「安保法制廃止」2万3000人が国会前で訴え―野党4党も共闘誓う
安保法制が正式な手続きを経ずに「強行採決」された(注1)、昨年9月19日から一年の今週19日、国会正門前に約2万3000人(主催者発表)が集まり、安保法制の廃止を求めた。集会には、野党4党の幹部らも参加。集まった人々を前に、安保法制の廃止と、それに絡む南スーダンでの自衛隊の駆けつけ警護問題、野党共闘の継続や沖縄の基地問題などに取り組むことを誓った。
〇野党幹部らが「共闘」「南スーダン」「沖縄」訴え
国会前の路上をプラカードや横断幕を持った人々が埋め尽くす。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」を中心に、「安全保障関連法に反対する学者の会」「安保関連法に反対するママの会」などの呼びかけで、国会前で行われた集会には、冷たい雨が降りしきる中、多くの人々が参加した。昨年夏の安保法制反対の抗議活動と同じく、野党の国会議員らがスピーチを行った。
最初にマイクを渡されたのは、岡田克也・民進党前代表だ。岡田前代表は「憲法違反は何年経とうが憲法違反。それを止めるのが、国会の役割」と継続審議となっている安保法制廃止法案を野党一丸となって進めていくことを強調。さらに「代表は変わったが、(共闘についての)党の方針は全く変わっていない!」と、次の国政選挙でも野党共闘を続ける意向を明らかにした。
次に発言したのは共産党の志位和夫委員長。今年11月に、南スーダンに派遣されている自衛隊のPKO部隊が、安保法制によって、いわゆる「駆けつけ警護」、つまり他国の部隊への支援で、武器使用できるようになることに触れ、「南スーダンは内戦状態。大規模な戦闘が起きている」と、PKO派遣の条件に反していることを指摘した。
沖縄での視察から戻った社民党の福島みずほ副党首もマイクを握り、沖縄県本島北部の高江で現在行われている米軍ヘリパッドの建設で、機動隊が県道を封鎖したり、抗議テントを撤去したり、自衛隊が工事車両を空輸したりしていることなどについて「無法状態」と指摘。十分な法的根拠もなく、工事が強行されていることについて、「(自民党の改憲草案の)緊急事態条項の先取りだ」(注2)と批判した。
生活の党と山本太郎となかまたちからは、今夏の参院選で、岩手県での野党統一候補として出馬、当選した木戸口英司参議院議員が発言。東日本大震災で被災者支援で活躍した自衛隊の東北の部隊が、南スーダンに派遣されることについて、「心を痛めている。医療体制や万が一の補償も十分ではないと聞いている」と懸念した。
〇1400万筆の安保法制廃止署名
市民側からも、学者や若者、母親や弁護士、元自衛官など様々な立場からのスピーチが行われた。総がかり行動実行委員会メンバーの福山真劫氏は、「この間、全国各地から集まった安保法制廃止の署名が1400万筆も集まった」と報告。こうした草の根の運動を背景に野党共闘をすすめようと訴え、「それが実現すれば安倍政権は崩壊する」と、気勢を上げた。
報道各社の世論調査では、安倍政権は依然、安定した支持率を誇っているが、経済政策や社会保障政策など個別の政策については、批判的な回答も多く、改憲についても慎重論は根強い。来週26日から始まる臨時国会でも、与野党の対決が激しくなりそうだ。
(了)
注1:
安保法制「成立していない」、学者や弁護士らから続々あがる声ー参議院則違反、記録も無く「採決不存在」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20150928-00049934/
注2:
EU離脱どころではない日本の岐路―民主主義からの離脱!?参院選の最大のテーマは憲法