【悪質ないじめ】警察に通報すべき19の具体例~文部科学省の通知より~
悪質ないじめが学校で起こっているものの、学校が対応してくれない、対応が遅いといった悩みを抱えている人も少なくありません。
実は、犯罪に相当するいじめが起きた場合は、学校や教育委員会だけで対処するのではなく、速やかに警察に相談・通報をして対応することが文部科学省からも推奨されています。
そこで今回は、「いじめの通報ライン」と「警察に通報すべき19の具体例」について元教師が解説していきます。
いじめが起きたらどこに相談すれば良い?
いじめが起こった場合、まずは学校に相談するのが基本です。
担任の先生あるいは学年主任など、信頼できそうな先生に相談してみましょう。
しかし実際には、学校で対処してくれない、対応が遅すぎるといったこともあります。
そういった場合には、「教育委員会」へ相談します。
ただし、犯罪に相当するいじめが起きた場合は学校や教育委員会だけでなく、速やかに警察に相談・通報をすることが文部科学省でも推奨されています。
いじめによって失われる命もあります。
そのため、場合によっては速やかに警察との連携・相談を進める必要があるのです。
いじめの通報ライン
いじめについては、非常に線引きが難しい事例もあります。
そういった場合には、文部科学省の「警察への通報・相談に係る基本的な考え方」を参考にすると良いでしょう。
警察への通報・相談に係る基本的な考え方
(1)学校や教育委員会においていじめる児童生徒に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず、その指導により十分な効果を上げることが困難である場合において、その生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められるとき
→ 被害児童生徒を徹底して守り通すという観点から、学校においてはためらうことなく早期に警察に相談し、警察と連携した対応を取ることが重要
(2)いじめられている児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような場合
→ 直ちに警察に通報することが必要
警察への通報は誰がする?
学校や教育委員会が警察と連携して調査を進めることが基本ですが、学校や教育委員会が対応してくれない場合には、保護者側から連絡するのも1つの手です。
何よりも優先すべきなのは、子どもの命や心を守ってあげること。
「警察に通報!」というと、大げさに考えてしまう人もいるかもしれませんが、とりあえず迷ったときには、まず電話で相談してみることをおすすめします。
警察に通報すべき19の具体例
具体的には、どんな時に通報すべきなのでしょうか。
文部科学省からの通知で記載された事案をご紹介します。
- ゲームや悪ふざけと称して、繰り返し同級生を殴ったり、蹴ったりする【暴行:刑法第208条】
- 無理やりズボンを脱がす【暴行:刑法第208条】
- 感情を抑えきれずに、ハサミやカッター等の刃物で同級生を切りつけてけがをさせる【傷害:刑法第204条】
- 断れば危害を加えると脅し、性器や胸・お尻を触る【強制わいせつ:刑法第176条】
- 断れば危害を加えると脅し、現金を巻き上げる【恐喝:刑法第249条】
- 断れば危害を加えると脅し、オンラインゲームのアイテムを購入させる【恐喝:刑法第249条】
- 靴や体操服、教科書等の所持品を盗む【窃盗:刑法第235条】
- 財布から現金を盗む【窃盗:刑法第235条】
- 自転車を壊す【器物損壊等:刑法第261条】
- 制服をカッターで切り裂く【器物損壊等:刑法第261条】
- 度胸試しやゲームと称して、無理やり危険な行為や苦痛に感じる行為をさせる【強要:刑法第223条】
- 本人の裸などが写った写真・動画をインターネット上で拡散すると脅す【脅迫:刑法第222条】
- 特定の人物を誹謗中傷するため、インターネット上に実名をあげて、身体的特徴を指摘し、気持ち悪い不細工などと悪口を書く【名誉毀損、侮辱:刑法第230条、231条】
- 同級生に対して「死ね」と言ってそそのかし、その同級生が自殺を決意して自殺した【自殺関与:刑法第202条】
- 同級生に対して、スマートフォンで自身の性器や下着姿などの写真・動画を撮影して送るよう指示し、自己のスマートフォンに送らせる【児童ポルノ提供等※1】
- 同級生の裸の写真・動画を友達1人に送信して提供する【児童ポルノ提供等※1】
- 同級生の裸の写真・動画を SNS 上のグループに送信して多数の者に提供する【児童ポルノ提供等※1】
- 友達から送られてきた児童ポルノの写真・動画を、性的好奇心を満たす目的でスマートフォン等に保存している【児童ポルノ提供等※1】
- 元交際相手と別れた腹いせに性的な写真・動画をインターネット上に公表する【私事性的画像記録提供(リベンジポルノ)※2】
※1 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第7条
※2 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律第3条
詳細は、以下の通知をご確認ください。
参考:いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(通知)|文部科学省
驚く人もいるかもしれませんが、友だちから送られてきた児童ポルノの写真や動画を性的好奇心を満たす目的でスマートフォンに保存するだけでも、犯罪行為に該当する可能性があります。
多くの子どもたちは、こういったいじめや犯罪の具体的な定義や認識について、十分に理解していないことがあります。
しかし、上記のような具体例であれば子どもにとっても理解しやすく自分ごととして考えられる可能性は高くなるでしょう。
まずは、このような事実について、学校や家庭で子どもたちに話す機会を設けることが重要です。