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テレビ各局(在京キー局)は「新しい地図」をどう報じたか

てれびのスキマライター。テレビっ子
「GQ Men of the Year 2017」を特集した『GQ』

香取慎吾、草なぎ剛、稲垣吾郎の3人が“今年もっとも輝いた男たち”に贈られる「GQ Men of the Year 2017」に選ばれました。

22日に、その授賞式が行われましたが、テレビ各局の取り上げ方に違いがあらわれ、興味深かったので記録しておきたいと思います。

『72時間ホンネテレビ』と「パラリンピック」スペシャルサポーター就任

3人は、SMAP解散後、ジャニーズ事務所を退所。「新しい地図」を掲げ活動を始めました。

そんな中で大きな話題となったのが、AbemaTVで、11月2日から放送された『72時間ホンネテレビ』。「Twitter」でのトレンド世界1位の獲得を目指した番組内で、元SMAPの森且行と21年ぶりに共演。「#森くん」が見事、トレンド世界1位になり目標を達成しました。また視聴数も7400万視聴を記録。もちろん、過去最高のものでした。

このニュースは、関西などのローカル番組では大きく取り上げられたようですが、番組終了翌日、在京キー局の番組で取り上げたのは、TBSの『はやドキ!』のみでした。なお、日本テレビ(読売テレビ制作)の『情報ライブ ミヤネ屋』では取り上げる予定だったものの日米首脳会談の時間が伸びてしまったため放送できなかったとエンディングで謝罪。翌週の13日、「井上公造の芸能裏マンデー」のコーナー内で、約15分にわたり「元SMAP3人 72時間“舞台裏”」と題し、放送された映像や森との共演シーンの画像などを交え、後日談などを取り上げていました。

また確認できた範囲で言えば、フジテレビの『ワイドナショー』や『放談ナイト』などでは、出演者が番組について言及するという形で触れられていました。

11月15日には、3人がパラリンピックのスペシャルサポーターに就任されると発表されました。

このニュースを取り上げたのは、16日の『あさチャン』、『Nスタ』、17日の『はやドキ!』、19日の『アッコにおまかせ!』(いずれもTBS)で、本人たちのコメント映像つきで放送されていました。なお、本日(24日)NHK総合で放送される『カル×パラ~パラリンピックが開く新世界~』に香取慎吾が出演予定です。

「GQ Men of the Year 2017」授賞式

そして22日に授賞式が行われた「GQ Men of the Year 2017」。受賞者は以下の通りです。

インスピレーション賞:草なぎ剛

インスピレーション賞:稲垣吾郎

インスピレーション賞:香取慎吾

アウトスタンディング・アチーブメント賞:斎藤工

ベスト・スポーツマン賞:佐藤琢磨

ミレニアル・インスピレーション賞:野田洋次郎

アクター・オブ・ザ・イヤー賞:長谷川博己

ベスト・コメディアン賞:秋山竜次

ブーム・オブ・ザ・イヤー賞:佐藤天彦

出典:『GQ』公式サイト

当然ながら、いずれもニュースバリューのある人たち。誰をどのように扱うのか、その番組や局の個性があらわれるところだと思います。

在京キー局の番組の確認できた範囲で、授賞式当日の22日から翌日の23日まで、この授賞式をどのように扱ったか見ていきたいと思います(もし漏れがあればご指摘ください)。

●TBS

TBSは香取、草なぎ、稲垣の3人を中心に取り上げていました。

まずは授賞式当日の22日。

・『Nスタ』(約39秒)

SMAPの「ありがとう」をBGMに、3人の受賞をコメント映像つきで紹介。

香取慎吾「一生懸命笑顔でこれからも楽しみたい」(※太字部分を赤字で強調したテロップ)

草なぎ剛「もしかしたら転んでも''何かいいものをもらえるときもある''んだな」

稲垣吾郎「これからなので力を合わせて3人で頑張っていきたいと思います」

なお、他の受賞者の紹介はなし。(翌23日には斎藤工、長谷川博己、秋山竜次を紹介)

翌23日。

・『はやドキ!』(約1分31秒/約1分29秒)

スポーツニッポンの紙面を紹介し、キャスターの高野貴裕が「いわずもがなこの3人の方が選ばれました」と振り、授賞式の映像へ。

稲垣、香取、草なぎのコメント映像(他の受賞者の紹介はなし)。

VTR明け、高野「新しい地図を描いていますよね。SNSだったり、ブログだったり、YouTubeだったり。来年は映画も情報が出てますから注目ですね」とコメント。

ほぼ同様の内容を別時間帯にも放送。

・『あさチャン!』(約1分34秒)

『はやドキ!』同様、スポーツニッポンの紙面を紹介し、3人の授賞式の映像。

夏目アナ「今回受賞された理由の一つにSNSを駆使してファンの皆さんに新しい表現で発信されているということもあるようですけど」と番組レギュラーの一人・織田信成が『ホンネテレビ』に出演し3人にSNSを教えたことを言及。

●フジテレビ

フジテレビは、長谷川博己を中心に、斎藤工、野田洋次郎、秋山竜次を取り上げていました。「新しい地図」の3人には触れませんでしたが、他の局ではほぼ取り上げられなかった佐藤天彦、佐藤琢磨も紹介。

23日

・『めざましテレビ アクア』(約2分0秒)

授賞式の映像。引きの画で全員の姿が映されるも、3人への言及はなし。

長谷川博己、野田洋次郎、斎藤工、秋山竜次のコメント映像。

「その他」として、佐藤天彦、佐藤琢磨を紹介。

・『めざましテレビ』(約1分32秒/約2分38秒)

授賞式の映像。引きの画で全員の姿が映されるも、3人への言及はなし。

斎藤工、長谷川博己のコメント映像。

佐藤琢磨、佐藤天彦を紹介。

「前年はトレンディーエンジェル、又吉直樹が受賞したお笑い界からは」と前フリし、秋山のコメント。

別の時間帯では、授賞式の映像前後に、授賞式前の後の長谷川博己の独占コメント映像を挿入。

●日本テレビ

日本テレビは、ロバート秋山を中心に「クリエイターズ・ファイル」を交え取り上げていました。基本的に「新しい地図」の3人には触れられていませんが『スッキリ』では出演者が言及する形で名前が出されていました。

23日

・『Oha!4 NEWS LIVE』(約22秒)

「ロバート秋山ら9人受賞」と題し、全員が映った引きの画をバックに秋山のコメントを紹介。

・『ZIP!』(約2分20秒/約38秒)

引きの画から受賞者全員をアップで1周。

斎藤工、秋山のコメント映像。

秋山による「クリエイターズ・ファイル」の中で「もっとも輝いた」キャラクターを秋山自身が選ぶ番組独自のコメント。

別の時間帯でも秋山のコメント。

・『スッキリ』(約2分32秒)

長谷川博己のコメント映像が流れる中「斎藤工、野田洋次郎、秋山竜次さんが受賞」と説明。

付け加えるように”天の声”が「香取くん、草なぎくん、吾郎さんとかも…」と触れると加藤浩次「そうか、選ばれてるんだね」(3人の映像は引きの画のみ)

その後、秋山のコメント映像。

・『PON!』(約44秒)

長谷川、斎藤、秋山のコメント映像

引きの画で全員の映像。

・『news every』(約1分57秒)

引きの画で全員の映像。

斎藤工、野田洋次郎、秋山竜次のコメント。

秋山の「クリエイターズ・ファイル」を紹介。

●テレビ朝日

テレビ朝日は比較的フラットな印象。主要な受賞者をまんべんなく紹介。

・『グッド!モーニング』(約2分10秒)

引きの画で全員の映像。

斎藤工のコメント映像。長谷川博己、野田洋次郎、秋山竜次を紹介し、「さらに」と草なぎ剛、稲垣吾郎、香取慎吾も紹介。

稲垣、草なぎのコメント映像。

香取が「このトロフィーがとんでもなく重い。みんな必死に持っていると思います」と他の受賞者と絡むシーンも。

秋山のコメント映像。

もちろん、どのニュースをどのような部分に焦点をあてて取り上げるかは番組の自由です。

その番組が、視聴者に何を伝えたいか、視聴者が何を求めているか、何を知りたいか、などを判断しながら選んでいるのでしょう。今回の「GQ Men of the Year 2017」は受賞者9人ともがニュースバリューの高い人たちなので、その取り上げ方は様々。

各局が何を重視しているのか、その選択の違いは興味深いものでした。

ライター。テレビっ子

現在『水道橋博士のメルマ旬報』『日刊サイゾー』『週刊SPA!』『日刊ゲンダイ』などにテレビに関するコラムを連載中。著書に戸部田誠名義で『タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?』(イースト・プレス)、『有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか 絶望を笑いに変える芸人たちの生き方』、『コントに捧げた内村光良の怒り 続・絶望を笑いに変える芸人たちの生き方』(コア新書)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)など。共著で『大人のSMAP論』がある。

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