高校野球記録室/都道府県編 なんと6校に1校が決勝に進む県は?
大会第1号ホームランが飛び出したのが13試合目と、金属バットが導入された1975年以来もっとも遅かったように、投高打低の大会だった第93回選抜高校野球。明豊では米田友が春夏通算2500本目を、幸修也が大会14本目の先頭打者弾を記録したが、ホームランの総数は2003年以来の一ケタとなる9本。これは前回開催された2年前より10本減り、全チームの打率は1分8厘ダウンの.239と、6大会ぶりの2割3分台だった。
となると、接戦が多くなる。常総学院と敦賀気比の一戦が大会史上初めてのタイブレークとなったほかに、延長決着は7試合。これは99年、14年と並ぶ最多で、サヨナラが6、1点差試合は13(2年前は7)あった。さらに常総学院と敦賀気比戦では、センバツ史上初の申告敬遠が記録されている。おもしろいところでは、センバツ最多の3校が出場した東海大系列で、よりによって相模と甲府が初戦で対決した。甲府の村中秀人監督は相模のOBであり、前監督。甲子園で母校と、しかも前任校と対戦するのは、おそらく初めてのケースだった。
結局その試合は相模がサヨナラ勝ちし、決勝もサヨナラ勝ちして締めくくったが、これで神奈川県勢はセンバツの優勝回数を7として兵庫の6を抜き、愛知と大阪の11に続く単独3位となった。春夏通算でも14と、やはり13回で並んでいた兵庫を抜いて単独3位。25回で1位の大阪、19回で2位の愛知とはまだ差があるが、春夏通算勝利数の208は、今大会で210に達して6位の広島に肉薄している。
44年前も天理と智弁が8強の奈良
また奈良県勢は、天理と智弁学園がそろってベスト8に進出。奈良2校のベスト8は77年以来44年ぶりで、そのときも天理と智弁の両校だった。天理は準々決勝も勝って4強に進出。やはりこの大会で60勝に達した福岡に次ぎ、奈良県勢は15番目にセンバツ60勝に到達した。さらに節目としては、鳥取城北の大会初勝利で鳥取がセンバツ20勝。20勝未満は、ほかに11県となった。
センバツ勝利数の都道府県ランキングベストテンを挙げてみると……(引き分けは除く)
勝 敗 優 準 率
1 大 阪 203 137 11 10 .597
2 愛 知 174 111 11 8 .611
3 兵 庫 172 148 6 4 .538
4 東 京 127 121 5 9 .512
5 和歌山 104 106 5 5 .495
6 広 島 91 73 5 6 .555
7 高 知 90 62 3 5 .592
8 京 都 82 89 2 2 .480
9 神奈川 81 53 7 4 .604
10 徳 島 73 50 5 3 .593
となる。こうしてみると神奈川は、のべ60校の出場で7回優勝しているのだから、優勝確率の高さはべらぼうだ。もっといえば、準優勝を合わせれば11回、つまり6校に1回以上は決勝まで進む計算になる。明豊が決勝に進んだ大分は、県勢としては67年に優勝した津久見以来54年ぶり2回目。敗れはしたが4勝を加え、34位から32位に浮上した。春夏通算でも83勝で、順位をひとつ上げている。