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ロケットも金融政策もトライアンドエラーが必要に、失敗を恐れるな

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 7日に打ち上げられた新型主力機H3ロケット初号機は、2段目のエンジンの着火が確認されず、地上から指令破壊の信号を出し、打ち上げは失敗した。

 初号機の失敗は決して珍しいものではないとされるが、今回のH3ロケットには先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)を搭載しており、搭載された衛星も破壊された格好となった。

 新型機の試験機ともされる初号機にどうして実用の衛星が搭載されていたのか。むろん、打ち上げが成功するとの見込みからであると思われるが、ダミー衛星でも良かったのではなかろうか。あくまで素人考えではあるが。

 スペースXが頻繁にロケットを打ち上げているが、これ試験機での数々の失敗の教訓が生かされている。いわばトライアンドエラーを行った末に完成度の高いロケットが生まれたということではなかろうか。

 どうも日本の場合、失敗は許されないといった風潮もあったように思われる。実はこれは金融政策でも同様である。

 外部環境が変わっても金融政策は間違ったものではないというか間違いそのものを認めたくがないため、修正をしないどころか、さらにそれを強化させる格好となっていたのが、現在の日銀の異次元緩和である。

 これに対し米国のFRBなどは、かなり柔軟性を持っている。利上げそのものが遅れたとの指摘もあったが、方向転換そのものも一気に行っていた。さらに今後の物価や景気動向を見据え、利上げ幅を縮小させてきたところ、思いのほか経済や物価がしっかりしていることで、途中で利上げ幅を拡大する可能性も出てきた。まさにフレキシブルである。

 今後の日銀金融政策決定会合でのフレキシブルな政策修正はあるのか。どうも4月以降も人が変わっても柔軟性や機動性を取り戻すのはなかなか難しいようにも思える。

 ロケットも金融政策もトライアンドエラーによって安全性を高め、正確な打ち上げや金融政策を可能にさせていく。それも必要なのではなかろうか。

 長期金利の形成をどうして市場に委ねるべきなのか。それは市場ではトライアンドエラーが常に起こりうることで、適正な金利形成を可能にさせるためなのである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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