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ケイト・ハドソン、3人の子のパパはみんな別。ハリウッドに見る、いろいろな家族の形

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
ケイト・ハドソンと現在の恋人ダニー・フジカワ(写真:Splash/アフロ)

「私は子供が大好き。自分に子供が生まれる前からそうだったのよ。弟が生まれた時、私がもう7歳になっていたからかもね」。

 1年半前の筆者とのインタビューでそう語った時、ケイト・ハドソン(38)は、ふたりの男の子の母だった。別のインタビューの時には、途中で携帯が鳴り、「ごめんなさい、ちょっとだけいいかしら」と受けて、長男と思える電話の相手に、ママらしく、いろいろ言い聞かせていたこともある。「出産は、死に最も近い(ほど苦しい)体験だった。だけど、同時に、最もパワフルな体験でもあったの。その結果、生まれてきたわが子を見た時、こんなに愛おしいものはないと感じたわ」とも語っているハドソン。彼女には、もうすぐ、またその体験が待っている。現在の恋人ダニー・フジカワとの間に、娘を妊娠したのだ。

 ロックミュージシャンのフジカワとは15年来の友人だが、恋人同士になったのは2年ほど前のこと。結婚の予定は今のところないものの、この妊娠は計画的らしい。ハドソンの長男ライダー(14)の父は元夫クリス・ロビンソンで、次男ビンガム(6)の父は元婚約者マシュー・ベラミー。今度の赤ちゃんが生まれると、ハドソンは、シングルマザーとして、父親の違う3人の子供を育てることになる。

 昔ながらの家族の形とは異なるが、ハドソン自身も、両親ゴールディ・ホーンとビル・ハドソンが離婚した後、ホーンのパートナーとなったカート・ラッセルを父と呼んで育った。兄オリバー・ハドソンは血の繋がった父の子で、弟ワイアット・ラッセルとは半分だけ血が繋がっている。ロビンソンと離婚した後、ハドソンは、「離婚したのにクリスとどうしてうまくやっていけるのかと聞かれるけれど、子育ては一緒にするものだし、お互い努力しなければいけない。私たちは、家族として、今も繋がっているの。伝統的な形ではなくてもね」と語った。

 今の世の中、家族のあり方は多様化してきている。一般人より結婚離婚が多いとされるハリウッドでは昔からその傾向があるが、現在はさらにユニークな形が増えた。たとえば、こんな例がある。

リッキー・マーティン(46)

 歌手として大成功し、俳優としても現在アメリカで放映中のドラマ「The Assassination of Gianni Versace: American Crime Story」などに出演するマーティンは、2008年、シングルのまま、代理母を使って双子の男の子の父となった。だが、昨年、スウェーデン人の芸術家ジュワン・ヨセフ(33)と同性結婚し、ふたりの息子たちには、もうひとりパパができる。

 米メディアに対し、今年1月、マーティンは、「僕らはどこもおかしくない。それを伝えるのは、僕の使命。息子たちに、どうして自分にはパパがふたりいるのかと聞かれると、『僕らはモダンな家族だから』と答えているよ」と語った。マーティンは、あと4組双子がほしいとも述べているが、本気か冗談かはわからない。

ケイト・ウィンスレット(42)

 ウィンスレットの3人の子供の父親は、それぞれ別。今年18歳になる長女ミアの父は、最初の夫ジム・スレアプレトン。2003年に生まれた長男ジョーは2番目の夫サム・メンデスとの間に生まれ、2013年には3番目の夫ネッド・ロックンロールとの間に次男ベア・ブレーズが生まれた。

 2013年のインタビューで、ウィンスレットに「一番誇りに思うことは何ですか」と聞くと、彼女は「子供たち」と答えている。「人が普通と呼ぶ家族でないことはわかっている。子供たちの父親はそれぞれ違うし、こうあるべきという家族の姿ではないかもしれない。だからといって家族らしさが損なわれているとは思わないの。逆に、もっとすばらしいというわけでもないけれどね。私の子供たちは、みんな、明るく、健康で、幸せで、愛嬌がある。地に足がついている。それは私の誇り」というウィンスレットはまた、大きな家族を持つのが夢だったとも明かした。「母も大家族だし、大人になった自分が多くの人々に囲まれている様子を、子供の頃から想像していたの。子供は絶対にほしかった。いい子に恵まれた私は、ラッキーよ」。

クリント・イーストウッド(87)

 結婚したのは2回だけだが、イーストウッドには5人の女性との間に7人の子供がいる。相当に複雑なのではと想像するが、彼の最新監督作「15時17分、パリ行き」のL.A.プレミアに、このうち6人の子供と4人の母親が集まったところを見ると、それなりにうまくやっているようだ。母親の違うきょうだいが一緒に写真を撮る姿も見られている。

 カイル(49)とアリソン(45)は、イーストウッドの最初の妻マギー・ジョンソンの子供。この前に、現在52歳のキンバーが生まれているが、彼女はイーストウッドがジョンソンと結婚している間に不倫相手ロクサンヌ・チュニスが生んだ子供で、イーストウッドは1989年までこの長女の存在を認めなかった。

 現在公開中の「パシフィック・リム:アップライジング」にも出演する俳優のスコット(31)と彼の妹キャスリン(30)は、イーストウッドが同棲相手ソンドラ・ロックと暮らしている時に不倫したフライトアテンダントとの間に生まれている。現在24歳の娘フランチェスカはロックの後にイーストウッドが同棲したフランセス・フィッシャー、21歳のモーガンは2番目の妻ディーナ・ルイスとの間に生まれた。

 イーストウッドは現在、レストラン勤務の54歳女性と交際している。

アンジェリーナ・ジョリー(42)とブラッド・ピット(54)

 人種もさまざまで実子も養子もいるこの家族は、もはや世界的に有名。だが、ジョリーが離婚申請をして1年半が経ち、ピットには大学教授の新恋人の噂まで出ているのに、離婚手続きは進む気配がなく、ふたりとも子供と家族を第一にし続けているところが、さらに彼らをユニークにしている。

 長男マードックス(16)は、ジョリーがシングルマザーとしてカンボジアから引き取った養子。ジョリーはザハラ(13)も表向きはひとりで養女に受け入れたが、当時、ピットとはすでにカップルになっており、ピットも一緒にエチオピアに向かっている。次の養子パックス(14)は、初の実子で女の子のシャイロ(11)が生まれた後にベトナムから引き取り、翌年には実子で男の子と女の子の双子ノックスとヴィヴィアン(9)が誕生した。

 白人、黒人、アジア系が混じる子供たちを育てることについて、ピットは筆者との2009年のインタビューで、「彼らが人種差別というものを知る日が来ることを、恐れてはいない。そういうものについて疑問をもち、説明を求めてくることは、いつかあるだろう。だが、彼らは本当のきょうだいだ。それはとても美しい。だから、いつか人種差別というものがわかる時が来ても、彼らはほかの人々に対してポジティブに接し、多くの理解を示すと、僕は思っている」と語っている。このような形の家族を作ることを想像したかとの問いには、ちょっと考えて、「これを変わったアイデアだとは感じなかった。考えたことはあったと思う」と答えた。

マドンナ(59)

 マドンナの子供は6人。最後のふたりは、昨年新たにマラウィから引き取った双子の養女だ。名前はステラとエッシャー。

 6人のうち、上のふたりは実子。昨年21歳になったローデスは、過去の恋人でパーソナルトレーナーとの間に生まれた娘。長男ロッコ(17)の父は2番目の夫ガイ・リッチーだ。次男デビッドは2006年、次女メイシーは2009年に、それぞれマラウィから引き取られた。

 ローデスの父親カルロス・レオンとマドンナは、友好な関係を保ってきている。だが、ロッコがマドンナではなくリッチーとロンドンで暮らしたいと強硬な手段で訴えたこともあり、リッチーとの関係は複雑なようだ。リッチーは2015年に再婚し、夫妻は3人の子供をもうけた。ローデスを含め、ロッコには半分血の繋がったきょうだいが4人いることになる。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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