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最新の物理学では「時間は存在しない」かもしれない!?

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「時間は存在しないかもしれない」というテーマで動画をお送りしていきます。

動画は宇宙ヤバイchの姉妹チャンネルである、科学ヤバイchにて公開しています。

●時間の最小単位

急に時間が存在しないと言われても、普通はすぐにカレンダーや時計を指差して、否定したくなると思います。

しかし、非常に高度な研究を重ねている物理学者や哲学者は、時間が存在しない可能性を考えてきました。

それでは、研究者の考える時間が存在しないという意味は、一体どういうことなのでしょうか。

物理学の分野では、時間や空間には分割不可能な最小単位が存在すると言われてきました。

時間や空間の最小単位があるとする理論が、ループ量子重力理論です。

ループ量子重力理論では、これ以上分割不可能な長さのことをプランク長、質量をプランク質量と言います。

また、長さや質量と同様に、時間にも最小単位が適用されると、物理学者たちは考えました。

つまり、時間にもそれ以上分割できない最小幅が存在し、その時間のことをプランク時間と呼んでいます。

このプランク時間は真空中で光が、プランク長を移動するためにかかる時間のことで、およそ5×10の-44乗秒です。

5×10の-44乗秒とは、小数点の後に0が43個並ぶ非常に小さい数であり、ものすごく短い時間であることがわかります。

そして、ループ量子重力理論の仮説が正しければ、時間は不連続だと言えるでしょう。

パラパラ漫画をイメージすると、わかりやすいかもしれません。

パラパラ漫画は一つ一つが静止した画像ですが、連続でめくると、まるで動いているかのように見えます。

実際にはYouTubeなどで再生されている動画も、とても細かいパラパラ漫画のようなもので、脳の認識能力によって、動いていると錯覚しているだけなのです。

動画と同じことが、時間についても言えます。

すなわち脳が錯覚して、時間も動いているように見えているだけかもしれないのです。

さらに、プランク時間より短い時間では、物理的に意味を持つものは知られておらず、時間の概念は存在しないことになります。

このプランク時間より短い時間に関しては、量子重力理論で考察されてきました。

量子重力理論とは、一般相対性理論と量子力学を統一するための理論です。

つまり量子重力理論では、一見異なったものに思える時間や空間が、物質と同じ原理によるものだと考えられています。

●時間の流れは錯覚か!?

時間が存在しないと仮定すると、時間の代わりに一体何が存在しているのでしょうか。

私たち人間は過去から未来へ、時間が流れているように感じています。

実は、私たちが考えている時間の流れは、エントロピーの増大によって説明可能です。

エントロピーとは、不規則性の程度を表す量のことを指します。

物事は放っておくと、乱雑で無秩序な方向へ向かうという意味です。

例えば、熱い物が冷たい物に触れると、熱が温度の高い物から低い物へと流れます。

この熱の移動は一方向にしか起きず、自発的に元の状態に戻ることもありません。

これをエントロピー増大の法則と呼び、物理学における基本的な大原則の一つです。

よって時間だと思っていたものも、ただのエントロピーの変化なのかもしれません。

したがって、時間と呼んでいるものは、複数の出来事同士の相互作用だと言えます。

エントロピーが増える方向を未来、減る方向を過去と呼んでいるだけで、時間の方向を決定しているのがエントロピーだと言うことも可能です。

このエントロピーの増大とともに、エネルギーが熱に変換されていきます。

エネルギーから熱への変換の際に痕跡を残すため、過去には痕跡があるのに、未来の痕跡は存在しません。

結果として、世界は物ではなく、実際には出来事の集まりであり、複数の出来事の関係性を、時間のように感じているのです。

アインシュタインは相対性理論で、時間の進み方は観測者によって異なると述べています。

アインシュタインの相対性理論によると、宇宙には共通の現在が存在しないため、絶対的な時間も存在しません。

結局時間とは、アインシュタインによれば、人間が生み出したただの概念なのです。

●時間が存在しない世界とは!?

現在研究者たちは、時間という変数がないループ量子重力理論について研究しています。

エネルギーと時間には密接な関係があるため、あくまで時間という単語を使って、エネルギーの相互関係を表現しているのです。

過去から未来へ流れが一方的なのは、エントロピーが低いところから高いところへ向かっているだけであり、これを私たち人間は時間と表現しています。

その一方で、エントロピーの増大による出来事同士の関係性を、時間が流れていると錯覚しているのです。

偶然なのかは不明ですが、宇宙の初期状態のエントロピーは低かったと言えます。

最初のエントロピーが極端に低かったために、宇宙の至る所でエントロピーは増大するしかないのです。

そこで、なぜ初期の宇宙はエントロピーが低く、秩序があったのかという疑問が残ります。

その理由は、過去と未来が表裏一体である、すなわち過去によって未来が一つに決定していると考えると、説明ができるそうです。

現在が唯一ならば、時の流れを遡った過去も一つであり、同時に時の流れを下った未来も一つに決まります。

私たちのいる宇宙は、たまたま原因から結果に流れているだけで、結果から原因に流れても矛盾は生じません。

例えば、手ですくった水がこぼれていく映像を逆再生すると、過去と未来を入れ替えるという操作を体感しやすいです。

逆再生の映像では、こぼれていた水が上がっていき手に収まるという、普段の生活から考えると、違和感を感じると思います。

それに対して、どこか遠い宇宙の出来事を、逆再生して見たとしても、多分何も思いません。

私たちは時間が一方通行という考え方に慣れてしまっているので、過去と未来は同等だという感覚には馴染みがないのです。

ほかの宇宙から私たちの宇宙を見たときに、過去と未来が入れ替わっていても、おそらく何の不都合も生じないでしょう。

エントロピーで言い換えると、ほかの宇宙から見たらエントロピーは増大していないかもしれないし、そもそもエントロピーという変数も存在していない可能性もあります。

結局、時間はあるのかないのか、どちらなのでしょうか。

時間が存在しないというのは、あくまでも物理学者や哲学者による、いくつかの仮説が混じったときの話です。

普段の私たちは、画像の連続である動画を、動いているかのように感じますが、これと同じく時間もただの錯覚なのか、それとも時間が実在するのかはわかりません。

仮に時間が存在しないことが証明されたら、どうなるのでしょうか。時間が存在しなくても、私たちの日常生活には何の影響もないという意見もあります。

ただし物理学の分野では、大きな影響を与えるはずです。

そして、物理学の新しい時代の幕開けになると言われています。

https://theconversation.com/time-might-not-exist-according-to-physicists-and-philosophers-but-thats-okay-181268
https://honz.jp/articles/-/45352
https://shimirubon.jp/reviews/1698034
https://www.pahoo.org/e-soul/gadget/2020/LordineDelTempo.shtm
http://brownian.motion.ne.jp/11_WhyPPMisImpossible/12_DeterminateTime.html
http://bit-consul.com/wordpress/?p=10795

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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