので、この先もそうかと思いきや、そんな感じでもありません。東京都心の10日間予報をみてみると、最高気温は雨の降る15日(日)以外は総じて平年より高く、まだまだ夏日が続き、最低気温も来週にかけて平年より高めと予想されています。

ですから9月下旬までの顕著な暑さから比べると、10月に入り、確実に季節は進んだものの、今後、秋の進みはスローペースだと言えるでしょう。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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