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ちょっとした空きスペースを生かそう バイク駐輪場問題への活路とは…

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
路上の一角を利用した海外のバイク駐輪スペース例(筆者撮影)

バイク駐輪場は増えてはいるが…

都市部におけるバイクの駐輪場不足の問題だが、いつしかあまり話題に上らなくなった気がする。一時は「2020年に国内市場100万台」実現などのスローガンもあってか、国の政策にも取り上げられることが多かったのが……。

たしかにバイク用駐輪場の数は増えている。日本二輪車普及安全協会によると、全国にバイク駐車場の数は10,555ヵ所もあるそうだ。都内でも一部の大きな駅前や新しい商業施設などではバイク専用のスペースを確保している例も増えている。

路上の駐輪スペースも見かけるようになった。表参道辺りの路上にも100円のパーキングチケットで1時間止められるバイク専用駐輪場があったと思う。

パーキングチケットも良いが問題も…

もちろん、バイクでもクルマ用のパーキングメーターやパーキングチケットを利用することは可能だ。法律でも認められている。ただ、クルマに比べて専有面積がずっと少ないバイクは割高で不公平感がある。それでも自分は駐禁を切られたくないので、近くにバイク用駐輪場などが見当たらない場合は利用することが多い。

広い四角の中にポツンと一台。なんか間が抜けた感じで情けないが、それはともかく一番怖いのが、クルマなどに当て逃げされることだ。バイクは小さいのでパーキングメーターから離れて止めると機械に感知されにくい。

そのため、パーキングメーターにめいっぱい寄せて止めるわけだが、クルマが縦列駐車している中に止めるとそこが死角になって見えにくい。

以前実際にあったことだが、自分が先にバイクを止めているところに、あろうことか一台のバンがバックしてきたのだ。寸でのところで、相手のハッチを叩いて気が付いてくれたが、運転手さんはバイクが止まっているとは思ってもいなかったそうだ。

もし1分早く自分がバイクから離れていたら、ガッシャンとやられてそのままドロンされていたかもしれない。それこそ最悪のパターンだ。

歩道や車道のスペースを巧く活用している海外の例(筆者撮影)
歩道や車道のスペースを巧く活用している海外の例(筆者撮影)

バイクやライダーに冷たい国

また、先日はある観光地の商業施設でバイク駐輪場を探していると、そこは大きなビルの隅っこの歩道の一角にペイントで区画された、見るからに後から仕方なく作った感じのみすぼらしいスペースだった。

そこは歩道を横断しなければ入れない場所なのだが、バイクを押して入ろうとすると、係員のような人がやってきて「バイクはダメだから向こうに回って!」と怪訝な顔で言われてしまった。こっちだと言われてきたのに、重い大型バイクを押してたらいまわしにされガックシ。きっとライダーなら同じような思いをした人も多いことだろう。

どうも我が国はバイクに冷たいというか、ライダーの居心地が悪い気がする。これまでも度々書いてきたことだが、海外ではもっと普通に合理的にバイクを駐輪できているパターンが多いように思う。

途上国ではバイクはそれこそ重要な労働力としての交通手段だし、ヨーロッパなどの先進国でも仕事にレジャーになくてはならない日常の足として活躍している。

もっと自由で気軽でいいのでは

先日もスペインに出張した折、道路上だけでなく歩道や交差点の空きスペースを有効活用したバイク用駐輪場がそこかしこに設けられている様子を見て感動した。もちろん、すべて無料でスクーターなどの小型バイクが多いが大型バイクも少なくない。治安は確かに悪そうなので、皆しっかり頑丈なロックを持参しているが(笑)。

盗難対策は個人でしっかり行う海外の例。頑丈なロックで施錠されている。
盗難対策は個人でしっかり行う海外の例。頑丈なロックで施錠されている。

若者もおばちゃんたちも空いているスペースを見つけると、サッと駐輪して街へと消えていく。スペースに余裕があるせいか、路上にバイクが溢れたり、無造作に置かれている例がほとんどない。自分がそういう場所しか見ていないのかもしれないが、時間や課金やルールでがんじがらめになってもいないのに、実に統制がとれているのだ。

なにかとても自由で気軽な感じがして気持ちいい。

ちょっとした空きスペースを有効活用できないか

そういう様子を見ていると、日本は遅れているな~と思ってしまう。たしかに違法駐車は良くないが、もっと自由であっていいのではと思う。

遊んでいる土地を見つけて、あるいは道路などのちょっとした空きスペースを有効活用することで、誰でも自由に利用できる無料の公共駐輪スペースを確保できるのではないだろうか。少しずつでもトライしていきたいものである。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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